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容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証

ASCII.jp / 2024年6月19日 10時0分

 サイコムのワークステーション「Lepton Hydro WSZ790 Cube」は、容積26.1Lのキューブ型PCケースを採用。サイズ202(W)×451(D)×286(H)mmのコンパクトな筐体に、デュアル水冷システムを組み込み、ハイエンドPCパーツを運用できる。

 前回は「Core i9-14900KF」と「GeForce RTX 4090」を採用した、試用機材の外観や内部レイアウトなどをチェックした。本稿はベンチマークで実際の性能や温度、動作音を検証し、本当にハイエンドPCパーツを安定運用できるのかを探る。

14900KFとRTX 4090でも安定運用できるのか?

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
サイコムのコンパクトワークステーション「Lepton Hydro WSZ790 Cube」。標準構成の直販価格は50万3390円~(配送料込み)

 ちなみに、現在サイコム容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証はサマーキャンペーン中(2024年8月26日まで)。Lepton Hydro WSZ790 Cubeも送料(実質2920円)無料や、Crucial製SSD「T500」の1TB/2TBモデルの5000円引きで7920円引きになる。また、サイコムオリジナル水冷仕様のビデオカード(GeForce RTX 4080 SUPER/4090)の1万円引きというサブキャンペーンも同時開催中だ。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
標準構成でも今回の試用機材の構成でも、合計1万7920円の大幅値引きのチャンスなので、気になる方はお見逃しなく!

Intel Baseline Profileの適用で安定化

 試用機材のCPU、Core i9-14900KFは24コア/32スレッド構成のハイエンドモデルとなる。高性能なPerformance-cores(Pコア)を8基、高効率なEfficient-cores(Eコア)を16基併載するパワフルなCPUのため、消費電力や発熱も高くなりがちだ。

 昨今のインテル製CPUは、大きく分けて2段階の電力制限を採用している。Core i9-14900KFの場合は、仕様上のPBP(プロセッサーのベースパワー、Power Limit 1=PL1)が125W。MTP(最大ターボパワー、Power Limit 2=PL2)が253Wになる。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
インテルの公式サイト(Intel ARK)によると、Core i9-14900KFのPBP(PL1)は125W、MTP(PL2)は253Wで、これが「定格」となる

 一方で、近年のBTO PC・ワークステーションはメーカー各社が電力制限を変更し、冷却力とパフォーマンスのバランスを調整しているケースがある。

 実際に、Lepton Hydro WSZ790 CubeにおけるCPUの電力設定を見てみると、PBP(PL1)が標準より35W高い160W、MTP(PL2)は標準と同じ253Wだった。

 短時間のみ劇的にパフォーマンスを高めるMTP(PL2)は据え置きとし、CPUを使った長時間のレンダリングやエンコードといった作業で恩恵を受けやすいPBP(PL1)を高めることで、総合的なパフォーマンスの向上が見込めるわけだ。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
試用機材のUEFI画面。「Long Duration Power Limit」(PL1)が160W、「Short Duration Power Limit」(PL2)が253Wと、サイコムではおなじみの「PL1がやや高めな設定」だ

 また、試用機材では5月以降の最新BIOSで登場した、「Intel Baseline Profile」を有効化していた。簡単に言えば、高クロックで動作するCPUの挙動を調整し、故障を防ぐプロファイルだ。長期に渡る安定動作が求められるワークステーションでは、導入するメリットが大きいと思われる。

 これらの設定でCPUが実際にどの程度のパフォーマンスを発揮できるのか。まずは3DCGのベンチマークソフト「CINEBENCH 2024」で確認してみよう。10分間のウォームアップ後にスコアーを算出するモードで検証した。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
CINEBENCH 2024の結果

 スコアーはCPU(Multi Core)が1736pts、CPU(Single Core)が136pts。Intel Baseline Profileが効いているので、妥当なスコアーと言える。では、CPU温度はどうなっているのか。モニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」で計測開始から9分後の様子を見てみよう。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
CINEBENCH 2024実行中の温度など

 CPUのコア温度は最大97度程度まで上昇するが、これはPL2で駆動しているわずかな時間のみ。テスト中ほとんどの時間はPL1動作でコア温度は72~73度前後で安定していた。CPUパッケージ温度も規定の最大温度であるTjMAX(100度)に届いておらず、しっかり冷却できていることがわかる。

 Lepton Hydro WSZ790 Cubeはワークステーションなので、「HandBrake」を使って動画エンコード時の挙動も確認してみた。再生時間約4分の4K・60fps動画を、プリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」にエンコードする時間を計測した。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
HandBrakeで4K動画をフルHD動画にエンコード
容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
HandBrake実行中の温度など

