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「コレいいじゃん!」と思わずポチりたくなった高音質、beyerdynamic「Verio 200」を早速聞いた!!

ASCII.jp / 2024年7月12日 11時0分

beyerdynamicの新機軸「Verio 200」

 beyerdynamicは約100年の歴史を持つドイツの老舗オーディオメーカーだ。映画館向けの音響からスタート。最初のヘッドホン「DT48」は第2次世界大戦が始まる前の1937年の発売で、その時に使われた型番「DT(Dynamic Telephone)」は2024年の現在まで現役製品に継承されているというから驚きだ。

 ちなみにDT-48は100年の歴史から見ればごく最近となる2013年(約10年前)まで生産されていたそうだ。

 実は筆者も、最近アニバーサリーモデルの「DT 770 PRO X Limited Edition」を手に入れた。beyerdynamicの製品は、欧州市場を中心に音響制作/配信などを手掛ける人に根強い人気がある。DT 770 PROにしてみても最初の機種は1980年代に登場しているのですでに相当に長いシリーズだ。ドイツらしい確実で品位の高いエンジニアリング、根気強さ、息の長さがある質実剛健な製品づくりが特徴のブランドととらえている。

 さて、beyerdynamicに関する筆者のイメージは、そんな感じの真面目さが前面にくるのだが、改めて製品ラインアップを眺めてみると、クリエイター、音楽鑑賞、ゲーミングなど様々な用途に合わせてラインナップはかなり多彩であることが分かる。

 特にヘッドホンやイヤホンは、DTMで自分の曲を作ったり、じっくり音楽を鑑賞したりといった用途だけでなく、外で体を動かしたり、会議に使ったりと用途の幅が広がっている。となれば、軽量な本体、安定性が高く高音質なワイヤレス伝送や高性能マイクの搭載など、求められる機能も変わってくるはずだ。beyerdynamicの製品ももちろん、こうした用途を意識した機種が多数あるわけだ。

いま使うなら、絶対このタイプの製品が欲しいよね!!

 以上、前置きが長くなったが、ここで紹介するのはbeyerdynamicの中では新しいジャンルとなる完全ワイヤレスイヤホンの新機種「Verio 200」だ。

 既報の通り、「開放型の完全ワイヤレス」というのはブランド初の試み。耳をふさがず快適に使える機種と言うのは上に述べたような、スポーツ/会議など新しい用途にもマッチする。最近主流の密閉型(カナル型イヤホン)は、細かな音の聞こえや低域の再現などに優れる一方で、長時間着けていると疲れたり、ヒアスルーなどの技術を活用しないと外音が取り込めず、スピーディーに反応できない場合などもある。

 こういったデメリットは開放型であれば意識せずに済む。使い勝手も軽快だ。そうなると気になるのはbeyerdynamicらしい音質が得られ、快適な操作感や最高のオーディオ体験が得られるかどうかになるだろう。

 発売はまだ先だが、一足先に実機を試す機会があったので、簡単にその魅力を紹介していこう! なお、輸入代理店のオーディオブレインズは7月13~14日に秋葉原で開催される「ポタフェス 2024 夏」に出展予定。同製品の展示もするそうなので、気になる人はぜひ会場に脚を運んでチェックしてほしい。

こちらがパッケージ

 それでは外観から音質、操作感までを順に見ていこう。しっかりとしたつくりのパッケージはおなじみのbeyerdynamicロゴを下地に、その上に写真付きで製品の名前や主要機能のアイコンを載せた分かりやすいもの。最近のbeyerdynamic製品では共通の作りだ。

空けると充電ケースとご対面

 封を切って箱を開くと、充電ケースとご対面。これはトレーシングペーパーでしっかりと保護されている。楕円形で扁平なケースのサイズは69.5×25×100mmと大きめ。3色が選べるが、評価機のカラーでは河原や庭園などで見かける丸石のようにも見える味わい深い外観だ。質感はマットで、自然で安心感や親しみを感じさせる仕上がり。一方で、天板のロゴは金のシルク印刷、開いた内側のフォント類も銀色にするなどゴージャスさも兼ね備えている。

あのロゴとbeyerdynamicの文字がさりげなくプリントされている

 ケース中にはフック型のイヤホン本体が収まっている。このデザインには斬新さもあるのだが、質感やカラーリングはケースとも調和がとれたものであり、アイボリーでマットな質感と金属質のきらりとした光沢感を組み合わせるなど、どぎつくなりにくくまとめている。全体の統一感は保ちつつ、部分部分で質感を変え、光沢感とマットの対比をうまく変化させているわけだ。全体に上品な仕上げであり、奇抜さではなく上質さ/品位の高さをより多く強く感じさせるものとなっている。

 友だちに見せたら、高そうなイヤホン買ったねと称賛されるかもしれない。

ケースを開いたところ
パッと見で3つの異なる質感を組み合わせている

 分解図を見ると分かるが、コアとなるデバイスや基板類はドライバーのハウジング部分に収められているようだ。それに耳の裏側に回して重量バランスを取るための長い部分(写真ではゴールドのメタリック塗装された部分)があり、両者はやわらかいシリコン製の素材で連結している。ハウジング部は前後にチルトするほか、シリコン部分が自由な形状で耳にフィットする。重量は片側10.8gあるが、装着の負担は感じず、長時間でも快適に使えそうだ。

