【レビュー】HUAWEI WATCH FIT 3は「Apple Watchの代わり」になる!?
ASCII.jp / 2024年7月18日 12時0分
筆者がHUAWEI WATCH FIT 3を最初に見たときに思ったのは、「Apple Watchに似ているなぁ」ということ。前モデルのHUAWEI WATCH FIT 2までは文字盤が縦に長く、“スマートウォットとスマートバンドの中間”という印象でしたが、FIT 3は正方形に近いスクエアなフェイスとなり、大きさは筆者が使っているApple Watch(Series 6の44mmモデル)と同等。パッと見では、Apple Watchと見間違う人が多いのではないかと。実際には「それ、Apple Watchですよね?」などと聞かれたことはないのですが、おそらく、そう思っている友人もいると思います。なんと言っても、いまやApple Watchは世界で一番売れている腕時計ですからね。
HUAWEI WATCH FIT 3の価格は2万3980円。Apple Watchは最も安いApple Watch SEの40mmモデルでも3万4800円〜です。と考えるとHUAWEI WATCH FIT 3を使って、Apple Watchと同じような満足度が得られるのならおトクです。はたしてHUAWEI WATCH FIT 3はApple Watchの代わりになり得るのか? むしろ、Apple Watchよりも便利だったりするのか? 今回は、両方を使い比べた筆者の率直な感想をお伝えしたいと思います。
HUAWEI WATCH FIT 3は軽さが魅力
HUAWEI WATCH FIT 3は、角丸のスクエアな時計の右上に回して操作できるクラウン(リューズ)、右下によく使う機能を割り当てられるボタンを搭載しています。その中間にマイクがあり、左側面にはスピーカーがあります。このレイアウトはApple Watchと全く同じ。ボタンに割り当てられている機能には若干違いがありますが、これまでApple Watchを使っていた人がHUAWEI WATCH FIT 3の乗り換えるとスムーズに操作できそうです。逆もまたしかりでしょう。
HUAWEI WATCH FIT 3のケースはアルミニウム合金で、ベルトは複数の素材・デザインから選べます。筆者が使っているApple Watchのケースはアルミですが、ステンレススチール製のモデルも選べます。Apple Watchのベルトは素材やデザインのバリエーションも豊富。実際に装着した肌感でも、Apple Watchには高級感が感じられます。そのぶん値段も高いわけですが、デザインを重視するなら、Apple Watchを選ぶのが得策でしょう。
ですが、日常的な装着を続けていると、「HUAWEI WATCH FIT 3のほうがいいかも……」と思ったりも。HUAWEI WATCH FIT 3は軽いんですよ。本体の重さが26gで、ベルトを付けた状態で計ってみると48gでした。一方、筆者が使っているApple Watchは本体が36gで、ベルト込みで63g。ウォッチを着けたまま運動したり、寝たりするには、軽いほうがラクですよね。
HUAWEI WATCH FIT 3は自由にアプリを追加できない
HUAWEI WATCH FIT 3は、Apple Watchとの決定的な差分があります。それはアプリを追加できないこと。HUAWEI WATCH FIT 3も文字盤のデザインを変えたり、ウィジェットのような「カスタムカード」を編集したりといったカスタマイズはできますが、スマホのように「自分が使いたいアプリをインストールして追加すること」はできません。
一方、Apple WatchはApple Watch向けのアプリがたくさんあり、「App Store」からアプリをダウンロードしてウォッチに追加できます。自分が必要な機能を拡張でき、スマホにインストールしているアプリと連携させて、より便利に使うこともできます。これはApple Watchの大きなアドバンテージと言えるでしょう。
HUAWEI WATCH FIT 3、Apple WatchともにBluetooth通話機能を備えていますが、HUAWEI WATCH FIT 3は、あらかじめ設定した連絡先にしか発信できないのに対して、Apple Watchはダイヤルキーをタップしての発信も可能。GPS+Cellularモデルを選んだ場合は、ウォッチ単体で発着信ができます。もはや“腕時計タイプのスマートフォン”と呼んでもいいでしょう。
Apple WatchはSuicaやSiriが使えるが……
Apple Watchの優位性は、まだまだあります。次に挙げたいのが決済に使えること。アップルの決済プラットフォーム「Apple Pay」を利用でき、Suica、PASMOなどの交通系ICカードやクレジットカードを登録して使うことができます。電車に乗る際に、いちいちスマホを取り出さずにすむわけです。
ファーウェイのスマートウォッチの中には、ファーウェイの決済プラットフォーム「HUAWEI Pay」に対応している機種があります。しかし、HUAWEI WATCH FIT 3は非対応。仮に対応していたとしても、日本ではHUAWEI Pay利用できません。なお、HUAWEI WATCH FIT 3には「MCash」という決済サービスのアプリと思われるものがインストールされていましたが、iPhoneでは使えないようでした。
