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お買い得なクリエイター向けタブレット型の「Copilot+PC」=「ProArt PZ13」実機レビュー

ASCII.jp / 2024年9月5日 0時1分

 ASUSは、クリエイター向けの「Copilot+ PC」として「ProArt PZ13 (HT5306QA-PU161W」を9月4日に発表、同日より予約開始、9月5日発売となる。

 本製品はASUSのCopilot+ PCとしては初のクリエイター向けモデルで、なおかつ、タブレット型の2in1PCだ。

 CPUにはクアルコム製プロセッサー「Snapdragon X Plus X1P-42-100」を搭載。今後NPU対応クリエイター向けアプリで、高速化、低消費電力化などの恩恵を受けられるはずである。ASUSより試用機を借りたので、ハードウェア的特徴、使い勝手、パフォーマンスなどについて細かくチェックしていこう。

「ProArt PZ13 (HT5306)」直販価格24万9800円

「Snapdragon X Plus」を採用 スタンド+キーボード+ペンの 全部入りで25万円切り

 ProArt PZ13に用意されているのは1モデル。OSは「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーは「Snapdragon X Plus X1P-42-100」で8コア、最大3.4GHz、Qualcomm Adreno GPU、Qualcomm Hexagon NPU 45TOPSだ。メモリーは16GB(LPDDR5X-8448)、ストレージは1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。

 ディスプレーは13.3型OLED(2880×1800ドット、100% DCI-P3、Delta E<1、水平170度/垂直170度、タッチ対応、4096段階ペン対応、グレア)を採用。サウンド機能はステレオスピーカー(1W×2)、アレイマイクを内蔵。カメラはフロントに491万画素(赤外線対応)、リアに1324万画素(オートフォーカス対応)を装備している。

 インターフェースはUSB4(Type-C、映像出力、Power Delivery対応)×2、フルサイズSDメモリーカード(SDXC対応)を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi7、Bluetooth 5.3をサポートしている。

 ボディーはIP52の防塵防滴仕様。本体サイズ/重量は、 本体:297.5×202.9×9.0mm/850g 本体+スタンドカバー:297.5×202.9×11.8mm/1127g 本体+スタンドカバー+キーボード:297.5×211.15×17.6mm/1489g となっている。

 70Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、タブレット単体でのバッテリー駆動時間は動画再生時で約16.9時間、アイドル時で約26時間だ。

 本製品にはタブレット本体以外に、スタンドカバーやデタッチャブルキーボードに加えて、スタイラスペン「ASUS Pen 2.0」も同梱する。プロセッサーは下位の「Snapdragon X Plus」を採用しているとは言え、ストレージは1TBあり、2in1PCとしては優れたコストパフォーマンスを実現している。

ディスプレーは13.3インチのOLEDで2880×1800ドット、タッチ&ペン対応でグレアだ
ディスプレーの輝度は非公表、リフレッシュレートは60Hz。管理ユーティリティー「ProArt Creator Hub」から、色域はネイティブ、sRGB、DCI-P3、Display P3と切り替え可能だ
カラーはNano Black(ナノブラック)のみ。左側にあるのは吸気口だ
上面には電源ボタン、排気口、下面にはデタッチャブルキーボードと接続するための金属接点を用意
右側面にはボリュームボタン、左側面にはUSB4×2、フルサイズSDカードスロットを配置
microSDメモリーカードを装着する際にはアダプターを使用する
スタンドカバーは背面の吸気口をふさがない
デタッチャブルキーボードの正式名称は「ASUS Tablet Soft Keyboard」。「ASUS ProArt」のロゴが中央上部に配置されている
スタンドカバーとデタッチャブルキーボード込みの厚みは17.6mm
デタッチャブルキーボードは84キーの日本語配列
パッケージには、本体、スタンドカバー、デタッチャブルキーボード、ACアダプター、ASUS Pen 2.0、説明書類、microSDカードアダプターが同梱
ACアダプターのコード長は実測200cm
ACアダプターの型番は「AD2178320」。仕様は入力100-240V~1.5A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、5-21V 3.25A、容量65W
ASUS Pen 2.0には、替え芯、芯交換ツール、USB Type-Cケーブルが同梱
本体の重量は実測872.5g
本体、スタンドカバー、デタッチャブルキーボードの合計重量は実測1514g
ACアダプターの合計重量は実測216.3g

