イヤホンメーカーADV.の新感覚「耳栓」をレビュー! 騒音は防ぐのに声は通す、不思議な装着感!!
ASCII.jp / 2024年6月25日 11時51分
ニューヨーク発のブランドADV.の「Eartune Live Foam」は、ひとこと言えば耳栓。ただし、それだけでは不十分な新感覚のガジェットだ。ADV.は寝ながら使っても快適なイヤホン、通称「寝ホン」でも知られるオーディオメーカー。本機も特徴ある発想を数多く取り入れ、使用感や見た目も工夫されている。国内向けの発売はまだ先だが、6月25日から一足先に、Makuakeで先行販売が始まった。通常4499円のところ、超早割では25%オフの3374円からとなっている。
サンプルを入手できたので、使用感を含めて紹介しよう。
着け心地はイヤホン、新しい発想も入っている
まずは製品の位置付けから。耳栓自体は昔からあるもの。しかし、活躍するシーンは以前より増えているように感じる。理由は公衆の場所でプライベートな感覚を味わったり、敢えて音と距離を置きたいと感じる人が増えているため。例えば、集中したいとき、騒音から身を守りたいとき、ぐっすり寝たいときなど……。
要はイヤホンの“ながら聞き”が一般化して、“耳に何かを入れて集中する”ことにみんなが慣れてきたのだろう。普段からカナル型イヤホンに慣れているのであれば、いまは音楽は不要というタイミングでも、周囲の音から隔絶して自分の世界に入るためにイヤホンを装着していたいと感じがちである。
これとは別の視点として、騒音に対する理解が進んだこともあるだろう。ヘッドホンではついつい音量を上げすぎてしまいがちだが、耳の健康を考えるなら、大きな音に長時間さらされるのは好ましいことではない。90dBの音量を許容できるのは毎日2時間30分まで……など具体的な指標が示されることもある。以前はエンジニアなど限られた人のものだった“イヤーマフ”も注目されるようになった。ライブイベントなどでは100dBを軽く超えるような大音量の中、長時間、音楽を聞いたり、歓声を上げたりし続ける場合もあるだろう。イヤーマフはヘッドホンの形をしているが音は出ず、耳を保護するアクセサリーで、量販店などに売り場ができている。
こういう状況の中、ファッション性と機能性の両方を兼ね備えた耳栓風アクセサリーも登場している。ベルギーの「Loop」などがその典型だ。
こういう時代だからこその製品なのだ
ADV.のEartune Live Foamの必要性はこうした文脈を踏まえると理解しやすい。特徴は整理するとだいたい以下の4点だ。(1)快適に装着できる耳栓で、(2)必要十分な遮音性能を持ち、(3)長時間着けても負担になりにくく、(4)人の声は遮らない耳栓であり、不要な騒音は遮る一方で人の会話など聞きたい音は知覚できるフィルター機能を備えている。
特にポイントになるのは(4)の耳栓でありながら、人の声はよく聞けるという点だが、(1)~(3)も含め、ざっと特徴を見ていこう。まず、「快適な装着感」と言う点では、フォームタイプのイヤーチップを採用して耳にフィットしやすいという点が挙げられる。フォームタイプのイヤーチップは圧迫感の軽減を目的に、さらに3サイズを用意している。これをシリコン製のボディーにつけて使用するわけだが、「必要十分な遮音性能」は-23dBというスペック。人はいないが空調が強くかかっていたり、走行量の多い通りに面している部屋で窓を開けても、こうした騒音をほぼ感じない。カフェやオフィスなどで集中して作業したい場合にいい。
「長時間着けても負担になりにくい」については、ボディー形状に注目。筐体はカナル型イヤホンで言えばノズルに相当する部分があり、その後ろが長く伸びて耳穴内で支える構造になっている。装着時の圧迫感はほぼゼロだ。また、外側に耳栓が出っ張らないので、近付いてよく見ないと耳栓をしていることにすら気付かない。
