Xがブラジルから撤退し、Blueskyが笑う?
ASCII.jp / 2024年9月3日 7時0分
Blueskyは旧ツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏が2019年に立ち上げたSNSだ。Xが「中央集権的」なアプローチを採用しているのに対して、Blueskyは「分散型」のアプローチを採用していると比較される。
中央集権的なXは、ブラジルの最高裁の命令に対して、マスク氏が「そんなポリシーは導入できない」と言えば、システム上、そのポリシーは全世界で一律に導入される。一方、Blueskyの場合は、分散型であるため、国やコミュニティごとに独自のポリシーを設定しやすい特徴がある。
例としては、ブラジル国内でも「ボルソナロ氏を応援するグループ」でも「自民党総裁候補の〇〇さんを応援するグループ」でもいいだろう。Blueskyの場合、コミュニティごとに独自にアカウントをBANするポリシーを設定できる。確かに、この仕組みであれば、ブラジル国内では、偽情報を発信するアカウントを凍結するルールを他の国より厳しく設定することも可能かもしれない。
Xはこのままブラジルから全面的に撤退するのだろうか。2000万人を超えるユーザーを捨てる決定は、マスク氏という非常に「中央集権的」な経営者でないとできない決断だろう。Xという世界を代表するIT企業のひとつが、ブラジルという大市場から撤退するかどうかという側面も重要だが、今後の同国におけるXとBlueskyの展開という側面にも注目すべきだ。
SNSを震源地とした政治の不安定化やヘイトの増幅は、ブラジルだけでなく、米国や日本を含む世界中の国々が直面する問題だ。日本でも毎日のように発生する、SNSを巡る様々な問題に対し、分散型アプローチは一つの解決策になりえないだろうか。ブラジルでの今後の展開は、大いに参考になるかもしれない。
筆者──小島寛明
1975年生まれ、上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。2000年に朝日新聞社に入社、社会部記者を経て、2012年より開発コンサルティング会社に勤務し、モザンビークやラテンアメリカ、東北の被災地などで国際協力分野の技術協力プロジェクトや調査に従事した。2017年6月よりフリーランスの記者として活動している。取材のテーマは「テクノロジーと社会」「アフリカと日本」「東北」など。著書に『仮想通貨の新ルール』(ビジネスインサイダージャパン取材班との共著)。
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