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Apple WatchもAI! watchOS 11の新機能から「次」が見えた

ASCII.jp / 2024年6月18日 8時0分

watchOS 11の進化の核心に迫りつつ、秋に発売される新しいApple Watchを予想します

 アップルの世界開発者会議「WWDC24」で最も脚光を浴びたテーマは、アップルが独自に開発する生成AIプラットフォームの「Apple Intelligence(AI)」でした。秋には正式にリリースされる次期OSも見どころが盛りだくさんです。その中から今回はwatchOS 11の進化を振り返りながら、次のApple Watchの新製品を予想してみたいと思います。

AI対応が加速:文字盤にウィジェット、翻訳にも

 Apple Watchには、アップルが自社で設計するSiP(システム化されたICチップ)のApple Sシリーズが採用されています。現行最新モデルのApple Watch Series 9とUltra 2が搭載するのは、iPhone 15シリーズとiPhone 14 Proシリーズが搭載するA16 BionicベースのSiPであるApple S9です。機械学習のタスクを扱う4コア構成のNeural Engineも統合されています。Apple Watch単体で、あるいはペアリングしたiPhoneと連携しながら高度な機械学習処理がこなせる「AIスマートウォッチ」なのです。

 秋以降に米国英語環境からの導入を予定するApple Intelligenceの対応デバイスはiPhone、iPad、Macです。Apple Watchはリストに入っていませんが、watchOS 11のハイライトを見ていくと、一般的なAIに関わるおもしろそうな機能があります。

iPhoneで撮りためた沢山の写真から文字盤を生成する新機能がwatchOS 11に搭載されます

 1つは進化する「写真」の文字盤。Apple WatchがiPhoneと連携するAI機能です。iPhoneに撮りためた「人物」「自然」「都市」「ペット」の映える写真をAIが厳選して、最大16件の写真を文字盤上に、手首を上げる度にシャッフル表示します。

時刻表示の大きさや位置が、人物や風景の写真の映える箇所に被って隠さないようAIが自動調整してくれます

 人物の顔や全体写真は美しく撮れている表情、全体の構図などを見ながら良い写真をAIが選びます。デジタルの時刻表示はユーザーが好きなフォントとスタイルを選んだら、人物や風景の写真の映える箇所に被って隠さないよう、時刻表示の大きさや位置をAIが自動調整してくれます。

ペットや人物のポートレートなど、条件を選択してiPhoneの写真アプリから最適な写真を抽出します

 watchOS 10で初登場したApple Watchのウィジェット、「スマートスタック」はユーザーが起床すると天気のウィジェットを表示したり、行動パターンに沿ってウォッチの文字盤上に有用な情報を届ける機械学習に基づく機能です。watchOS 11のスマートスタックは、ペアリングしたiPhoneと連携して雷雨の緊急警報をタイムリーに表示したり、リアルタイムに進行するアプリの情報を表示する「ライブアクティビティ」に対応も広がってさらに賢くなります。

ユーザーが必要とする情報をウィジェットがタイムリーに提案してくれる「スマートスタック」がより便利になります

 そして極めつけが、iPhoneやiPadから先に載っていた「翻訳」アプリがApple Watchにも対応します。音声、またはテキストタイピングで入力したフレーズを日本語からほか19の海外言語にAIが自動翻訳してくれる機能です。

 翻訳は短めなフレーズを都度入力する対面会話を想定した機能で、長いメールのテキストなどを訳するためのものではありません。だからこそ、いつも手首に着けているApple Watchと最も相性が良いと筆者はずっと思っていました。いざという瞬間にコンプリケーション、またはスマートスタックから素速く呼び出せるので、iPhoneをポケットから取り出して……と準備する所作もショートカットできます。

Apple Watchに登場する「翻訳」アプリ。翻訳を音声で再生できるほか、アルファベットで“読み方”が表示されるので、外国語の学習にも使えそうです

 「日本語と英語」など、Apple Watchに必要な言語の辞書をダウンロードしてオフラインで使える、Apple WatchのオンデバイスAI機能です。

watchOS 10から登場したApple Watchのウィジェット機能「スマートスタック」

ウォッチが収集するデータが「見やすく」なる

 最新のApple WatchとwatchOSには、数え切れないほど多くの魅力的な機能があります。そのすべてを知る必要はなく、Apple Watchのユーザーは健康管理やフィットネストラッキング、スマホからの通知確認など自分に必要な機能だけを選び、使いこなせれば良いと筆者は思います。

