条件次第で“最安”をうたうLINEMOの新プラン「ベストプラン」って、実際どうなのか調べた
ASCII.jp / 2024年7月21日 12時0分
ソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」に、新プランの「ベストプラン」が発表された。月10GB以下の場合にMMO4社の中では最安になるとアピールしている。実際のところどうなのだろうか。
月10GB以下、MMO限定で最安といっても、MVNOはさらに安い 実はそれほどありがたくはないかもしれない!?
まず、この新しい「ベストプラン」は2段階で料金が変化するプランだ。通信量が月3GB以下では990円だが、3GBを超えて10GBまでは2090円となる。MVNOの格安SIMでは、月10GBで2090円以下のものは多数あるが、サブブランドを含めたMNOでは実はそういうプランは存在しない。
Y!mobileやUQ mobileでは近い金額を見たことがあるかもしれないが、それは光回線セットや特定のクレジットカード払いなど、数々の割引条件をすべて付けた場合に限られる。単体加入ではかなり金額が上がってしまう。
ちなみに割引条件がすべて揃うのなら、Y!mobile「シンプル2 M」は20GBで2178円、UQ mobileの「トクトクプラン」は15GBで2178円となる。
なお、「LINEMO ベストプラン」の比較対象となっているのが、楽天モバイル「Rakuten最強プラン」で、こちらは3段階制のプラン。家族割引などがない単独加入でも、3GBを超えて20GBまで、つまり10GB使ったときの料金は2178円となる。LINEMOはこの楽天モバイルに対して最安だと言っているわけだ。
ただしMNOに限定して、料金を比較する意味があるかどうかは微妙なところだろう。確かにMVNOの格安SIMでは、平日昼休みの時間帯などで速度が極端に落ち込む事業者はまだ存在するが、それ以外では問題なく利用できるばかりか、速度的にも優秀なサービスもある。
同じソフトバンク回線で比較すれば、最近品質が改善されたとしているmineo「マイピタ」の10GBプランは1958円。さらに安いサービスだとNUROモバイル「VLプラン」は10GBで1485円だ。
ドコモ回線やau回線のMVNOも入れると、MVNO大手のIIJmioは10GBで1500円。日本通信SIM「合理的みんなのプラン」は1390円(さらに通話定額も込み)、イオンモバイルは1848円と、いずれもLINEMOよりも安く利用することが可能だ。
「段階制のプランは使いやすいのか」という問題がある
LINEMOの新プランは月3GBから料金が上がり、月10GBまで使える「ベストプラン」に加えて、月20GBまでは2970円で、20GBを超えると30GBまで使えて3960円の「ベストプランV」がある。どちらも段階制プランで、まもなく開始の新プランスタート後は、新規加入の際は段階制の新プランしか選べない(既存ユーザーはそのまま旧プランを利用し続けられる)。
段階性プランが使いやすいかどうかは、ユーザーの考え方次第だが、月3GBを超えるかどうかのボーダーライン上にいる人は、990円か、その倍以上の2090円になるか気にしながら使うことになってしまうかもしれない。
3GBを超えるのは仕方ないと考えていて使うのであれば問題ないのかもしれないが、とにかく安く使いたいという人は、請求が倍以上になる心配が発生するので(3GBを超えないように制限をかける仕組みは用意されていない)、通信量が決まっているサービスのほうが安心できる、追加の容量チャージが割安ならなおよいと思う人もいるだろう。ちなみにLINEMOの追加チャージは、1GBにつき550円とMVNO並だ。
また、LINEMOには余った通信料の翌月繰り越しはない。繰り越しがあることによって、月による通信量の上下を吸収できる可能性を考えると、繰り越しなしのプランは少々使いにくい。
前述のとおり、10GB以下ではMNOで最安、20GB利用する場合でもドコモのahamoと同水準であることを考えれば、LINEMOはMNOの中で安価なことは間違いないが、通信量に気をつけないと料金が変わるという点は意識しておいた方がいいだろう。
さて、現状のLINEMOの速度はどうか? 楽天モバイルとどっちがいい?
実際の速度計測だが、LINEMOの新プランはまだ始まっていないので、現行プランで契約したSIMで計測した。場所は住宅地で、比較対象は料金面で競合している楽天モバイルと、MVNOの代表的存在のIIJmioのドコモ回線だ。今回の計測地点では、ドコモだけがたまに5G表示になり、ほとんどがLTEでの通信だった。
LINEMOはY!mobile版のAQUOS wish2で計測。終日安定して数十Mbpsが出る一方、上りの速度はあまり早くないというソフトバンク回線でよくある傾向の結果となった。
一方、楽天モバイルはシャオミ「Redmi 12 5G」で計測。全体に早い速度になっている。楽天モバイルといえばエリアが問題になるが、筆者の行動範囲では圏外表示になる場所はなく、大きな問題は発生していない。
それでもたまには建物内で通信が不安定になり、QRコード決済がスムースに行かないときがある。その点では、楽天モバイル回線だけを契約した状態で、安心して使うことはできないのは確かだ。
IIJmioは「iPhone 14」で計測。普段は爆速、でもランチタイムに速度が落ち込みはのは相変わらず。これをどう評価するかは使い方次第だが、昼休みにガンガン動画視聴をするというのであればIIJmioはやや不安。しかし、昼休みは使わないというのならば、IIJmioの速度や料金は大きな魅力だろう。
ちなみに、スマートフォンの性能的にiPhoneを使ったIIJmioが有利な数値が出そうだが、iPhone 14でLINEMOを試したところ、AQUOS wish2にほぼ同等の数値が出ているので、今回のテストでは端末差はあまり関係なく、全体的な傾向として捉えてほしい。
結果としては、LINEMOは平均して順調に使える性能を持っているSIMであることは間違いなく、安定を求めるのであれば選んで問題ない回線と言える。特に、ドコモのデータ通信にいまだ問題を抱えている都市部などで使う人は、ソフトバンク回線を低価格で使えるLINEMOはいい選択肢になるはずだ。
料金が上がる心配なくソフトバンク回線を使いたいならMVNOへ
MNO各社のオンライン専用プランは、当初は月20GBで3000円を少し切るくらいのところで競っていたが、ahamoは(大容量プランを出した以外に)変わらず、povoは基本別物のpovo 2.0に変身、LINEMOは月3GBで990円のミニプランがMVNO並の料金ということもあり、MNOがいいという人には唯一無二のプランだった。
今回、2段階制の「ベストプラン」になって2090円払う可能性が生じるプランになったのは筆者的には残念。もちろん月3GBでは少し足らないといったように、「ベストプラン」のほうが使いやすい人もいるはずなので、できれば「ミニプラン」を残したまま、「ベストプラン」も追加してもらいたかったところだ。
今後、割安で料金が上がる可能性なしにソフトバンク回線を使いたいというのなら、低容量ならNUROモバイル、大きめならmineoなど、MVNOを検討するのがよさそうだ。
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