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シュートする選手をカメラが見極めてくれる時代が来た!!=キヤノン「EOS R1」&「EOS R5 MarkⅡ」完全解説

ASCII.jp / 2024年7月18日 9時0分

 キヤノンは7月17日、プロフェッショナル向けのフラッグシップミラーレスカメラ「EOS R1」と、高画素モデル「EOS R5 MarkⅡ」を発表した。ともに、新開発の「Accelerated Capture」の搭載により、高度な撮影能力を実現している。

 価格はオープンで、R1ボディの直販価格(キヤノンオンラインショップの予価)は108万9000円で11月発売、R5 MarkⅡは65万4500円で8月下旬発売の予定だ。

 2機種はターゲットユーザーもボディサイズも異なる。R1はもちろん、フラッグシップならではの高速性能と信頼性で大型、R5 MarkⅡは高解像度の写真とともに8K動画も撮れるのにコンパクトだ。ところが、この2モデルは共通の新技術を搭載した「兄弟カメラ」なのである。

 両機種の実機に触ることができたので、共通機能を中心に解説していこう。

11月と8月発売だが、予約は同時に始まる。

★基本性能★ R1・R5 MarkⅡともに 「Accelerated Capture」でカメラ全体を高速化 手ブレ補正も最強化

 撮像素子はともに新開発の「フルサイズ・裏面照射・積層型CMOSセンサー」で、画素数はR1が2420万画素、R5 MarkⅡが4500万画素だ。ともにデュアルピクセルCMOS-AFで、高速読み出しと低ノイズによる高画質化を両立している。

 新たに搭載した映像エンジン「DIGIC Accelerator」は、映像エンジン「DIGIC X」とCMOSの間で処理を行うもので、大量データをセンサーから読み出し、AE・AF検出などの解析処理を瞬時に行う。

 「新CMOS」と「DIGIC Accelerator」と「DIGIC X」の組み合わが「Accelerated Capture」だ。高速キャプチャ、高速解析、高速AF、高速連続撮影、ローリングシャッター歪みの低減を実現している。

性格の異なる2機種だが、エンジンは同じだ
R5 MarkⅡのメイン基板、中央の黒い長方形のチップがDIGIC Accelerator で、その右の銀の正方形がDIGIC Xだ。

 高速読み出しにより、電子シャッターでのローリングシャッター歪みの低減を実現しており、R1では「EOS-1D MarkⅢ」のメカシャッターと同等レベル、R5 MarkⅡでは「R5」の歪み量の40%に軽減している。

 両機種ともに、進化したボディー内5軸手ブレ補正機構を搭載。また、レンズ内光学式手ブレ補正機構を搭載したRFレンズでは協調制御にも対応し、中心最大8.5段・周辺最大7.5段の手ブレ補正効果を発揮する。さらに、広角特有の画面周辺でのブレを抑制する周辺協調制御も搭載する。

手ブレ補正の向上にも、センサーの信号処理を行う「DIGIC Accelerator」のパワーが寄与している。

 R1では輝度モアレや偽色を抑制しつつ、通常のローパスフィルターと比べて解像感が向上するように16点分離のGD(Gaussian Distribution)ローパスフィルターを搭載している。

★連続撮影★ R1では最高毎秒40コマ 「静止画プリ連続撮影」は20コマ可能

メニュー構成は同じで、ボタン類の基本配置も迷わない程度にほぼ揃っている。(左がR1で右がR5 MarkⅡ)
上面のスイッチ類はシャッターボタン周りが同じだが、それ以外は異なる。(左がR1で右がR5 MarkⅡ)

 連続撮影速度は電子シャッターでR1では最高毎秒40コマ、R5 MarkⅡでは毎秒30コマを実現。さらに、速度の選択肢として、毎秒30、20、15、12、10コマなど細かい選択が可能となった。ちなみに、メカシャッターでは、R1・R5 MarkⅡともに最高毎秒12コマだ。

 任意のボタンに異なる連写速度を設定して、押している間だけ一時的に連写速度を変更することもできる。

 シャッターを全押しする前の静止画をさかのぼって保存できる「静止画プリ連続撮影」は、R1では最大20コマ、R5 MarkⅡでは15コマまで指定可能だ。

★高画質★ 「アップスケーリング」で解像度4倍の1億7900万画素に AEエリアは16倍の6144分割に細分化 ニューラルネットワークでノイズ低減

 R1・R5 MarkⅡともに、「カメラ内アップスケーリング」機能を内蔵する。これは、ディープラーニング技術を活用し、撮影後のJPEG/HEIFから解像感の高い画像を生成する機能だ。縦横の画素数を2倍に拡大した高解像度画像がカメラで生成できるので、トリミングした画像をPCなしで投稿や送信ができる。

