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ソニーのミドルクラス「Xperia 10 VI」は2眼カメラに変更も性能は大幅向上

ASCII.jp / 2024年7月15日 12時0分

 ソニーの新しいミドルクラスのスマートフォン「Xperia 10 VI」は、「Xperia 5 V」を踏襲しカメラが2眼に減少する一方で、前機種「Xperia 10 V」での不満要素だったチップセットを進化させるなど、多くの部分で内容の刷新が図られている。具体的にどのような進化を遂げたのか、実機からチェックしてみよう。

ディスプレーの21:9比率は維持、半透明感のあるデザインに

 まずは本体を確認すると、Xperia 10 VIのディスプレーは約6.1型で、サイズは約68×155×8.3mm、重量は約164g。前機種となる「Xperia 10 V」もディスプレーサイズは約6.1型で、サイズは約68×155×8.3mm、重量は約159gであったことから、やや重くなったがほぼ変わらないサイズ感だ。

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「Xperia 10 VI」の正面。ディスプレーサイズや比率は従来と変わらず、正面からの見た目に大きな変化はない

 フラッグシップモデルの「Xperia 1 VI」は、ディスプレーに大きな変更が加えられ、比率が21:9から19.5:9に変わったことで本体サイズにもやや違いが出ているが、Xperia 10 VIは21:9比率が維持されていることも、サイズには大きく影響しなかったといえる。それゆえボディーは従来同様幅が70mmを切っているため片手でホールドしやすく、片手での利用にはとても安心感がある。

 一方で大きく変わっているのが背面のデザインだ。「Xperia 5 V」同様、カメラが3眼から2眼に減少したこともあって、Xperia 1シリーズよりもXperia 5シリーズに近いデザインへと変化させている。とはいえ、カメラ部分の出っ張りは前機種に引き続きかなり低く抑えられているので、背面を背にしてテーブルなどに置いた時もあまり気にならない。

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背面から見たところ。カメラ数が減少した分デザインにも変化が出ているが、本体のカラーも半透明感のあるものとなっている

 だがカメラよりもデザインに大きな変化を与えていると感じるのが背面加工の変化で、Xperia 10 VIは半透明感のある独特の加工が施されており、手触りはさらさらというより、しっとりとした印象だ。カラーはブルー、ブラック、ホワイトの3色だが、発売時期が夏であることを考えるとブルーは季節感にうまくマッチしたカラーといえそうだ。

 側面のインターフェースを確認すると、右側面に音量キーと指紋センサーを備えた電源キー、右側面にSIMスロット、底面にUSB Type-C端子、上部に3.5mmのイヤホン端子が備わっている。このあたりは従来のXperia 10シリーズと大きな変更はない。

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側面には音量キーと指紋センサー付きの電源キーが備わっている。カメラの出っ張りはかなり低いので安心感がある
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底面にはUSB Type-C端子が用意
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上部には3.5mmのイヤホン端子が備わっている

望遠は広角カメラでカバー カメラアプリはより使いやすく

 続いてカメラを確認すると、Xperia 10 VIの背面のカメラは約4800万画素/F値1.8の広角カメラと、約800万画素/F値2.2の超広角カメラの2眼構成で、先にも触れたがXperia 1 VIよりもXperia 5 Vに寄せた構成となっている。フロントカメラは約800万画素/F値2.0と、こちらは前機種と変わっていない。

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カメラは広角・超広角の2眼構成で、「Xperia 10 V」と比べると望遠カメラがカットされている

 Xperia 10 Vからの大きな変化となるのは望遠カメラがカットされたことだが、Xperia 10 VIは広角カメラの高い画素数を活かし、一部を切り出すことで光学2倍ズーム相当(35mm換算で焦点距離52mm)の望遠撮影を実現している。

 この仕組み自体はXperia 5 Vと共通したものだが、Xperia 10 Vの望遠カメラは光学2倍ズーム相当(3.5mm換算で焦点距離54mm)であったことから、それに近しい距離はカバーできることになる。

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超広角カメラで撮影した写真
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同じ場所から広角カメラで撮影した写真
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同じ場所から広角カメラの2倍ズームで撮影した写真。「Xperia 5 V」などと同様に、広角カメラで撮影した写真の一部を切り出すことでロスレスズームを実現する仕組みだ

