ソーラーで驚きのバッテリー6ヵ月間! ティソ「T-タッチ コネクト スポーツ」を体験
ASCII.jp / 2024年6月23日 12時0分
スイスの高級腕時計ブランド、TISSOT(ティソ)がコネクテッドウォッチ「ティソ T-タッチ コネクト スポーツ」を発売しました。アナログ針と液晶画面によるハイブリッド表示やソーラー充電への対応、そして風防ガラスにタッチする独自の操作スタイルなど個性豊かなコネクテッドウォッチの体験をレポートします。
必要十分なスマート機能が楽しみ尽くせる
ティソが1999年に発売した「ティソ T-タッチ」は、風防ガラスに静電容量式のタッチセンサーを内蔵する独自のタクタイルウォッチとして、伝統的な腕時計のスタイルを打ち破りました。
以降、25年の時を経て2024年5月に発売されたT-タッチ コネクト スポーツは、ティソによるタクタイルウォッチの系譜を継ぐ最新のコネクテッドウォッチです。iOSとAndroid、Harmony OSの各プラットフォームに対応する「Tissot Connected」アプリと連携しながら、スマホからの通知も含む様々な情報を、鮮やかなAMOLEDディスプレイに表示します。
文字盤に搭載するソーラーパネルで内蔵するリチウムイオン充電池をチャージしながら、数ヵ月間に渡る自律動作ができます。ウォッチを充電する手間が苦手な方も、本機は必要十分なスマート機能がストレスなく楽しめると思います。
T-タッチ コネクト スポーツには全6種類のバリエーションと、2種類のストラップサイズがあります。価格はモデルにより14万8500円から16万5000円の間に分散しています。
セラミック製のベゼル、耐磁性をもつサテン仕上げのチタン製43mmケース、傷防止加工を施したサファイアクリスタルガラスを全モデル共通の仕様としています。ストラップのバリエーションはシリコンが5色と、チタニウムブレスレットが1種類。クイックリリースシステムを採用するストラップは簡単に着脱交換ができます。カラバリを楽しむ場合は複数台のウォッチを買わなくても、簡単に着脱ができるストラップを交換する方法があります。
今回筆者はチタニウム製ブレスレットのモデルを借りて体験しました。バランスの取れた剛性と軽さを特徴とするチタニウムの特性を活かした、驚くほどに軽いウォッチです。筆者はふだん、49mmチタニウムケースのApple Watch Ultra(第1世代)を身に着けています。重さを量ったところ、アルパインループを装着したApple Watch Ultraが約75g、チタニウム製ブレスレットを装着したT-タッチ コネクト スポーツが約90gでした。アルパインループとチタニウム製ブレスレットという素材の違いが約15gの重量の差を生み、T-タッチ コネクト スポーツにとっては分が悪い比較ですが、T-タッチ コネクト スポーツのケースとブレスレットのバランスの取れた形状ゆえか、むしろ軽やかに感じられます。このあたりの「何気ないこなれ感」に、1853年の創業という長い歴史を持つスイス時計メーカーの物作りの洗練さと熟練度を体感しました。
アクティビティ計測を搭載。なのにバッテリーが長持ちする
ウォッチの名称に「スポーツ」が付く大きな理由のひとつは、本機がアクティビティトラッキング機能を備えているからです。BluetoothでペアリングしたコネクテッドウォッチのGPSを使って、ワークアウトの履歴をTissot Connectedアプリに記録できます。ウォーキングにランニング、サイクリングなどのワークアウトは移動した区間をアプリの地図に表示したり、移動距離や平均ペース、消費したカロリーなどを計算した「まとめ」のデータとして参照できます。
ウォッチ本体には光学式心拍センサーを内蔵しているので、ワークアウト中の平均心拍数も計測します。ワークアウトの計測を目的とする心拍センサーなので、アクティビティをオンにしている間だけ起動して、ウォッチのバッテリーの消耗を少なく抑える仕様としています。心拍を計るためだけにセンサーを起動する使い方ができません。
ソーラー充電、または専用のUSB充電ケーブルを使ってバッテリーを満充電にした状態からの、連続駆動時間の長さはユーザーの「使い方」によって変わります。
ティソは目安として、「週3回のアクティビティを実践した場合に連続2ヵ月間の駆動」が可能と伝えています。ワークアウト計測はユーザーがウォッチ本体を操作して起動しなければ始まらないので、アクティビティ機能を活用しなければ連続6ヵ月間前後まで長持ちします。
長時間に渡る内蔵バッテリーによる駆動を実現できた主な理由について、ティソは独自開発のオペレーティングシステムであるSwAplsを搭載してシステム全体の効率化を図ったことや、消費電力の低い部品を厳選したこと、ソーラー充電で常時不足を補えることを挙げています。
