1型センサーで世界一カメラのファーウェイスマホ「Pura 70 Ultra」はデジカメとして使いたくなる
ASCII.jp / 2024年9月14日 12時0分
スマートフォン市場で低迷が続いていたファーウェイが2024年4月に発売したPシリーズ改め「Pura 70」シリーズの販売が中国や海外で好調だ。今回は最上位モデル「Pura 70 Ultra」を使ったので使用感をレビューする。
自社SoCと業界1位のカメラ性能 Androidに頼らずとも完成度が高い端末に
Pura 70 UltraはチップセットにKirin 9010を搭載する、ハイスペックなスマートフォンだ。アメリカ政府の制裁の関係からチップセットはメーカー非公開だが、調査会社テックインサイツのレポートで判明している。
また、カメラは1インチセンサーの5000万画素2つと4000万画素を搭載し、自社開発のイメージング技術「XMAGE」を採用。フロントカメラは1300万画素だ。高性能カメラフォンとして大手メーカーのフラッグシップモデルを上回る性能を有している。DXOMARKのスコアは163で、1位(9月現在)の座を維持している。
ディスプレーは6.8型(2844×1260ドット)で最大120Hz駆動、輝度は2500ニト。ディスプレー表面は自社開発した高剛性ガラス「Kunlun Glass」でカバーされている。バッテリーは5200mAhで100Wの急速充電に対応。ワイヤレスでも80Wと、こちらもかなりの高速充電が可能だ。さらに20Wのワイヤレス逆充電にも対応、本体背面にワイヤレス充電対応のイヤホンなどをおいて充電できる。
本体サイズは約75.1×162.6×8.4mmで重量は226g。カラバリは4色あるがすべてがヴィーガンレザーによる革風の背面仕上げになっている。
ディスプレーは角を丸めたエッジ形状で、背面側も同じ曲面で仕上げている。そのため本体を手に持つと握りやすく、本体サイズよりも若干小型に感じられる。カメラ部分の出っ張りは若干あるが、ケースをつければ気にならないだろう。
背面仕上げはクロス状に模様を入れており、高性能カメラとはまた異なる印象の高級感を出している。カラバリはブラック、ブラウン、ホワイト、グリーンの4色でいずれもシックな仕上がりだ。
グリーンモデルを代表カラーとしているようで、海外の家電量販店やキャリアショップではこの色のモデルを使った広告が目立っている。カメラ部分は3つのレンズを異なる形状仕上げとし、さらにバンプ部分は2段階とすることで特徴的なデザインとなっている。このカメラデザインはほかのPura 70でも同等のイメージにまとめている。
今回テストしたモデルはグローバル版であり、OSは中国モデルの「HarmonyOS」ではなく従来からの「EMUI 14」を搭載している。ホーム画面のフォルダーの使い勝手やアプリアイコンを長押ししてそのままウィジェット化できるなど、UIに関しては両者はほぼ同等の使い勝手だ。
AnTuTuのスコアは890477、最新モデルとしては物足りなく、Snapdragon 8 Gen 1よりも低い値だった。Kirin 9010は2021年発表のKirin 9000をベースとしたチップセットであり、7nmプロセスということもあり、パフォーマンスとしてはこの程度なのだろう。
とはいえ、実際に操作した感じでは操作性は悪くなく、全体的な動きは快適だ。ゲームは簡単にしか試していなかったが、一部のハイエンドゲームでも動作が最適化されているようで、スペック以上の動きを見せてくれる。Snapdragon 8 Gen 1程度の性能はあるように感じられた。そして何よりもカメラ性能は満足度が高く、Pura 70 Ultraの評価を大きく高めてくれる。
1インチ&可変絞り搭載の最強カメラ AIでの処理も秀逸で美しい仕上がり
Pura 70 Ultraのメインカメラは23mmの広角、5000万画素。ファーウェイとして初の1インチセンサーを搭載した。また絞りは可変式で、F1.6から4.0まで物理的に調整できる。カメラは沈胴式で、カメラアプリを起動すると本体から1mmほど浮き上がり焦点距離を稼ぐ構造になっている。レンズ周りを赤い色にすることで、ちょっとしたアクセントを出しているあたりは細かい演出だ。
