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逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ

ASCII.jp / 2024年7月21日 9時0分

nwm ONE
アンバサダー秋元梢さんが装着しているのがnwm ONE

 NTTソノリティの音響ブランド「nwm」(ヌーム)から初のヘッドホン「nwm ONE」が登場した。7月18日にはシェアグリーン南青山で、発表イベントが開催されている。価格は3万9600円で、同日発売となった。

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 イベントでは坂井博代表取締役社長から概要説明が行われ、アンバサダーの磯村勇斗氏、長岡亮介氏、秋元梢さんによるトークセッション、コメントが披露された。筆者は本イベントで実機を試聴し、開発者から興味深い話を聞くこともできた。

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 nwmはこれまでも独自技術で音モレを防ぐ、“パーソナライズド・サウンドゾーン(PSZ)”技術を用いた、オープイヤータイプの製品を市場投入してきた。具体的には昨年3月に本連載で紹介した「nwm MBE001」などがある。

nwm ONE
nwm ONE

 nwm ONEはこのPSZ技術をヘッドホンに適用し、さらにビームフォーミング技術と雑音除去のスペクトラム・フィルター技術からなる「Magic Focus Voice」機能をマイクに搭載した製品である。

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 ヘッドフォンを新たにラインアップに加えたのは、nwmブランドを本格的に海外展開することが関係していそうだ。Noble Audioが最近新しくヘッドホンを発表した理由のひとつがそうであるように、ヘッドホンを開発してラインアップに取り入れることは、特に欧州市場にに進出する際に重要な意味合いを持っているからだ。

nwm ONE

2ウェイドライバーによって高音質化

 nwm ONEの大きな特徴は、完全にハウジングが開放されていることだ。そのため周囲の音や話し声を容易に聞くことができるが、同社ではそれを"Unmute the world(世界に音を解き放とう)"や“没入から共存”という言葉で表している。生活環境に溶け込ませるためにデザインもミニマルデザインが徹底されていてロゴもない。また、185gという軽量さにより快適性を実現している。

 また、高音質化にも取り組んでいる。ここは開発者のプロダクトグループマネージャー滝澤拓斗氏に詳しくお聞きした。

開発者の滝澤拓斗氏
開発者の滝澤拓斗氏

 nwm ONEは2ウェイのドライバー構成で、2つのドライバーをデジタルアンプを用いてバイアンプ駆動するヘッドホンである。12mmの中高音域ドライバーと35mmの低域ドライバーを搭載。パッシブのクロスオーバー回路は使用せず、DSPを使ったデジタルチャンネルデバイダー(高域/低域信号の分割)を持つ、アクティブクロスオーバーを用いている。クロスオーバーポイント(高域/低域を切り分ける周波数)は1kHz付近にあるそうだ。12mmの中高音域ドライバーは、従来のnwmのイヤフォンと同じ口径だが、パワーアップして新規開発されたものである。

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ドライバーの解説

 デモ用に製作された透明外装の開発用デモ機を見せてもらうと、PSZ技術の秘密がわかる。

 「逆相で音モレを防ぐ」というと、DSPで逆位相の音を発生させているように思うが、PSZ技術のポイントは「逆位相の音をデジタルではなくあくまでアコースティック(つまり音響的に)出している」ということだ。

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開発デモ機として用意したスケルトンモデル、SoCのある側を見せている。
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赤丸が音圧ポート

 このことは開発用デモ機のドライバーを見ると分かるが、中高音域ドライバーと低域ドライバーのそれぞれに弓形の逆位相ポートが設けられている。ここから振動板の背圧を取り出して逆位相出力としているわけだ。

 これは音楽として聴く正相音と同じ音圧が出ているそうだ。仕組みを書くと簡単のように思えるが、多大なノウハウの蓄積によるものだという。

 またSoCにも様々なカスタマイズがなされている。主に信号処理はSoC内のプログラム機能を用いているようだ。nwm ONEではLE AudioやAuracastなど最新の通信標準にも対応している。

自然で好ましい音調、音モレは確かに気にならない

 では、どんな音がするのだろうか。手持ちの「iPhone 15 Pro Max」にBluetoothでnwm ONEを接続する。一般的なBluetoothデバイスと同様、簡単に接続できた。

 音楽を聴いてみると、騒々しい空間に音楽が浮かびあがるような不思議な感覚が感じられた。耳から少し離すと全く音は聞こえなくなる。ただし、実際には音モレの大きさは周囲の環境音の大小に左右される。他人との会話は普通に可能である。

 音質は良好だ。全体に出音は軽めではあるけれども周波数バランスがよく聞きやすい。低域が抜けたような感じは少ない。低域は軽めだがウッドベースの音色自体はよく再現されている。ロックではドラムスは軽めだがそれなりにパンチが感じられる。おそらく超低域は物理的な遮蔽がないので抜けてしまうが、人が主に低域として知覚するような中低域はよく出ていると思う。中高域の再現性は良好で、

 アコースティックの楽器音は美しく聞こえる。ただしヴォーカルが少し遠い感じはする。静かな環境なら音楽は十分に楽しめそうだ。

nwm ONE
右が通常の外観。左はコーンを取り去って中高域ドライバーが見えている状態だ。

 試聴ブースから少し離れた静かな場所に行き、ヘビメタをボリューム最大で再生してみた。30-40cmくらいの距離ではほぼ聞こえなくなる。ファミレスの隣のテーブル席などでは、かなり音量を上げても音モレはまず聞こえないと思う。

 総じていうと最新のオープンイヤー型イヤフォンに似た音傾向で軽めのサウンドではあるが帯域バランスが良く、静かな環境であれば普通に音楽を楽しめると思う。音モレはPSZ技術によりかなり抑えられているので周囲に気を使うことも少ないだろう。また、イヤホン型とは異なり、ヘッドホンの音場の広さを楽しむことができる。

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磯村勇斗氏による除幕

 実のところ、オープン型のヘッドホンで音モレも抑えられる選択はない。"ONE"という言葉の「唯一のもの」という意味があるように、自分のライフスタイルに適合するかどうかが、「nwm ONE」を選ぶかどうかのポイントとなるだろう。

 NTTソノリティは、来たる7月27日に開催される「夏のヘッドフォン祭 mini 2024」にも出展するということなので、気になる方は試してみてはいかがだろうか。

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