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ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く

ASCII.jp / 2024年6月30日 9時0分

 JVCケンウッドが「ビクター(Victor)」ブランドで展開する新しい完全ワイヤレスイヤホンが「HA-FX550T」だ。

HA-FX550T
HA-FX550T

 同社はこれまで、ウッドコーン振動板のイヤホンで高音質を追求してきたが、HA-FX550Tでは新たに11m口径のシルクレイヤー・カーボン振動板を採用している。ブラックとブロンズの2色展開で、実売価格は2万9700円前後。6月27日に発売済み。

 シルクレイヤー・カーボン振動板は、天然素材のシルク(絹)の成分をカーボンコーティングしたベース部に付加したものだという。ブランドとしては初のハイレゾコーデック(LDAC)を採用したのもポイントだ。ビクターブランドらしく、ビクタースタジオのエンジニアが協力したサウンドモードも付加されている。

 BluetoothはPower Class 1に対応している。Bluetoothの出力レベルではもっとも大きい仕様で、実装次第ではあるけれどもより遠い距離まで届き、切れにくいことを意味している。電池持続時間はノイズキャンセリングONの状態で4時間(ケース充電を合わせて14時間)とやや短い。

ウッドコーンにはないシルク素材の利点とは?

 先日開催されたOTOTEN 2024の会場で、HA-FX550Tでなぜシルク素材を選んだのか聞いてみた。

 JVCケンウッドによると、シルク素材はウッドに比べて製造しやすく、周波数特性にピークやディップが出にくくフラットで、作り込みやすいという長所があるそうだ。ウッド素材はスピーカーではいいが、イヤホンでは作りにくい面がある。シルクの方が低価格で音を良く作り込みやすいのだそうだ。価格的には「HA-FW1000T」の下となるが、シルク素材の効果で価格を下げられたということなので、音質的にはむしろ上だという。つまり、ビクターブランドの現行機種では、トップモデルとなるようだ。

HA-FX550T
形状に対しても工夫がある

 もう一つのポイントは装着性だ。普通のイヤホンは耳の下側で固定することが多いが、HA-FX550Tでは耳穴の上側で止める設計にしている。また、同じ11mm口径のドライバーでありながら、HA-FW1000Tより3割近く小型化できたのはシルク素材の効果もあるそうだ。

 このようにシルク素材化は低価格で音質を作り込めることと装着性の向上という2点で効果が出ているようだ。このためウッド製品とは違う新しいラインとして考えているとのこと。

自然で誇張感の少ない音、声の再現がいい

 会場で試してみると小型で装着感が高く、しっかりと固定できる。いつもよりもひとサイズ小さなイヤーチップでも問題ないほどだ。11mm径のイヤホンとしてはかなり良好と言えるだろう。音質も極めて高く、自然な音調で誇張感が少ない。音楽がきつめのところでもきつい音になりにくい。また声がとてもよく再現されていると感じた。

 HA-FX550TはHA-FW1000Tの下位機種と捉えるよりも、JVCケンウッドが打ち出した新しいシルク素材シリーズの旗手ととらえるべきなのかもしれない。これによってシルク素材シリーズが、ウッド素材シリーズに置き換わるのかまではわからないが、HA-FX550Tの売れ行き次第だろう。

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