 トリミング時にアップスケーリングすることもできるので、処理時間が短縮できる。画素数は4倍となるが、ファイルサイズは3倍前後。カメラの機種ごとにチューニングしているので、PCアプリで実施するより効果が高い。

R5 MarkⅡで撮ったオリジナル
R5 MarkⅡで撮ったオリジナル(左・8192×5462ドットで4500万画素)と、カメラ内でアップスケーリングした写真(右・16384×10928ドットで1億7900万画素)の部分拡大。単なる画素数UPではなく、ディテールが4倍細かくなっているのがわかる。(クリックで拡大します)

 AEについてもR1・R5 MarkⅡともに、測光ブロックを従来比16倍細かく、384分割から6144分割となり、被写体輝度をより的確に取得できる。遠くの人物や、サングラス、マスク、横から光を受ける顔でも肌領域判別可能となり、オートライティングオプティマイザーと連携して適正なコントラストになる。

 また、AF時の「被写体検出優先AE」のON/OFFが指定可能となり、被写体の露出にあえて合わせたくない場合に利用できる。

 ホワイトバランスも、測光ブロックの細分化と、ディープラーニングの新アルゴリズムにより、オートの精度を向上。芝生での青みがかり、薄曇りでの赤みがかり、日陰での青ころびが防げる。

左のR1は2.5GBase-Tの有線LAN端子を内蔵する。右のR5 MarkⅡはHDMIのType-A端子搭載で動画を重視だ。
左のR1はCFexpress×2に、右のR5 MarkⅡはCFexpress とSDカードスロットを採用している。

 R1は常用最高ISO感度は102400で拡張が409600、R5 MarkⅡは51200と102400となる。RAWで撮影した静止画をカメラ内で処理し、ノイズを低減した高画質な画像をカメラ内で生成する「ニューラルネットワークノイズ低減」機能も搭載する。

★AF★ ついにシュートする選手をカメラが感知してくれる時代が到来!! 顔を登録した人物を優先AF 伝統の「視線入力」もさらに正確に

 「Accelerated Capture」により、解析可能なAF情報量が増え、被写体個体の特徴や動き、被写体以外の情報も取得し、トラッキング性能が大幅に向上した。

 R1では、トラッキングの100%のエリアで、縦線に加え、横線を検出できる「クロスAF」が可能となった。横線が多い被写体や、小さい被写体、低コントラストなどでの被写体捕捉精度が向上している。

R1では縦のズレだけでなく、横のズレも検出できる「クロスAF」を搭載する

 トラッキングでは、追尾対象とそれ以外とを識別するための特徴量を学習で獲得、バスケットボールやサッカーなど、類似被写体が交錯するチームスポーツでも撮りたい選手を粘り強く追尾する。

 また、「上半身検知」により、人物が小さい場合の検知精度が向上したほか、動物や乗り物のトラッキング精度が向上している。

 障害物が被写体の前を横切るシーンなどでも被写体の頭部と、その前に重なる障害物を見分ける「頭部領域推定による障害物回避」により、精度の高いトラッキングが可能となっている。

 「アクション優先」は、サッカー、バスケットボール、バレーボールで、特定のアクションをしている被写体を認識して、AFフレームを自動で移動する機能だ。

 「Accelerated Capture」の高速データ処理と機械学習、ディープラーニングによる新しいアルゴリズムで、複数人物や関節の状態、さらにボール位置を最高60fpsで検出して判断している。どの人物がシュートやアタックをするかを、カメラが瞬間に認識してくれる時代が到来したのだ。

○サッカー シュート、ヘディング、ショートパス、ロングパス、ドリブル、クリア、プレースキック、キーパーセーブ、スローイン、スライディング ○バスケットボール シュート、リバウンド、パス、ドリブル、フリースロー、ジャンプボール ○バレーボール スパイク、トス、レシーブ、サーブ を、アクションとして認識する。R1とR5 MarkⅡを持って、試合会場に行きたくなる機能ですね!!楽しみです!!!

「アクション優先」AFのイメージ。この場合はヘディングしそうな選手とボールの位置を認識して、AF枠を移動してくれる。ついにカメラがシュートする選手を見定めてくれる時代が来た!

 「登録人物優先AF」は複数の人物の中から、優先する被写体を検出して追尾する機能。R3より、顔が斜め時でも追尾性能が上がっている。

顔を登録した選手をきちんとAFし続けてくれる(赤ユニフォーム10番の選手)。複数人を優先順指定で登録することも可能だ。

 EVFはR1では高輝度943万ドットを搭載し、最大倍率0.9倍、120fpsとなった。R1・R5 MarkⅡともに進化した視線入力を搭載。新開発の小型光学系と視線検出アルゴリズムの刷新により、検出周期を従来の30fpsから60fpsへ2倍高速化し、高精度と高追従性を両立、光学系も新規設計とすることで目の位置がずれた場合や眼鏡装着時の検出安定性も向上している。

実機で視線入力を試したが、設定なし、メガネ着用ながら、正確に動作してくれた。ちょっとSFな感じがする。
R5 MarkⅡでは新バッテリーLP-E6P(右)が登場、サイズ・容量ともに、従来のLP-E6NH(左)と変わらないが撮影枚数は増えている。
R1の機能まとめ
R5 MarkⅡの機能まとめ

★動画性能★ R5 MarkⅡでは8K60PのRAW動画記録が可能 動画でも「プレ記録」で決定的瞬間を逃さない 動画撮影中に静止画連写が可能に

R1(左)とR3(右)の正面のボタン配置は変わらない
R1(左)とR3(右)の背面もボタン数は増えているが基本配置は同じで戸惑いはない

 R1ではフルサイズ画角での6K60PのRAW動画や、4K/120PのMP4動画記録を実現。R5 MarkⅡでは8K60PのRAW動画、4K60PSRAW動画の記録が可能。

 フルHD動画(R1では60P、R5 MarkⅡでは30P)撮影中に、16対9での静止画記録が可能となった。動画撮影を停止せずにR1では1780万画素、R5 MarkⅡでは3320万画素で最高約10コマ/秒の連続撮影が可能だ。

 動画班と静止画班を手配することなく両方を撮影することができる。撮影後FTP送信時に速報の静止画だけ送信することもできる。

 両機種ともに、動画でも撮影ボタンを押す3秒前もしくは5秒前から映像を記録することが可能な「プレ記録」機能を搭載する。静止画と同様に、決定的瞬間の撮り損ないを防いでくれるのはありがたいですね。

 R1では動画撮影時常用ISO32000を達成し、暗いシーンでの撮影にも対応。ノイズリダクションのアルゴリズムの改善によりR3よりもさらに高感度撮影時のノイズを低減している。

 また、4K/60PのMP4動画をSlot1へ、ファイルサイズの軽いProxy動画をSlot2へ同時に記録することもできる。

 「CINEMA EOS SYSTEM」と共通の仕様として、用途に応じて画質調整が可能な「カスタムピクチャー」や「Canon Log 3」と比較し、中間から暗部の階調性が高い「Canon Log 2」を搭載し撮影用途に応じた最適な設定を選択できるようになった。

 また、デジタルシネマカメラ「EOS C400」と共通のファイルシステムXF-HEVC S/XF-AVC Sを採用、ワークフローを共通化し、編集作業を効率化できる。

冷却機能強化のため R5 MarkⅡではクーリングファンのオプションが登場

 R5 MarkⅡでは、「クーリングファン(CF-R20EP)」が同時発表となった。バッテリーグリップのように装着すると、R5 MarkⅡの底面の吸気口に送風を行なうもので、ボディ左の端子部から排気する。クーリングファンを装着すると、カメラのメニューで、強度や動作の設定が行えるようになる。

クーリングファンはバッテリーグリップのように装着する。内部にはバッテリーが2本収まる。前面の多穴部から吸気する。
R5 MarkⅡの底面にある吸気口(写真左下)に、クーリングファンからの空気を送る(左上)。コネクター部にあるスリット(写真右)から排気して、撮像素子と基板を冷やす仕組みだ。
クーリングファンを装着するとメニューにて設定が可能。写真左の画面ように、動画撮影時の待機時は高速回転させ、撮影時に備えることもできる。
R1用の大型アイカップER-IE。実際に目を当ててみたが、遮光性は抜群だが、かなりデカいですね...

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