 でもやはり「Apple Watchにこんな機能もあるんだね」と気が付ける機会はたくさんあるほど幸せになれます。

 例えば先に触れた「スマートスタック」がwatchOSに搭載されたことで、デジタルクラウンをクリックしてアプリを探さなくても、Apple Watchが届けてくれる情報や使える機能との接点が大きく広がりました。AIによるパーソナライゼーションが強化されることで、watchOS 11のスマートスタックがもっと便利になりそうです。

 Apple Watchはユーザーが身に着けている間、健康状態の把握にも役立つさまざまな生体情報を取得しています。ワークアウトによる健康増進・維持、心臓の健康チェック、睡眠計測などの用途にApple Watchが心地よく使えるスマートウォッチであることを実感している方も少なくないと思います。

 watchOS 11には、ユーザーが眠っている間にApple Watchが計測する「心拍数」「呼吸数」「手首皮膚温」「睡眠時間」「血中に取り込まれた酸素のレベル」の生体情報をまとめて、毎日の健康指標を分析、知らせてくれる「バイタル」という新しいアプリが加わります。

 Apple Watchが計測できる生体情報の中で、人の健康バランスを把握するために最も有用な5つの固定された指標を元に、2つ以上の指標に日々の状態と大きく異なる値が記録された場合にはユーザーに通知が届きます。これが病気の傾向を示唆するものなのか、あるいは飲酒量やカフェインの摂取が増えたことによるものなのかなど、iPhoneのヘルスケアアプリへのデータの手入力と併用しながら、生活の多様な側面の変化に対応できる心強い機能です。

5つの指標に基づく毎日の健康に関するデータに横串を刺して見られる「バイタル」アプリ

 Apple Watchは、ワークアウトをユーザーの日常的な健康習慣として続けることを楽しくサポートしてくれるスマートウォッチです。ただ、ワークアウトも「やり過ぎ」は身体に良くありません。反対に、トレーニングの効率化を図らないと健康の増進・維持に役立ちません。

 watchOS 11からワークアウトの「トレーニングの負荷」が記録できるようになります。ワークアウト後に、ユーザーが負荷の強度を「簡単」から「かなりきつい」までの10段階で評価。Apple Watchが記録を読み取って負荷の効果を最大化したり、主すぎる負荷によるダメージを回避するようにアドバイスを送ってくれます。

毎日のトレーニングが効果的に身に付いているか、「トレーニングの負荷」のデータから確認できます

 Apple Watchのアクティビティアプリ、またはiPhoneのフィットネスアプリでは、トレーニングの負荷とバイタルアプリの情報をまとめて見ることができます。

アクティビティリングの達成を時々「お休み」できる一時停止の機能が追加されます

 今まで点在していたユーザーの健康に関わる情報が有機的に結びつくので、初めてスマートウォッチを使う方にもフィットネスやヘルスケアの用途でApple Watchが身近に感じられるようになると思います。

Apple Watch SEは2022年以来のモデルチェンジが期待できそうです

AI本格対応のSEは確定!? 「10」にまつわるApple Watchの節目が来る

 watchOS 11の進化を踏まえて、毎年秋に発売される次のApple Watchの新製品を予想してみます。

 機械学習=AIの強化と、ウォッチが記録する様々なデータの整理整頓による「親しみやすさ」が向上するwatchOS 11を搭載するスタンダードモデルの「Apple Watch SE」は、さらなるユーザー拡大に弾みを付けそうです。

 次世代のApple Watch SEには、現在のApple Watch Series 9が搭載するApple S9チップに匹敵する高性能な「AI対応」のチップが載ることは確定的だと思います。大きなデザイン変更はないかもしれませんが、多彩なカラバリ展開と気軽に購入できる価格設定にはぜひチャレンジしてほしいです。

 ナンバリングシリーズのApple Watchは次のモデルで「Series 10」を迎えます。ちなみに2025年4月24日はApple Watchの発売10周年です。WWDC24はアップルによるハードウェアの発表がなかったぶん、秋にはとてもゴージャスな新製品ラッシュが待ち受けているかもしれません。久しぶりに「18Kゴールドのケース」的な、華やかなApple Watchも見てみたいです。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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