2in1PCに必要なアイテムがセット Copilot+ PCとペンの相性はGOOD

 ProArt PZ13は、スタンドカバー、デタッチャブルキーボード、スタイラスペンが標準で同梱された2in1PCだ。総重量としては1489gとやや重ためだが、タブレット本体だけなら850gと手軽に持ち運べる携帯性を実現している。Surface Proシリーズはキーボートとペンが別売りだが、本製品はすべてセットで直販24万9800円と手頃な価格を実現しているのが強みだ。

 Copilot+ PCには、AIにより下書きから精細なイラストを生成する「コクリエイター」という機能が搭載されている。本機能を利用する際には、スタイラスペンがあるにこしたことはないのは言うまでもない。

上からノートPC、コンテンツプレーヤー、タブレット、ペンタブレットスタイル。用途に応じてさまざまなスタイルにチェンジできる

 Copilot+ PCである本製品には、自然言語でやり取りできる生成AI「Copilot」、手描きのイラストをAIが清書する「コクリエイター」、音声をリアルタイムで字幕作成&翻訳できる「ライブキャプション」、背景ぼかしやエフェクト機能を利用可能な「スタジオ効果」などを搭載する。目玉機能の「リコール」もまずはWindows Insiderにおいて10月から提供予定だ。一般ユーザーへの提供時期は未定だが、早くリリースされることに期待したい。

 なおProArt PZ13には、ASUS独自のAIアプリ「StoryCube」がプリインストールされている。これはAIが人物やシーンを自動的に識別するメディア管理アプリ。デバイス内やオンラインストレージから写真、ビデオ、オーディオを収集して、整理・分類してくれる。現時点でAI対応アプリが少ないなか、メーカー独自の「StoryCube」が付いていることは、他メーカーとの差別化ポイントだ。

「Copilot」
「コクリエイター」
「ライブキャプション」
「スタジオ効果」
ASUS独自のAI対応メディア管理アプリ「StoryCube」
記事執筆時点の「StoryCube」は、「AIアルバム」作成中もプロセッサーのNPUを使用していない。今後の対応に期待したい

 キーボードのキーピッチは実測19.2mm、キーストロークは実測1.4mm。タッチパッドも実測127×78mmが確保されており、操作性は良好だ。入力デバイスのこなれた作りは、2in1PCをこれまで数多く手がけているASUSならではだ。

キーピッチは実測19.2mm
キーストロークは実測1.4mm
キーボードバックライトは明るさを3段階に調整できる

 本製品はタブレットPCということで、フロントに491万画素(赤外線対応)、リアに1324万画素(オートフォーカス対応)カメラを搭載している。リアカメラは1324万画素と解像度が高く、オートフォーカスにも対応しているので、クリエイティブ作品などに使う写真や動画の撮影にも活用できる。ただWindows 11の「カメラ」アプリでは赤みが強く出ていた。状況によっては、画質設定可能なカメラアプリを利用したほうがよさそうだ。

フロントには491万画素(赤外線対応)カメラを搭載
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
リアに1324万画素(オートフォーカス対応)カメラを搭載
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)

Snapdragon 8cx Gen 3の269%のマルチ性能 バッテリーベンチは実測で18時間も!!

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回は比較対象として、「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3」を搭載する「ThinkPad X13s」、「Snapdragon X Elite X1E-78-100」を搭載する「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」を使用している。

「HWiNFO 64 Pro」で取得したシステムの概要
ベンチマークは「ProArt Creator Hub」のオペレーティングモードを「パフォーマンスモード」に設定して実施している

 まずCPU性能については、ProArt PZ13は「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)で7493pts、CPU(Single Core)で113pts、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)で667pts、CPU(Single Core)で109ptsを記録した。

 ProArt PZ13はThinkPad X13sに対して、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)で269%相当、CPU(Single Core)で194%相当のスコアだ。

 Vivobook S 15に対しては、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)で63%相当、CPU(Single Core)で102%相当、CINEBENCH 2024のCPU(Multi Core)で61%相当、CPU(Single Core)で102%相当のスコアになる。

 Snapdragon X PlusのCPUは8コア、Snapdragon X EliteのCPUは12コア。そのコア数の差がCPU(Multi Core)でストレートに表われている。その一方でThinkPad X13sには大差を付けており、プロセッサーのパフォーマンス向上、エミュレーター「Prism」の効率向上が証明されている。

「CINEBENCH R23」のMultiは7493pts、Singleは1131pts:エミュレーション動作。「CINEBENCH 2024」のMultiは667pts、Singleは109pts:ネイティブ動作。

 3Dグラフィックス性能についてはProArt PZ13が「3DMark」のTime Spyで980、Fire Strikeで3613、Wild Lifeで11410となった。

 Vivobook S 15がTime Spyで1898、Fire Strikeで6180、Wild Lifeで19430だったので、ProArt PZ13はTime Spyで52%相当、Fire Strikeで58%相当、Wild Lifeで59%相当のスコアに留まったことになる。

 Snapdragon X PlusとSnapdragon X Eliteはどちらも内蔵GPUは「Qualcomm Adreno GPU」を搭載しているが、内蔵メモリーはProArt PZ13が16GB、Vivobook S 15が32GBと大きく異なる。内蔵GPUはビデオメモリーをメインメモリーと共有しているので、その違いが3Dグラフィックス性能の差として表われた可能性がある。

「3DMark」のTime Spyは980、Fire Strikeは3613、Wild Lifeは11410、Night Raidは16112:エミュレーション動作。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは7899(やや快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは1538(動作困難):ともにエミュレーション動作。

 ProArt PZ13はストレージにPCIe Gen4 x4接続SSD「WD PC SN740 SDDPTQD-1T00-1102」を搭載しており、「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は5280MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は4946MB/sとなった。

 Vivobook S 15のリードは5045MB/s、ライトは3611MB/sだったので、ProArt PZ13は特にライト性能についてVivobook S 15を上回っている。

ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「WD PC SN740 SDDPTQD-1T00-1102」を搭載。「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリードは5280MB/s、シーケンシャルライトは49464MB/s:ネイティブ動作。

 バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度とボリュームを40%の状態で「PCMark 10 Video Battery Life」を実行したところ、なんと18時間も動作した。モバイルノートPCとして、頼もしい持続力だ。

ディスプレー輝度とボリュームを40%の状態で「PCMark 10 Video Battery Life」を実行した際のバッテリー駆動時間は18時間:エミュレーション動作。

クリエイティブワークに特化した 手頃な価格のCopilot+ PC機

 ProArt PZ13は下位プロセッサーを搭載しているということで、上位プロセッサーを搭載するCopilot+ PCより処理性能は低めだ。

 しかし本製品は高画質&高解像度なOLEDディスプレー、快適なタッチ&ペン操作環境、カメラからのデータを取り込みやすいフルサイズのSDメモリーカードスロット、大容量の1TBストレージとクリエイティブワークに適したスペックを備えている。また70Whのバッテリーで18時間も駆動したので、外出先で長時間作業が可能だ。

 屋外で撮影した動画を軽く編集したり、写真をバックアップしつつ色味を確認するなど、比較的軽めの作業をこなせるモバイル2in1タブレットを手頃な価格帯で探しているのであれば、ProArt PZ13は魅力的な1台である。

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