サードウェーブの法人向けPCで“AIの民主化”を加速、ワークステーションやノートPC新製品を発表
ASCII.jp / 2024年7月3日 19時0分
サードウェーブは7月3日、ビジネス向けのクリエイターパソコンブランド「raytrek」と、「THIRDWAVE」ブランドの新製品を発表した。
RTX 6000 Adaを最大4基搭載可能なワークステーション
「raytrek WorkStation N8630」は、最大96コア/192スレッドのRyzen Threadripper Pro 7000WXシリーズを採用するワークステーション。最大4基のNVIDIA RTX 6000 Ada GPUを搭載可能となっており、ディープラーニングや大規模データ解析、リアルタイムレートレーシングなどの高負荷なグラフィック処理、AI開発において高パフォーマンスを発揮するとしている。
とくに、ニューラルネットワークのトレーニングやリアルタイムデータの解析を迅速に行なえるため、AIモデルの精度向上と開発スピードの加速が期待できるという。WRX90マザーボードを採用し、最大8チャンネルのメモリーサポートやPCIe 5.0対応の128レーンによって、ストレージや拡張カードの追加も可能となっている。
また、電源は1300W(80 PLUS Platinum)と1200W(80 PLUS Platinum)を1基ずつ搭載。オンライト保守3年間のサポートも提供する。
「raytrek workstation X2630」は、インテルのXeon W-2400/W-3400(Sapphire Rapids)シリーズを採用するワークステーション。こちらはビデオカードとしてNVIDIA RTX 6000 Adaが最大2基、GeForce RTX 4000シリーズは1基搭載可能となっている。最大512GBのDDR5 RDIMMメモリーが搭載可能なのも特徴。これにより、複雑なデータ処理がスムーズに行なえ、業務効率が向上するとしている。
PCIe接続による最大4TBのストレージもサポート。W790チップセットを搭載することで、無線LANやThuderbolt 4などの豊富なインターフェースも提供する。電源は1200Wで、80PLUS Platinum認証を取得している。
こちらは、AIの開発やディープラーニングなどのエントリーモデル向け、高解像度の映像編集やVFX、3Dレンダリング、2D/3Dモデリングや図面の作成・編集向けだという。
Core UltraとRTX 4060搭載でAIやクリエイティブにも使える1台
ノートパソコンとしては、16型でGeForce RTX 4060を採用する「raytrekR6-MT」、15.6型でGeForce RTX 3050/4060を採用する「raytrekR5-RL5R」「raytrekR5-RL6R」、14型でインテル Arc グラフィックスを採用する「raytrekA4-M」を発表した。
raytrekR6-MTは、Core Ultra7 155Hと、GeForce RTX 4060を搭載する16型ノートパソコン。NVIDIA Studio認証を取得を取得している。ディスプレーの解像度はWQXGA(2560×1600ドット)のほか、リフレッシュレートは240Hzに対応。DIC-P3カバー率は95%となっている。
サイズはおよそ幅358×奥行259×高さ24mm(突起物含まず)で、重さは約2.1kg。高解像度の編集・制作、3D CADを使用した立体モデルの作成業務、構造・流体解析など高度な解析・シミュレーション、AIアプリ設計・システム構築、ローカル環境での生成AIの処理などを想定しているという。
raytrekR5-RL5RはGeForce RTX 3050を、raytrekR5-RL6RはGeForce RTX 4060を搭載する15.6型ノートパソコン。CPUはCore i7-13620Hを採用している。ディスプレーの解像度はWQHD(2560×1440ドット)で、リフレッシュレートは165Hz、sRGBカバー率は約95%(sRGB比100%)となっている。
raytrekR5-RL5Rのサイズはおよそ幅360×奥行244×高さ24mmで、重さは約2.1kg。raytrekR5-RL6Rのサイズはおよそ360×奥行245×高さ20~28mmで、重さは約2.2kg。
想定の用途は、高解像度映像の制作・編集、アプリゲーム制作、製造業での図面作成や立体造形検証、設計事務所での設備設計や空間検証などとのことだ。
Core Ultra7とインテル Arc グラフィックスで14型、ディスプレーも高精細なモバイルノートパソコン
raytrekA4-Mは、Core Ultra7 155Hを搭載する14型ノートパソコン。サイズはおよそ幅317×奥行235×高さ19mmで、重さは約1.47kgとなっており、現場での稼働はもちろん出張にも持っていけるサイズ感となっている。
GPUはCPU内蔵のインテル Arc グラフィックスを採用。ディスプレーの解像度はQWXGA+(2880×1800ドット)で、リフレッシュレートは120Hz、sRGBカバー率は約95%(sRGB比100%)となっている。
想定用途としては、建築現場DXにおけるBIM閲覧、シミュレーション端末として、2D CADを使用した建築画面や配管図などの作成用、AIモデル建築用、映像やレンダリング数値解析やデータ分析などとなっている。
ビジネスに最適なノートパソコンやDeskMini採用コンパクトパソコンも
THIRDWAVEブランドからは、Core Ultra7 155Uを採用する16型ノートパソコン「THIRDWAVE DX-M7L-B法人モデル」と、Core Ultra5 125Uを採用する14型ノートパソコン「THIRDWAVE F-14MTL-B法人モデル」、DeskMiniを採用するコンパクトデスクトップパソコン「THIRDWAVE HGシリーズ」4モデルを発表した。