 それ以外のカメラの性能に関してはXperia 10 Vと大きな変化はなく、広角カメラのセンサーサイズも1/2.0型と変わっていない。ただ、Xperia 1 VIに合わせてカメラアプリの大幅な変更がなされたことで、Xperia 10 VIにもいくつかの変更点がある。

 1つは背景をぼかしたポートレート撮影で、従来はナイトモードと同様画面上部から設定する必要があったのだが、Xperia 10 VIでは「ぼけ」モードを選ぶことでより簡単に撮影できるようになった。

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従来は画面上部から選択する仕組みだった、背景をぼかした撮影も、インターフェースの変更により「ぼけ」モードを選ぶことで撮影できるようになった

 また、写真・動画撮影時のフィルターも充実し、Xperia 1 VIと同じ「Natural」「Vivid」など5つのフィルターに加え、「Aqua」「Cherry」など、よりカジュアルな4つのフィルターも利用可能となっている。

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写真や動画を撮影する際のフィルターは、「Xperia 1 VI」の5種類に加えカジュアルなフィルターが4種類追加されている
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同じ花を撮影して比較。こちらは「カジュアル」に類する「Daily」のフィルターを適用して撮影したもの
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こちらは「クリエイティブ」に類する「Natural」のフィルターを適用して撮影したもの

 そしてもう1つ、やはりXperia 5 Vで新たに追加された「Video Creator」が、Xperia 10 VIにもプリインストールされている。撮影した手元の写真や動画などを使って簡単にショート動画を作成できることから、SNSなどに動画を投稿している人には便利だろう。

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Xperia 5からプリインストールされている「Video Creator」も使用可能。簡単な操作でショート動画を作成可能だ

基本性能が2モデルぶりに強化 SoCにスナドラ 6シリーズを搭載

 性能面に目を移すと、Xperia 10 VIはチップセットにクアルコム製の「Snapdragon 6 Gen 1」を搭載しており、メモリーは6GB、ストレージは128GBだが、microSDスロットを使えば1.5TBまでの増設ができる。昨今のミドルクラスとして見た場合、メモリーがやや少ないが、Xperia Vが前々機種「Xperia 10 IV」からチップセットの変更がなかったことを考えると、ようやく性能進化が見られたことに間違いはない。

 Snapdragon 6 Gen 1はミドルクラスとしてはかなり性能が高く、各種ベンチマークやゲームのグラフィック設定を確認しても、もちろん最上位とはいかないがミドルハイクラスに近しい部類に入る。それゆえXperia 10 IVやXperia 10 Vから買い替えた場合でも、十分性能の進化を感じられるだろう。

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「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果
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「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果
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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定は「クオリティ」が「ウルトラHDR」、「フレーム設定」が「ウルトラ」までと、ハイエンドモデル並みの設定が可能だ
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「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「低」だが、最高クラスの設定にしてもある程度は問題なく動作し、確実に性能が上がっていることが分かる

 バッテリー容量は5000mAhと、こちらはXperia 10 Vと変わらずハイエンド並みの大容量を維持。本体が比較的軽量で持ちやすいだけに、それでいて大容量バッテリーを備えていることには安心感がある。

 そして通信に関してだが、Xperia 10 VIは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM構成。5Gの対応バンドはn3/n28/n77/n78/n79と多くはないものの、国内携帯電話会社の主要なバンドはしっかり押さえており、n79にも対応するのでドコモ回線でも利用できるのはうれしい。

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eSIMとのデュアルSIM仕様なのでSIMスロットはnanoSIM×1。トレイの裏面にはmicroSDを挿入できる

【まとめ】満足感は高いが今後のラインアップに不安も

 まとめると、Xperia 10 VIはカメラやデザイン、チップセットなどさまざまな面で大きな変更が加えられているものの、おおむね使い勝手はよく、ミドルクラスの定番モデルとして安心して購入できるのは間違いない。とりわけXperia 10 Vのパフォーマンスに不満を抱いていた人ならば、買い替えても不満はないだろう。

 ただ、Xperia 10 VIがXperia 1 VIではなくXperia 5 Vの機能やコンセプトを引き継いでおり、性能を除けばかなり近しい内容となっていることを考えると、今後のXperiaシリーズのラインアップにはどうしても不安が残る。スマートフォンの市場環境がかつてなく厳しい中にあって、ソニーが今後の端末ラインアップをどのようにしていくのかは非常に気になるところだ。

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