そして最大のポイントとなるのが、「人の声は遮らない耳栓」であると言う点。遮音性は高いのになぜか人の声は知覚できる新感覚の使い勝手が魅力なのだ。ここは、遠目では耳栓とも分からないから助かるという面もあるが、例えばオフィスで使用している際に同僚や上司に話しかけられても、すぐに気付くことができ、かつ耳栓をしたままでも普通に会話をし続けられる。これはシリコンの本体部分に独自開発のフィルターを入れていて、必要な音だけを通す仕組みになっているからだ。
ノイズキャンセルイヤホンにはヒアスルー機能が付いているが、使用感はこれと少し似ている。ノイズキャンセルを聞かせて周囲の騒音は取り除いてくれるが、声など聞きたい音だけをハッキリ届けてくれる。市販のヒアスルーは作り込みが甘い機種も多く、その聞こえに違和感が出ることもあるが、Eartune Live Foamは信号処理ではなく物理的音を通すフィルターなので、聞こえもとても自然である。
実はEartune Live Foamは、もともと大音量の音に包まれるクラブやフェスで耳を守るために作られた製品だった。その目的を満たすために、オーディオメーカーとしてのADV.のノウハウを積極的に取り入れている。耳栓でありながら、人の声を通す、そのための音質管理に対してもメーカーの自信も相応にあるのだ。
しゃれていて便利、これは持っておきたい!!
以上、Eartune Live Foamの特徴について、概ね理解してもらえただろうか? 実機を試してみたので、最後に感想を少し紹介しよう。
まず最初はケース。これがなかなかイケている。シリコン製でぶら下げて持ち運べるものなのだが、口が半開きになっている。しかしマグネットで留めるので中身は落とさず守られている。そのデザインからしてとても目を引く。さらに、9色が選べる、色もカラフルで選ぶのが楽しい。写真は明るくビビッドな水色で目を引くのがいい。
一方、装着感はやわらかい。痛くならないし、軽いので着けているのを忘れがちになるほどだ。イヤーピース自体はカラフルなのだが、耳からは出っ張らないので傍目からも着けているのが目立ちにくく、いい感じで隠せる。
耳栓としての性能なのだが、静かめの共用スペースで使ってみた。まず感じるのは装着すると、スッと空調などの騒音が消える。加えて、雨が降っている外の音(比較的往来の多い車道に面している)から入ってきた雨音や車の走行音も全く聞こえなくなった。「ああ、静かなオフィスだと思ってたけど、周囲にノイズは結構あった」し、「これが取り除かれると集中力も上がるなぁ」という感想を素直に持てた。
この状態でしばらくパソコンに向かっていたが、ふと隣席の人から質問を投げかけられる。その声はまったく問題なく聴けるし、さらに会話も可能だ。確かにこれなら、すぐに反応できず、相手を不快にさせなくて済む。逆説的だが、騒音が多く人の声が聴きにくい環境でこの製品を使うと、むしろ声だけが耳に届いて言葉を判別しやすくなる面もあった(声を通すと言っても、音は小さくなるので声にフォーカスが当たり、聞こえが向上するというのとは違うが)。
現状では数時間程度の試用に留まるが、なかなか効果を感じる仕上がりだった。まだ機会を得ていないが、ライブ会場にもぜひ行ってみたい。これ以外にも、ロードノイズや風切音が多い自動車の車内内でも有効かもしれない。実際は運転時というよりも助手席や後部座席などでの使用になるとは思うが。
完全に耳をふさがず、不快な音だけをフィルターできる耳栓は、コンセプトも面白いが、利便性も高そうである。
イヤープラグのサイズは26×18×12mmで重量は1g。ケースは66×50×32mmで、重量は17g。カラーはブラック、グレー、パープル、オレンジ、ブルー、パステルブルー、ローズピンク、ネイビー、アッシュパープル。
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