1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

楽天モバイル好調のワケ 「三木谷キャンペーン」が金脈に

ASCII.jp / 2024年8月8日 7時0分

楽天

 楽天モバイルが好調だ。三木谷浩史会長は直近で750万近い契約数を確保していると言い、楽天モバイルの鈴木和洋共同CEOも「すでに800万は見えてきている。さらに、その先の1000万をできるだけ早い時期に達成していきたい」と意気込む。

 楽天モバイルにおける単月黒字化は契約数で800〜1000万と言われており、1つの目標はクリアしそうな雰囲気が出てきた(もう1つは1人あたりの通信料収入だが、こちらは2500〜3000円と言われており、現状は2000円前後であるため、目標達成はかなり先になりそうだ)。

 楽天モバイルは3000円程度の安価な料金プランでデータ使い放題ということで、既存3社からユーザーをさぞ大量に奪っているのかと思いきや、KDDIの髙橋社長は「我々から楽天モバイルへの流出を見ても、そんなに数は大きくない」と言い、ソフトバンク宮川社長も「ソフトバンク目線で見ても影響はほとんどない」と、2人揃って涼しい表情を見せた。

 ただ、髙橋社長は「(楽天モバイルにおける新規契約の)数字が短期間に上がっているのは若干、違和感がある」と指摘する。

楽天モバイル成長の原動力は「法人契約」と「SIM単体契約」

 楽天モバイルが契約者を伸ばしている原動力としては、三木谷会長が自ら営業をかけている法人契約が大きいとされている。しかし、一方で「SIM単体契約」も相当増えている模様だ。

 特にSIM単体契約は端末購入を伴わないため、自己負担なく気軽に契約できるのがメリットだ。髙橋社長は「分析してみると、データ通信量の少ないSIM単体契約ユーザーが楽天モバイルに移動している」と指摘する。

 KDDIとソフトバンクにおいては、解約率が上昇している。

 宮川社長は「SIM単体契約のみで、短期で乗り換えていくユーザーが多い。新規獲得もしやすいが、解約率の押し上げになっている。SIM単体で契約して、インセンティブをもらって、3ヵ月、4ヵ月で他社にぐるぐる回っていくユーザーが多い」と嘆くのだ。

 楽天モバイルのSIM単体契約で、ここ最近、特に盛り上がりを見せているのが「三木谷キャンペーン」だ。

「三木谷キャンペーン」という金脈

 楽天グループ従業員による紹介キャンペーンだけでなく、三木谷会長のXから辿っていける三木谷会長による紹介キャンペーンサイトが存在する。

 MNPで契約すると1万3000ポイントなのだが、従業員紹介キャンペーンでは1万4000ポイント、新規契約でも7000ポイントがもらえる施策だ。また再契約だけでなく2回線目、3回線目の契約も対象。5月末までは10回線までだったが、いまでも5回線までキャンペーンを適用できるようになっている。

 やり方を工夫すれば、一般向けの紹介キャンペーンを併用することも不可能ではない。家族などを巻き込んで、大量にポイントをゲットすることもできてしまうのだ。ポイントは、4ヵ月後から3回に渡って進呈される。

 ここで肝となるのが、楽天モバイルの料金プラン設定だ。「最強プラン」は3GB以下であれば1078円に抑えることができるため、MNPで契約すれば十分お釣りがくる。

 他社でも2万ポイント近くを付与するキャンペーンが存在するが、基本料金が高いため、数ヵ月後のポイント付与となれば、実入りはあまり多くない。その点、三木谷キャペーンの場合、基本料金が安く、複数回線、契約できるという点が人気なのだろう。

 宮川社長が「楽天モバイルの契約者は、どこから湧いていて出ているか。僕には見ていなかったマーケットがあるのかのしれない」と不思議がっていたが、まさに楽天モバイルは「三木谷キャンペーン」という金脈を掘り当てたのかもしれない。

 ただ、このSIM単体契約も、いずれ総務省に睨まれる可能性もゼロではないようだ。

いずれ総務省に睨まれる可能性も

 当然、このキャリアが支払う1万4000ポイントや2万ポイントの原資は既存のユーザーが負担しているものと言えるのだ。あちこちのキャリアを渡り歩くユーザーへのポイントが、既存のユーザーが支払う通信料金が原資となれば、総務省が怒りがちな「ユーザーの不平等性」と指摘されてしまう。

 宮川社長も「(SIM単体契約者へのポイント付与は)本当に大事にしたい既存ユーザーが支払う通信料を消化している。我々としても何かしら手を打ちたいのは事実。ただ、事業法でもSIM単体契約は上限2万円というインセンティブが許されている。我々1社だけで辞めればユーザーに外に逃げられてしまうのは目に見えており勇気が出ない」と苦しい内情を明かす。

 総務省としては、第4のキャリアとして楽天モバイルに新規参入を認めた手前、なんとか生き残ってもらうためにも、多少、楽天モバイルが無茶をしても目をつむるつもりだろう。しかし、既存3社からつるし上げをくらえば、何からのアクションを起こさざるを得なくなる。

 果たして、既存3社から総務省に対して「三木谷キャンペーン」への横やりは入るのか。楽天モバイルをお得に契約したい人は、なる早で三木谷キャンペーンにアクセスしたほうがいいかもしれない。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください