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「ドクターイエロー」引退へ 60年の歴史に幕

ASCII.jp / 2024年6月13日 12時45分

923形ドクターイエロー

 東海旅客鉄道(JR東海)と西日本旅客鉄道(JR西日本)は6月13日、東海道・山陽新幹線用の設備検測車両「ドクターイエロー」の引退を発表した。JR東海は2025年1月、JR西日本は2027年以降にそれぞれ検測走行を終了する。

新幹線のお医者さん「ドクターイエロー」

 ドクターイエローこと新幹線電気軌道総合試験車923形は、700系をベースに製造された検測専用車。JR東海では2001年から、JR西日本では2005年から使用されている。

 主な業務は各種設備の損耗や異常の有無のチェック。営業列車の合間を縫って、実際に高速走行しながら検測できる点が特徴だ。2024年現在は概ね10日に1回のペースで走行しており、見かけたらラッキーな「幸せの黄色い新幹線」としても人気を博している。

 引退の理由は車両の老朽化。一般に新幹線の車両寿命は10〜20年程度とされており、製造から約20年経過したドクターイエローも、そろそろ引退する時期に入っている。また、両社は言及していないものの、N700系より走行性能に劣る923形がダイヤ設定上のネックとされていることも、引退を後押しする理由の1つとみられる。

 引退時期についてはJR東海所属車が2025年1月、JR西日本所属車は2027年以降の予定。両車が引退した後は、JR東海所属の営業用車両(N700S)に検測機器を装備して、ドクターイエローの業務を引き継ぐ。

引退で60年の歴史に幕

 高速走行中に検測業務を実施するドクターイエローの歴史は、新幹線と共にあったと言っても過言ではない。

 初代ドクターイエロー(T1編成)は1964年の東海道新幹線開業時にデビュー。同線開業前に使われていた1000形試験車を改造し、最高速度200km/hで電気・通信などの検測を担当した。

 1974年にはT1編成の置き換え用として、0系新幹線をベースに線路の検測機能も備えたT2編成が登場。5年後の1979年にはT2編成の兄弟車となるT3編成が登場し、ドクターイエロー2編成体制を確立している。

 T2/T3編成は国鉄分割民営化を挟み30年程活躍を続けたが、車両の老朽化やダイヤの高速化を理由として、2001年と2005年に700系ベースのT4/T5編成と交代。以降、約20年にわたりT4/T5編成が検測作業を担当してきた。

 前述の通り、T4/T5編成の後継は営業用車両となることが決まっており、検測専用車「ドクターイエロー」は約60年の歴史に幕を下ろすことになる。

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