音声アシストタント「Siri」が使えることもApple Watchの利点。筆者はiPhoneではSiriを使うことは少ないのですが、Apple Watchでは天気を確認したり、再生中の曲名を調べたり、タイマーを設定したりと、頻繁に活用しています。音声アシスタントはスマートウォッチに相性がいいので、HUAWEI WATCH FIT 3にも同様の機能があればいいのになぁと思ったりも。
スマートウォッチの重要な機能である通知も、Apple Watchのほうが使い勝手がいいです。そもそもApple WatchはiPhoneに最適化されているので、iPhoneに設定した通知を反映でき、さらに、Apple Watchには表示させたくない通知を制限したりすることも可能。一方、HUAWEI WATCH FIT 3をiPhoneとペアリングして使う場合、個別に通知のオン・オフができるアプリに制約があるため、不便を感じることもありました。
ヘルスケア機能は、それぞれに特徴アリ
ヘルスケア関連の機能は、ほぼ互角という印象。計測の精度は筆者には判断できず、使い勝手に若干の差はあったりしますが、基本的には腕に着けているだけでOK! 特に意識することなく、日々の健康状態をチェックできます。
計測された結果の見やすさや分析の細かさでは、HUAWEI WATCH FIT 3に軍配が上がります。HUAWEI WATCH FIT 3では、スマホにインストールした「HUAWEIヘルスケア」アプリでさまざまな設定ができ、ウォッチで計測されたデータが同期されます。例えば、睡眠をトラッキングすると、眠りの深さがグラフで表示されて、眠りの質を点数で表示。さらに、快眠のためのアドバイスも得られます。
ただし、搭載されている機能では、Apple Watchが一歩リード。Apple Watchには「心電図アプリ」がインストールされているので、循環器に疾患があったり、不安があったりする人には心強いでしょう。実は、筆者も循環器系の基礎疾患があるのですが、心電図アプリはほとんど使っていません。あくまでも簡易的なものなので、定期的に病院で検査してもらうだけで十分だなぁと。なので、必要性の有無は分かれるでしょう。
運動のモチベーションを上げたいならHUAWEI WATCH FIT 3
運動を記録するワークアウト機能も、どちらも不満なく使えます。あらかじめ用意されているワークアウトのモードが多くGPSを内蔵しているので、ランニングやウォーキング時に位置情報を記録することもできます。
筆者は、日常的に行っている運動はウォーキング(愛犬の散歩)程度。あとは、気が向いたときにランニングしたり、スポーツジムに行ったりする程度です。となると、油断すると太りがちで、その都度「ダイエットしなきゃ……」と思うわけです。そんな筆者のような人に向けた機能は、HUAWEI WATCH FIT 3のほうが充実しています。例えば、自分の体力や目標に合わせたランニングプランを作ってくれる「AIランニングプラン」は、初心者でも無理なく始められて、少しずつ負荷を上げていくことを提案してくれます。
食べたもののカロリーを記録すると、その日に消費したカロリーと照合されて、カロリーの過不足がわかる「ボディメーカー」という機能も秀逸。食べ過ぎているときには「少し運動しなきゃ」と、逆に忙しく動き回ったときには「今夜は結構食べても大丈夫そうだな」と気づくことができる仕掛けです。
電池持ちはHUAWEI WATCH FIT 3に軍配
スマートウォッチの使い勝手に大きな影響を及ぼすのが電池持ち。HUAWEI WATCH FIT 3は、通常使用で最大10日間、ヘヴィユースで最大7日間となっています。一方、Apple Watchは機種によりますが、筆者が使っているモデルは最大18時間だったはず。現行モデルのApple Watch Series 9やApple Watch SEも通常使用時は最大18時間です。
実際に使っていると、HUAWEI WATCH FIT 3は、1日に減るバッテリー容量は10〜15%程度で、充電は1週間に1〜2回で済んでいます。Apple Watchは朝に満充電して夜まで使うと、残量は20〜30%程度になっています。そのため毎日の充電は欠かせません。筆者は夜の入浴時間を利用して充電していますが、うっかり忘れてしまうこともあります。仕事で一日中外出していて、気づけばApple Watchが電池切れして、画面が暗くなっていることもありました。電池持ちを重視するなら、迷うことなくHUAWEI WATCH FIT 3をおすすめします。
今回、細かく比べてみると、HUAWEI WATCH FIT 3がApple Watchに似ているのは形状だけで、機能や使い勝手には結構差がありました。Apple Watchにしかできないことがある一方、HUAWEI WATCH FIT 3には便利なヘルスケア機能があったり、電池持ちでは大きく優っていたり……。さて、あなたが気になるのはどちらですか?
筆者紹介――村元正剛 iモードが開始された1999年から携帯電話市場を追い、新機種のレビュー記事などを多くの雑誌やウェブに寄稿。最近はスマートウォッチやワイヤレスイヤホン、スマートスピーカーなど、スマホとつながるデバイスにも興味を深めている。編集プロダクション・ゴーズの代表で、スマホ関連の書籍/ムックの編集も手がけている。
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