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NTTドコモ「dアカウント」一から作り直した方がいいのでは

ASCII.jp / 2024年8月1日 0時0分

 先日、NTTドコモに関する意見をSNSに投稿したところ、結構な反響があった。

 ことの発端は7月29日に相次いだ知り合いのSNSへの投稿だった。7月31日発売の「Galaxy Z Fold6」の購入手続きに対しての不満を述べている人が多かった。機種変更の際、残債が残っている場合に手続きの必要が出てくるようなのだが、それがオンラインではうまくいかず、ショップに行くにもオンラインでの予約手続きが結構面倒で、二度手間、三度手間になるというものであった。

 ここ数年、NTTドコモにおいては、こうした顧客体験が著しく低下しているのではないかという危惧もあって、SNSに投稿した次第だ。

 特に実感するのがdアカウント関連だ。d払いをいざ使おうと思うとログアウト状態になっており、コンビニのレジであたふたする。ログインしようと思っても、うまくログインできず、結局、別のスマホ決済や現金で支払うことが多くなっていた。

「ドコモ口座不正利用事件」で社会問題化

 dアカウントにとって災難だったのは、2020年に起きた「ドコモ口座不正利用事件」だろう。ドコモ口座という決済などに利用できるサービスにおいて、銀行の預貯金が不正に利用されるという事件が起きた。当時、dアカウントと銀行口座の紐付けに関するセキュリティが甘く、さらにドコモユーザー以外の被害に遭う可能性があるなど、結構な社会問題になった。

 dアカウントは、そもそもドコモに契約があり、回線と紐付いた形で認証するだけであれば、何ら問題はなかった。

 しかし、NTTドコモはオープン化に踏み切り、ドコモの回線がなくてもdアカウントを持てるように開放した。結果、ドコモ口座不正利用事件が起きてしまった。不正利用事件を契機にセキュリティ面の強化が図られたのだが、これでユーザーの使い勝手が一気に落ちた。

 「使いたいときにログアウトしている」「ログインしたくても上手くいかない」という状態が続き、結局使わなくなるという状態を招いてしまっている。

 仕事柄、4キャリアを比較する上で、4社の回線、アカウント、スマホ決済サービスをすべて持ち、いろいろと使い分けている。その際、1台のiPhoneにすべて入れているのだが、au Pay、PayPay、楽天ペイは別会社の回線を使っていてもスムーズに使えるが、d 払いだけでは使おうと思うたびにログアウトしてまともに使えない。ドコモ回線に切り替えるなどしてなんとかログインする感じだ。

 最近ではパスキーに対応してちょっとまともになった感じはあるが、完璧という感じではない。他社もオープン化でセキュリティ面では苦労しているようだが、なぜかdアカウントだけが突出して使いづらい。

 今後、4キャリアは通信のみならず、金融やショッピングなど、経済圏をいかに拡大するかが重要になろうとしている。その際に必要なのは、様々なサイトで使える「アカウント」なわけで、dアカウントをいかに便利で快適、安全に使えるようにするかは、NTTドコモにとって避けては通れない喫緊の課題ではないだろうか。

ドコモにとっては「ahamo」も災難に

 NTTドコモに関しては、dアカウントだけでなくオンラインストアや契約においても長年の継ぎ足し継ぎ足しで使い勝手が悪くなっている印象だ。オンラインでの不具合をコールセンターのスタッフの尽力で何とか解消している感もある。

 こういう状況を見ていると「一度、作り直した方がいいのではないか」と進言したくもなってくるのだ。

 NTTドコモにとってもうひとつ災難だったのが「ahamo」だろう。

 ahamoは企画当初、ソフトバンクのワイモバイルやKDDIのUQモバイルのようにNTTドコモの「サブブランド」として開発されていたようだ。

 本来であれば、過去のしがらみを断ち切り、シンプルでわかりやすい料金体系やサービスだけでなく、オプションもできるだけなくし、契約などのシステムもできるだけシンプルに構築できたはずだ。

 ahamoのオンラインシステムを、既存のNTTドコモとは別に、ゼロから作り上げていけば、本当に使いやすいオンラインシステムができたのではないか。

 しかし、ahamoが登場するタイミングで菅政権による値下げ圧力が起こった。KDDIやソフトバンクが、サブブランドの料金改定で値下げ圧力を交わそうとしたが、武田良太総務大臣(当時)が「サブブランド値下げは羊頭狗肉」として、メインブランドでの値下げを要求した。

 急転直下、ahamoはサブブランドではなく、メインブランドの料金プランという方向転換が図られた。これにより、既存のシステムにahamaは組み込まれてしまった。

 ahamoのシステムを既存のシステムとは全く別物として作り上げていたら「ahamoのオンラインシステムはめちゃ快適」と言うことになったかもしれない。

 ちなみにソフトバンクでは、LINEMOのオンラインシステムは既存とは全く別物として開発し、オンライン契約のベンチマークとしており、ユーザーの声を聞きまくって徹底的に改善。「ショップでする手続きをオンラインで完璧に実現する」という目標のもと、機能強化を図り、その成果をソフトバンクやワイモバイルのオンライン契約システムに反映しているという。

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

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