分解図、大型のドライバーを搭載している

 内蔵するドライバーは16.2mm径と大型で、カスタム設計のグラフェンネオジムドライバーとしている。これは振動板にグラフェンコート、駆動にネオジム磁石を使用するという意味だろう。Bluetooth 5.3でaptX Adaptive、aptX Lossless、AAC、SBCコーデックに対応するので、伝送の安定性、音質、低遅延のいずれの意味でも安心感がある。本体はIPX54対応だ。

 フック型で開放型のイヤホンとしては形状やスペックは他社に近いものもある。もしかしたら一部がプラットフォーム化(共通化)されているのかもしれないが、カスタムドライバーと表現していることからも、使用する電子部品やドライバー、ソフトなどにbeyerdynamicとしての細かな調整が入っていると想像できる。つまり音は独自のものなのだろう。

 バッテリー駆動時間は本体のみで8時間。これも十分に長く、IPX54の防滴仕様となっている。

アプリ画面

 今回は詳しく試せなかったが、beyerdynamic Appで5バンドのEQ調整が可能とのこと。本機は対象ではなさそうだが、beyerdynamicのワイヤレス製品は個人最適化機能も利用できるので、今後はそういった対応も期待したいところだ。

装着感良し、音は……すごくいい!!

 装着カットなどを見るだけでは分かりにくいが、Verio 200の音が出る部分は耳穴より少し上にくる。装着感としてはインイヤー型やイントラコンカ型のように耳に掛ける感じではなく、少し上に固定して覆う感じに近い。隙間もかなり広く空いており、周囲の音はほぼさえぎらずに聞こえる印象だ。そのため、イヤホンを着けたままでも、日常作業や会話などに全く支障が出ない。

硬い部品同士をシリコンで挟んでつないでいるので形状変化も自由

 一方、そこまで自由に外音を通すなら、再生音もスカスカになってしまうのではないかと心配する人がいるかもしれない。ここは筆者としても驚いたところだが、開放型イヤホンという言葉から想像する、芯のなさ、低域の軽さ、音の頼りなさなどのデメリットをまったく感じさせないのがこのイヤホンの出音だ。特にしっかりとした低域が出るのが印象的だった。

 逆に、カナル型や密閉型特有の閉塞感はなく、音場は本当に広い。ここの音の再現も細やかで、臨場感、ディティール感、立体感などが非常によく調和している。この音場再現の広さは、DT 770 PRO X Limited Editionなど最近のモニターヘッドホンでも重視している印象があるのだが、サウンドでbeyerdynamicを選ぶ、ひとつの理由になりそうだ。

 もちろん多少の音漏れはあるので、しんと静まった図書館、あるいは満員の通勤電車などでの使用は適さないが、人が密集してない場所で、クラシックなど全体の音圧が小さい楽曲を聴く分には気にならない程度の音もれだ。

 聞く音楽のジャンルも問わないだろう。ここでは「iPhone 15 Pro Max」にゼンハイザーのUSBドングル「BTD 600」をつなぎ、Apple Musicで再生した音をaptX Adaptiveで伝送して聴くのを基本とした。Apple Musicをザッピングして、ヒットチャートに上がってくる曲をいろいろと聞いたが、ジャンルをまたいだ楽曲をいろいろと試してみても、音に欠点らしい欠点は見当たらなかった。

 例えば、ぼっち・ざ・ろっく!の作品内楽曲を収めたアルバム『結束バンド』。こういったビート感や低域の迫力が求められるロック/ポップスもリズミカルかつ、音の分離感よく再現できる。逆にクラウス・マケラ 『ショスタコーヴィチ:交響曲第4番・第5番・第6番』のようなオーケストラ曲では、個別の楽器のディティールとオーケストラ演奏ならではの広さ、広がりの調和が素晴らしい。打楽器の音なども明瞭で歯切れよく、とても気持ちがいいのである。

意外なことに耳の後ろに回す部分にはマイクなどもないようだ

 beyerdynamicの他の製品に比べると、音色はブライトで高域はキラキラ、低域はハッキリ・クッキリとしたメリハリ感の効いたチューニングではある。beyerdynamicの音に慣れた人からすれば、ややリスニング寄りに感じるのかもしれないが、癖がなく、抜け感に優れ、ディティールだけでなく広がりも十分に感じられるまとめ方のうまさはさすがである。

 一般に開放型イヤホンとしてイメージする音とは一線を画する、明瞭感、抜け感があるのは強調しておきたい部分である。

マイクは上部と穴が開いている
ハウジング部分は耳の上側に収まり、そこからやや下向きに音が放出される

 本機に興味を持った人の中には、ランニングなど周囲の音を聴きながら体を動かしたい人や、日常生活で家事などの作業をしながらいい音で音楽を楽しんだりするシーンをイメージしている場合も多いだろう。本機はもちろんこうした利便性を提供するが、こうした集中して音楽を聴くのとはまた違ったシーンの中に、脳が活性化するような高音質が入り、同居するというのは、なかなか素晴らしい感覚である。

 筆者はイヤホンのタッチ操作、特にダブルクリックが苦手なので、音量のアップ/ダウンに使う「ダブルクリックして、2つ目のクリックを長押し」みたいな操作がちょっと大変ではあるが、ここはアプリを使ったり、慣れたりすればきっと何とかなるだろう。

 いずれにしてもVerio 200にはブランド初のカテゴリーに取り組んだとは思えない完成度の高さがあると思った。

 この音と使い勝手が手に入るのなら、3万円台中盤という実売価格も、最近の輸入オーディオ商品の値上がりを考えれば、比較的手ごろにも感じられる。毎年、多数の製品が出る完全ワイヤレスイヤホンだが、その中でもこの夏、特に注目してほしい製品がVerio 200である。

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