THIRDWAVE DX-M7L-B法人モデルは、Core Ultra7 155Uを採用する16型ノートパソコン。AI処理に特化したNPUを内蔵し、対応AIベースアプリケーションの処理を高速化し、効率的な運用を実現するという。GPUは、CPU内蔵のインテル グラフィックスを採用する。
ディスプレーの解像度は1920×1200ドットで、リフレッシュレートは165Hz。MIL規格に準拠しており、11種類の耐久テストをクリアした堅牢性も備えいている。加えて、ディスプレーは180度フラットにして、画面反転(Fn+R)機能を活用することで、共有ディスプレーがなくてもノートパソコンの画面を複数人で確認することが可能だ。
利用シーンとしては、事務処理用の端末、外出や出張用のモバイル端末、データ分析やプレゼンテーション資料の作成、教育現場での授業や講義用資料の作成、ソフトウェア開発用途などが挙げられるという。
THIRDWAVE F-14MTL-B法人モデルは、Core Ultra5 125Uを採用し、NPUも内蔵する14型ノートパソコン。GPUはCPU内蔵のインテル グラフィックスを搭載している。
ディスプレー解像度はWUXGA(1920×1200ドット)で、sRGBカバー率100%(95%保証)となっており、写真やデザインなどのクリエイティブワークの質を高めるという。サイズはおよそ幅313×奥行223×高さ18mmで、重さは約960g。1kg以下の薄型軽量ボディーなほか、動画再生時に最大7.5時間、アイドル時には18.1時間のバッテリー駆動時間も実現しているため、外出先でのプレゼンテーションや会議、出張中の作業にも最適としている。
利用シーンとしては、事務処理用の端末、外出や出張時のモバイル端末、外出先のプレゼンテーション用端末、データ分析やプレゼンテーション資料の作成、教育現場での授業や講義用資料の作成、ソフトウェア開発用途などを想定しているという。
THIRDWAVE HGシリーズは、容量約1.92LとコンパクトなDesk Miniを採用しながら、デスクトップ向けの14世代Core プロセッサーを搭載。VESA対応ディスプレーの背面への取り付けも可能なので、画面一体型パソコンのような使い方も可能となっている。
また、Noctua製のスリム型CPUクーラーを採用しているのもポイント。これにより、安心して長期間運用できるという。外部出力はHDMI、DisplayPort、USB Yupe-C(Alt Mode)/D-subを併用することで、最大4画面の同時出力が可能だ。
利用シーンとしては、パソコンを置くスペースが限られる場所での仕様、小型の事務処理端末、展示会のデモ端末など持ち運びようパソコンとして、デジタルサイネージなど組み込みよう端末としてなどが挙げられる。
ラインアップは、Core i3-14100を採用する「THIRDWAVE HG3024」、Core i5-1440を採用する「THIRDWAVE HG5024」、Core i7-14700を採用する「THIRDWAVE HG7024」、Core i9-14900を採用する「THIRDWAVE HG9024」の4モデルとなる。
なお、同社は綾瀬に本社工場、平塚に物流センターがあり、最短翌日出荷が可能な体制を構築している。加えて、海老名の事業所に24時間365日対応可能なサポートセンターもあるので、困ったことがあったらまずは電話して相談してほしいとのことだ。
加えて、ワークステーションは、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階のオンサイト保証が選択可能となっている。そのほか、パソコンのサブスクリプションも実施中。現在はラインアップには含まれないが、ニーズがあればワークステーションのサブスクリプションも検討していくとのことだ。
AIの民主化を進める製品になる
同社は7月3日に発表会も開催し、前述の新製品をお披露目した。加えて、パートナー企業となるNVIDIAの日本代表 兼 米国本社副社長の大崎 真孝氏と、インテル 代表取締役社長の大野 誠氏が登壇した。
大崎氏は「RTXは、コンテンツ、ゲーム、シミュレーション、AIまで処理できる高性能なプラットフォームです。サードウェーブとNVIDIAは、多くのゲーマーの方にしっていただけているコンビネーションだと思います。そして今回発表されたraytrekにも、NVIDIAの技術が搭載されています。このようなパートナーシップが、ゲームから始まってAIのほうにスケールされていくのは、自然なことだと考えています」と話した。
加えて、「昨今では日本でもどんどんAIへの投資が始まっていて、AIファクトリーやデータセンターが立ち上がっています。日本中で世界に対するAIの遅れを取り戻そうという動きが活発化してきています。そんな中で、技術者や研究者、スタートアップ企業や個人など、AIデータセンターを持たない人たちにAIコンピューティングを届けるという意味で、raytrekは大きな意味を持っていると思います。今後は、AIの民主化を進めるような製品になるのではないかと、期待しています」と述べた。
大野氏は「今回発表された製品の中には、我々のNPUを実装するCore Ultraプロセッサーを搭載しているモデルもあります。世界中のユーザーがシンプルにAIに興味を持っていて、今後はパソコンの作業効率や創作効率を上げるために必要になってくると考えています。また、ネットワークにつながずともシームレスにプライベートにAIを使用できる環境というのは、パソコンならではのユースケースだと思います。AIはパソコンの中心的な機能になっていくと考えておりますので、コラボレーションを通じてサードウェーブと一緒にAIパソコンを発展させていきたいです」とコメントしていた。
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