JR西、500系新幹線運転終了 国内初の時速300km営業を実現した名車が引退へ
ASCII.jp / 2024年7月25日 7時0分
西日本旅客鉄道(JR西日本)は7月24日、2027年を目処に、山陽新幹線での500系の営業運転を終了する方針を明らかにした。置き換えには8両編成に改造したN700Aを使用する予定。
日本初の時速300km運転からエヴァコラボまで波瀾万丈の30年
500系新幹線電車は1997年3月、東海道・山陽新幹線「のぞみ」用の車両としてデビュー。航空機が優勢になりがちな東京〜博多間直通列車の所要時間短縮を目指し、JR西日本が初めて独自開発した新幹線車両であると同時に、日本の鉄道で初めて時速300km台での営業運転を実現した車両でもある。
速度アップに伴い、高速運転時の騒音対策もさらに強化。静かに飛ぶフクロウの羽根にヒントを得た静音パンタグラフ、航空宇宙技術研究所の協力を得て設計した、トンネル突入時の衝撃音をやわらげるロングノーズ先頭車、車体側面の段差減少を目的とした客用扉のプラグドア化など、500系用に新たに開発されたものや、新幹線としては500系で初めて導入された技術も多い。
なお、当初の計画では最高速度は時速320kmで、車両側もそれに見合った性能をもっていたが、コストパフォーマンスの改善や、災害時の制動距離短縮が求められた結果、信号システムで最高速度を時速300kmに抑える形へ変更されている。
2008年には新型車両に追い出される形で「のぞみ」運用から撤退を開始。2年後の2010年には「のぞみ」としての営業運転を終了した。
「のぞみ」からの撤退後は編成両数の短縮(16両→8両)やパンタグラフ交換などの改造を経て、新大阪〜博多間の「こだま」用として続投。改造により時速300km運転はできなくなったが、「新世紀エヴァンゲリオン」や「ハローキティ」とのコラボ車両も登場するなど、「のぞみ」時代とはまた違った形で、同社の花形車両として活躍していた。
後継車両はN700Aの機能向上型
JR西日本によると500系の置き換えは、今後、N700Sの追加投入で余剰となるN700A(16両編成)を8両編成に短縮して対応。改造は2026年度から2029年度にかけて、同社の博多総合車両所で実施する。
改造対象のN700Aは、ブレーキ距離の短縮や車両の状態監視機能を強化した機能向上型で、8両編成化にあわせて、4席の車椅子スペースも設置予定だ。
また、同社は500系の営業運転終了までに各種企画を実施するとしているが、7月24日現在、詳細は発表されていない。
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