Ryzen 5 8600Gを標準搭載する1.92LのBTO PC、超小型PCの決定版になりそう
ASCII.jp / 2024年7月7日 10時0分
AMDのRyzen 8000Gシリーズは、CPUアーキテクチャーに「Zen 4」、GPUアーキテクチャーに「RDNA 3」を採用したAPUだ。Zen 4は電力効率が高く、幅広い用途をカバーできる。Ryzen 7000シリーズもZen 4なので、その実力の高さはすでに多くの人が知っていることだろう。
RDNA 3はRadeon RX 7000シリーズでも採用しているアーキテクチャーだ。こちらも電力効率やコスパが高く、ビデオカードはミドルクラスを中心に、悪くない評価を得ている。CPU内蔵GPU向けに規模は小さくなっているが、素性の評判は悪くない。
そんな2つのアーキテクチャーを採用したAPUだけに、Ryzen 8000Gシリーズは登場前から注目されていた。そして、今やエントリークラスのゲーミングPCはもちろん、小型PCで広く搭載されている。サイコムの「Radiant SPX3300X600A」も、Ryzen 8000Gシリーズを搭載する小型BTOパソコンの1つだ。
本体サイズは80(W)×155(D)×155(H)mm、容積は1.92LとデスクトップPCとしては超小型な部類だ。これだけ小さいにもかかわらず、消費電力や発熱の大きいデスクトップPC用のCPUを搭載できる点が最大の強みと言える。
つまり、比較的安価なRyzen 8000Gシリーズと組み合わせれば、価格を抑えながらそこそこ性能が高い超小型BTOパソコンになる。それでは詳しく紹介していこう。
ボディカラーは黒と白の2種類
ベースはASRockの「DeskMini X600」というベアボーンキット。標準構成では黒モデルだが、BTOメニューで白モデル(+3620円)も選べる。
インターフェースは背面にDisplayPort、HDMI、D-sub15ピンと3つの映像出力端子を装備。また、2基のUSB Type-A(USB 3.2 Gen 1)と2.5GbEの有線LANも備えている。
前面はUSB Type-A(USB 3.2 Gen 1)とUSB Type-C(USB 3.2 Gen 1)、マイク入力、ヘッドホン出力を搭載。USB端子の数が合計4つと少なめなので、複数のUSB機器を接続するのであれば、USBハブも用意しておきたい。
防塵フィルターが標準搭載、ACアダプターは小さめ
サイコムの独自要素としては、標準で防塵フィルターを添付している点がありがたい。吸気口となる側面に貼り付けるマグネット式のため、着脱が簡単で掃除がしやすい。ただし、防塵フィルターを取り付けると吸気量が減るので、冷却性能は低下しがちだ。高負荷な作業を長時間続ける時は、防塵フィルターを取り外してもいいだろう。
ACアダプターのサイズは65(W)×98(D)×23(H)mmと、かなりコンパクトでちょっと驚いた。120W(19V/6.32A)出力とは思えないほど小さく、「本体はコンパクトだけど、ACアダプターが大きくて残念」といった“小型PCあるある”はないので、心配ご無用だ。
カスタマイズでM.2 SSD×2構成にも対応
今回借りた試用機は、標準構成からカスタマイズしたもの。CPUクーラーとストレージ、メモリー、ボディカラーを変更している。ストレージに関しては、標準構成では2.5インチSSDだが、M.2 SSD×2と豪勢にしてみた。
各種カスタマイズにより、直販価格はかなり上がったしまったが、現在サイコムが開催しているサマーキャンペーンを活用すれば、もっと安く手に入る。標準構成は12万7000円、試用機のカスタム構成なら16万6030円になる。
小型PCながら結構カスタマイズできる
これだけ小さいと、内部の構造が気になるところ。早速、Radiant SPX3300X600Aの試用機を開けて内部をチェックしてみよう。
最大のポイントはCPUクーラー。標準構成のCPUクーラーでも必要最低限の冷却性能はあるのだが、より静かに、より強力に冷やせるに越したことはない。そのため、+6400円の追加投資になってしまうが、Noctuaの「NH-L9a-AM5」に変更することをオススメしたい。
メモリーはノートPCなどで採用されている小型のSO-DIMM。標準でも8GB×2の合計16GBと、一般利用では十分な容量だ。ただし、メモリースロットは2つしかなく、あとから追加はできない。
もちろん、既存のSO-DIMMを取り外し、新たに大容量のSO-DIMMを装着する「換装」であればメモリー量を増やせるが、余ったSO-DIMMが無駄になってしまう。
最近は多くのメモリーを使用するソフトも増えているだけに、できるなら購入時に16GB×2(+9860円)に変更しておきたいところ。
ストレージは標準ではSATA接続の2.5インチSSDを搭載している。しかしながら、速度面を考えるとNVMe対応のM.2 SSDに変更しておいたほうがいいだろう。
選べるSSDの種類は豊富だ。価格重視ならSolidigmの「P41 Plus」、性能重視ならSamsungの「990 PRO」といったように、メーカーやシリーズまで細かく指定できる点がうれしい。
先述のサマーキャンペーンでは、Crucialの「T500」の1TBモデルが5000円引きとなる。+6340円で標準構成と比べて容量が倍になり、PCIe 4.0対応で高速にもなるのでオススメだ。
ちなみに、M.2 SSDは2枚まで搭載できる。表面からは1枚しか見当たらないが、それもそのはず。もう1枚はマザーボードの裏側にあった。
もちろん、増設ストレージはSATA接続の2.5インチSSDやHDDも選べる。メインストレージは高速なM.2 SSDを選び、増設用は発熱が少なく価格が安い2.5インチSSD/HDDにする、といった組み合わせもアリだ。
まとめ:実用性の高さが魅力の省スペースPC
小型PCと言えば、さらに小さい「NUC」サイズもある。しかし、CPUがノートPC向けとなるため、デスクトップPCと比べると、どうしても性能面で劣る場合が多い。また、より小型なフォームファクターになることから、高負荷時の動作音は大きくなりがちだ。
その点、Radiant SPX3300X600Aはデスクトップ用のCPUなので、一定水準の性能が期待できる。もちろん、ビデオカードが入るサイズではないので、ゲーミング性能は「それなり」だ。しかしながら、内蔵GPU性能はほかのデスクトップPC用CPUの中では高いほうで、軽量なゲームなら十分遊べるはず。 また、CPUクーラーは薄型でも冷却性能に優れたNH-L9a-AM5が選べるため、動作が不安定になるといった心配もない。この時点で「超小型デスクトップPCの決定版」と言ってしまっても差し支えなさげだが、一方で動作音は様々なアプリを動かしみなければわからない。性能も含めて、次回のレビューでお伝えしよう。
ちなみに、ビデオカードが入る小型PCが欲しい人なら、サイコムの「Radiant SDM3300X600A」がオススメだ。過去のレビュー記事にはなるが、気になる方は「DeskMeet X600ベースの小型BTO PC、容積8LでRTX 4060の欲張りゲーミング構成を実現」や、「容積8Lの小型PCでRyzen 5 8600G&GeForce RTX 4060を運用、温度と性能は大丈夫?」をチェックしてほしい。
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