ソーラー充電と銘打っていますが、T-タッチ コネクト スポーツが文字盤に搭載する充電パネルは自然の太陽光と、照明器具などの人工光の両方によるチャージに対応しています。充電のパフォーマンスはウォッチが搭載する「太陽光」のメニューに搭載するゲージで大まかに可視化できます。
ウォッチのバッテリー残量は、本体のディスプレイを起動して0.5秒間長押しタッチを続けると目安となるゲージが表示されます。アプリのダッシュボードからにもざっくりとした表示があります。より具体的に残量をパーセンテージで表示しないところに、スイスの高級腕時計ブランドらしい美意識を筆者は感じました。
今回は1週間程度の取材期間だったことから、装着している間にバッテリーの残量が大きく減る手応えは感じられませんでした。ディスプレイも本体ケースのボタンを押してスリープを解除すると起動する仕様になっていたり、モバイルアプリからはウォッチを手首から外して、一定時間使わないままにした場合に本体をスリープさせる機能(時計の針が12時の位置でお休みします)のオン・オフが選べます。T-タッチ コネクト スポーツは省電力化を徹底して貫いたコネクテッドウォッチであると言えそうです。
必要な情報をコンパクトに表示するタッチディスプレイ
T-タッチ コネクト スポーツのタッチセンサーは、ガラス風防の下半分側に搭載しています。タッチ操作に対応するパネルは静電容量方式を採用。導電性材料でコーティングしたパネルと、触れた指との間に発生する微弱な静電容量の変化を検知してタッチ操作に変える仕組みです。
ケースのボタンを短く押すと、ディスプレイの表示が見えるように時計の針が1時50分を指して、スリープしていたディスプレイが起動します。スマホからの通知が届いた時にも、針が同じ位置へ素速く動きます。
タッチセンサーは上下左右のスワイプ、短押し・長押しの操作に対応しています。長押し操作が認識されると、ウォッチ本体のバイブレーションとサウンドで知らせてくれます。どちらもアプリの設定からオフにもできます。
操作を間違えた場合など、風防全体を覆うように手のひらを被せるジェスチャーでディスプレイがオフになり、最初から操作がやり直せます。筆者は画面全体がタッチディスプレイになっているApple Watchなどのスマートウォッチが「ふつう」になっていたので、最初はT-タッチ コネクト スポーツの操作方法に戸惑いました。でも1日腰を据えて使えばシンプルな操作にすぐ慣れました。
Tissot Connectedアプリにはスマホからの通知許可などベーシックな設定から、歩数やアクティビティのトラッキング履歴を見たり、T-タッチ コネクト スポーツを便利に使い倒すために必要なひと通りの機能が整然とまとまっています。ゆっくりと自分のペースでマスターしていけば、すぐにウォッチの全容が把握できると思います。
ウォッチ本体は5気圧防水なので、スポーツなどアクティビティの場面以外でも日常生活の様々な場面で気軽に身に着けることができます。
筆者が試したチタニウム製ブレスレットは、コマ調整したバンドをピタリとフィットした状態から素速く緩められるアジャスターを装備しています。スポーツで汗をかいたときなど、時計を外さなくても一時的に素速くフィットを緩めることができます。あるいはアクティビティを楽しむ際だけにぴたりとフィットさせて、ケース背面の心拍センサーを手首に密着させて計測するといった使い方もできます。
洗練された高級腕時計ブランドのコネクテッドウォッチ
ティソのT-タッチ コネクト スポーツは多岐に渡る機能よりも、洗練されたデザインの腕時計としてコネクテッドウォッチを身に着けたい方に相応しいと思います。
Apple Watchのようにユーザーが任意にアプリを追加することはできず、心拍センサーで常時心臓の健康を見守る機能はありません。睡眠トラッキングも非対応です。シンプルだからこそ、腕時計をたまには外して過ごしたい方や、ウォッチの「充電」をいつも気にしなければならないことが苦手という方に本機をおすすめします。
ティソは今後、アプリのアップデート機能を活かして計測可能なアクティビティを増やしたり、既存の機能をより使いやすくすることにも継続的に力を入れていくそうです。コネクテッドウォッチとしての面白さも長く色あせることなく楽しめると思います。
購入前に試着をしてみたい方は、T-タッチ コネクト スポーツは家電量販店での取り扱いがないので、Tissotブティックや時計専門店などを訪ねてみてください。
最後に、これから本機を購入間近の方、あるいは購入直後の方にペアリング時の注意点をTIPSとしてお伝えしておきます。T-タッチ コネクト スポーツのユーザーインターフェースは日本語表示に対応していますが、最初にペアリングする時には英語のみの表示になります。ペアリングの完了後、スマホアプリから日本語表示に変更できるので心配は不要です。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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