α誕生前! ソニー製カメラ「サイバーショット」の一眼っぽいモデルを振り返る
ASCII.jp / 2024年6月26日 12時0分
ソニーに「α」が登場する以前 デジカメはサイバーショットだった
ソニーの代表ブランドに上り詰めたデジタル一眼カメラ「αシリーズ」が登場するよりも前は、カメラカテゴリーはすべて「サイバーショット」として展開していました。
![ソニー](https://ascii.jp/img/2024/06/25/3754311/x/3cd1ecce6f4ffb69.jpg)
デジタル一眼レフカメラを持つ老舗のカメラメーカーとの間に、目に見えない大きな隔たりがあった頃。フィルムからデジタルという流れに乗って、ソニーはあらゆるカメラをチャレンジングに投入していきました。
カメラ然としたスタイルではなく、多くはコンパクトで持ち運びのしやすさからアプローチしたモデルであり、実際それらがヒットしたことも事実です。その中にあって、到達すべきカメラ像を追い求めたモデルも見え隠れしていきます。
1999年に一眼レフカメラのようなサイバーショットが登場
巨大なレンズに本体が合体したデザインで、全身シルバーに覆われつつも、一眼カメラを思わせるデザインの「DSC-F505K」が登場したのは、1999年のこと。その後マイナーチェンジを経て、ホログラフィックAFで正確なピントあわせが得意な「DSC-F717」へと進化をとげていきます。
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![ソニー](https://ascii.jp/img/2024/06/25/3754326/x/38707af388c7fbb3.jpg)
2003年に発売されたデジタルスチルカメラ「DSC-F828」は、世界初(当時)の4色カラーフィルターを採用して、見たままの色に近い色再現性をもち、撮影機能や操作性にも徹底してこだわったプロフェッショナルサイバーショットでした。
![ソニー](https://ascii.jp/img/2024/06/25/3754313/x/fd018c0d8b3ef52b.jpg)
スペックを見ると、センサーサイズは2/3型、Carl Zeiss Vario-Sonner T* 35mm換算で28mm-200mm(F2.0-2.8)の7倍ズームレンズを搭載。マグネシウム合金のダイキャストをボディーに採用して剛性を高めた結果、本体重量はバッテリーやメモリーカードを含めると約955g、約1kg弱というヘビー級に。メモリーカードも、ソニー主流のメモリースティックだけでなく、コンパクトフラッシュスロットのダブルメディアスロットだったのです。
カラーもついにブラックとなり、今までの近未来的な「他社とは違うんだぜ!」という孤高の路線ではなく、やはりたどり着くところは原点となるのか、一挙に本質へとよせていきます。
デザインが落ち着いた「DSC-H1」
2005年に発売された、デジタルスチルカメラ「DSC-H1」は、奇抜なサイバーショット路線からずいぶんとオーソドックスなカメラスタイルに。特徴的なのは、35mm換算で36-432mm(F2.8ー3.7、光学12倍)という、広角から超望遠までをカバーするズームレンズを搭載していることです。
![ソニー](https://ascii.jp/img/2024/06/25/3754314/x/44651851d5f875fe.jpg)
さらに、オプションとしてワイドコンバージョンレンズ「VCL-DH0758」を装着することで26mm相当の広角撮影や、テレコンバージョンレンズ「VCL-DH1758」を用いることで734mm相当の超望遠撮影までできたのです。
光学式手ぶれ補正機能を備えて、レンズ一体型カメラとしては本格的な撮影にも耐えうる仕様で、とてもイイセンをいっていたと思うのですが……。見た目のいかつさとは裏腹に、操作性含めてカメラ愛好家からすれば思ったような写真が撮れるとは言い難いというか、目に見えない壁のようなものがありました。
今度はアグレッシブなデザインになった「DSC-R1」 自社開発のCMOSセンサーも搭載!
そこに彗星の如く現れたのが、サイバーショット「DSC-R1」です。日和ってしまったかと思ったデザインは、アグレッシブで独特なものに。レンズ上部が異常に大きいのは、前面にストロボと、上から開く回転式のフリーアングル液晶モニターが内蔵されているというギミックで、かなり斬新でした。巨大なグリップ部は持ちやすさを重視して、一眼カメラなみの巨大さと1kgを超える重量で、トータルのインパクトは相当なものでした。
![ソニー](https://ascii.jp/img/2024/06/25/3754309/x/971d83e74e080397.jpg)
そして、なんと言っても自社で開発した 21.5×14.4mm大判CMOSセンサーを搭載したことも目玉! DSC-F828(2/3インチCCD)と比べて、なんと約5倍にもなる面積で、APS-Cサイズに迫る大きな撮像素子を一体型カメラに搭載することは当時としてはかなり珍しかったのです。1つの画素のサイズが大きくなることで、ダイナミックレンジも感度も、ボケ味も今までのカメラとは一線を画した存在に、度肝を抜かれました。
有効1030万画素、画像の縦横比は3:2。レンズは35mm換算で24-120mm(F2.8-4.8)の5倍ズームで、メカニカル式。拡大ボタンを押すと2倍デジタルズームで240mm相当での撮影もできます。もちろんカール・ツァイス Vario-Sonnar(バリオ・ゾナー)T*を採用しています。
今までにない大型のCMOSセンサーや、高性能なズームレンズ、操作性に至るまで、まさにソニーが作る高性能なレンズ一体型デジタルカメラとしての矜持を見せつけたわけです。
ソニーが追い求めたカメラに対する、ユーザーのニーズは確かにあったのですが、やはりレンズ交換できるデジタル一眼レフのような、奥深いカメラ市場に食い込むには難しい現実が横たわります。
家電メーカーが考えるカメラとしてはここが限界なのか? そんな思いがあったかはわかりませんが、このあとコニカミノルタから引き継いだカメラ事業が、まさか今のように成長するとは思いもよらない時代でした。
筆者紹介───君国泰将
![](https://ascii.jp/img/2022/06/01/3369681/x/fac309ba5f68b19b.jpg)
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