 エンコードにかかった時間は約4分57秒と、CPUエンコードでもまずまず高速と言ってもいい結果だ。CPUのコア温度は最大87度と余裕があり、ほとんどの時間は70度前後で推移していた。

 薄型ファンを採用した240mmラジエーターの簡易水冷ユニットで、十分しっかり冷却できていると言えるだろう。これなら動画編集などの高負荷なクリエイティブワークでも、安心して作業できるはずだ。

独自水冷のRTX 4090でAI系ワークロードも安心

 続いては、主に水冷化されたGPUの挙動を、クリエイティブ系のテストでチェックしていく。

 Lepton Hydro WSZ790 Cubeの標準構成は「GeForce RTX 4080 SUPER」だが、BTOで「GeForce RTX 4070 Ti」「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」「GeForce RTX 4090」も選べる。いずれもオリジナルの水冷カスタムが施されており、空冷ビデオカードよりも安定した動作が期待できる。

 試用機材ではGeForce RTX 4090版を搭載しており、Asetekの水冷ユニット「Hybrid GFX 240 LCS」をベースに水冷カスタムしている。ラジエーターファンはサイコムではおなじみのNoctua製120mmモデル「NF-A12x25 ULN」を2基備える。

 ハイエンドGPUを自前で水冷化するハードルは高い。しかし、サイコムのBTOマシンであれば、冷却力の強化や静音化といった水冷ビデオカードのメリットを手軽に享受できる。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
オリジナルの水冷カスタムが施されたGeForce RTX 4090搭載ビデオカード。水冷チューブは240mmラジエーターに接続し、合計5基のファンで冷却している

 肝心の性能だが、本機はAIを活用した高負荷なワークロードも想定されていることから、GPUに対して負荷をかける「UL Procyon」のAI画像生成ベンチマークを実行した。

 「Stable Diffusion」による画像生成時間を計測するベンチマークで、一定以上の容量のビデオメモリーを搭載したGPUが必要となるが、24GBものGDDR6Xメモリーを搭載するRTX 4090にとってはまったく問題ない。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
UL ProcyonのAI Image Generation Benchmarkを実行。複数枚のAI画像を生成する時間をテストするベンチマークとなる
容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
UL Procyon AI Image Generation Benchmarkの結果
容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
UL Procyon AI Image Generation Benchmark実行中の温度など

 スコアーは4667で、実行中のGPU温度は最大70.5度。ホットスポット温度に関しては82.3度まで上昇するが、これだけのハイパワーGPUであればよく冷やせていると言って差し支えない。

 普通、小型PCケースにハイエンドPCパーツをみっちり詰め込めば、冷却は困難になる。その問題を、PCパーツ選定の妙や水冷カスタムで解決し、現行最上位GPUを見事に冷却できた点は大いに評価できるだろう。

デュアル水冷はアイドル時の静音性も優秀

 最後に、Lepton Hydro WSZ790 Cubeの動作音についても触れておこう。PCから距離約50cmの位置に騒音計を設置し、騒音値を簡易的に計測してみた。なお、検証時の室内環境騒音は35~36dB前後だった。

容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
サイコムの公式サイトでも、騒音値を計測しているような写真が掲載されている。この写真ではPCケースの側面パネルを開け、PCとの距離が近い状態で騒音値を計測しているが、本稿ではパネルをはめた状態で測った

 まず、アイドル時の騒音値はおおよそ39dB前後。机に設置した場合、動作音は聞こえるが、少し離れればほぼ気にならないレベルだ。本機はPCケースの天面および左右パネルに通気口があるため、もう少し音が気になるのかと思ったが、それほどでもなかった。このあたりはデュアル水冷化の恩恵が大きそうだ。

 各テスト中にも騒音値を計測したところ、最も高くなった際の値は約44.2dBだった。一般的に人が「静かである」と感じられるレベルの騒音値は45dB前後までとされていることから、十分に許容範囲の静かさと言ってよさそうだ。

まとめ:冷却力は十分で動作音もうるさくない     小型ワークステーションの新定番!!

 Lepton Hydro WSZ790 Cubeは全高300mmを下回るコンパクトな筐体の中に、現行ハイエンドのCPUとGPUをデュアル水冷システムで組み込める、野心的なワークステーションだ。

 内部の密度感はかなりのものなので、冷却能力を心配する向きはあるだろう。しかしながら、少なくとも今回のテストにおいては、一般的なワークステーションと比べて不安になるほどの発熱は感じられなかった。

 今回の試用機材のようにCPUとGPUを最上位にアップグレードしても、問題なく使えるだろう。「高性能なワークステーションが欲しいけどサイズが問題なんだよな……」と、導入をあきらめていたユーザーにはうってつけの1台かもしれない。

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