残りのカメラは超広角が13mm 4000万画素 F2.2、望遠は3.5倍 90mmで5000万画素 F2.1となっている。
カメラのUIはファーウェイの従来モデル同等であり、標準のモード切り替えは「夜景」「スナップショット」「ポートレート」「写真」「ビデオ」「プロ」「その他」と続く。シャッターボタン下の矢印状のアイコンをタップするとクイック設定を表示できる。また「XMAGE」を選ぶとファーウェイのデジタルイメージング技術による色仕上げの切り替えが可能だ。
ビデオは最大4K 60fpsまでに対応する。夜景モードではシャッター速度を最大32秒までに設定可能、光が流れるような効果の写真も撮ることができる。その他モードにはメイン・フロントの2つのカメラを同時に使う「デュアル表示」、ほかのEMUIスマートフォンのカメラを操作できる「マルチカメラ」、そして可変絞りを調節できる「アパーチャ」モードなどを備える。
アパーチャモードではソフトウェアにより絞りと可変絞りを使う物理絞りを切り替えできる。物理絞りはF1.6、F2.0、F2.4、F4.0と簡易的に4段階の絞り切り替えが可能だ。一方プロモードではF1.4からF4.0の間で25段階の細かい調節ができる。ポートレートモードでは標準で適度な絞りによるボケ撮影が可能だ。
実際に絞りを切り替えてみると、F1.4とF4.0ではレンズの開口部が大きく違うことがよくわかる。1インチセンサーを搭載していることもあり、ボケを活かした写真を撮りやすい反面、F4.0で開放にすることで逆に近距離撮影時に全体をボケさせない撮影も可能になるわけだ。
それでは以下は作例だ。まずは13mmの超広角で撮影。比較的周囲のゆがみも少ない。
3.5倍撮影も良好だ。なお、各画角ともピクセルビニングで1200万画素相当で撮影される。
10倍のデジタル望遠で撮影。AI処理によりコンクリートの角の部分などもきっちりと加工されている。
続いて100倍望遠を試してみた。まずは道路を撮影。ここから奥の陸橋にある看板を100倍で撮ってみる。
各社のスマートフォンは100倍デジタル望遠を搭載しているモデルが多いが、仕上がりはノイズが乗りやすく記録用として使う程度のものが多い。Pura 70 Ultraの100倍望遠はAI補正がかなり効いており、SNSのタイムラインで見る程度なら十分使えるだろう。
続いて絞りの効果を見てみる。1インチのカメラセンサーを搭載したスマートフォンが増えているが、背景がボケやすい。ボケのある写真を好む場合はそれでもよいが、逆に言えば背景までをしっかり写せない。
絞りをF4.0に切り替えると背景のボケが弱まり、全体のイメージを記録することができる。物撮りをするときなどもF4.0モードは有用だろう。
また絞りを手動で動かすことで、光の光芒を出した写真も撮影できる。これは一般的なスマートフォンのカメラでは出しにくい効果だ。
1インチセンサーであるが10cm程度までは近寄ることができる。今回は試すのを失念してしまったが、望遠カメラを使ったマクロ撮影にも対応しているので撮影範囲は広い。
香港の街中で寺院を撮影。原色のある建築物だが過度な色補正もなく自然な仕上がりだ。銅像を撮影してみたが光沢具合などもかなり実物に近い。
夜景モードも比較してみた。まずは標準の写真モードで撮影。1インチセンサー搭載とAI処理で普通に撮影してもかなり美しい。
夜景モードでシャッター速度3秒で撮影。空の雲がしっかりと表現され、水面に反射する光もかなり明るくなっている。好みの差もあるがより映える写りになっているだろう。
AI機能の「消しゴム」をテスト
カメラはほかにも高速シャッターなど様々な機能があり、スマートフォンのカメラとして十分すぎる性能と感じさせられた。そして、撮影後の写真のAI加工性能も高い。いわゆる「消しゴムマジック」はオブジェクトを自動で選択してくれるので、不要なものを消去したり、オブジェクトの移動も簡単だ。
AI処理は不要な建物や写り込んでしまった人を消すといった加工に向いているが、ためしにネコの首輪を消してみた。かなり自然に消えているので、様々なシーンでの応用ができそうだ。
【まとめ】グーグルサービス非搭載を抜きにしても魅力の大きなスマホ
Pura 70 Ultraの最大の弱点はグーグルサービス(GMS)に非対応なこと。EMUIモデルであれば非公式ながらGMSの導入もできるようだが、完璧な動作は保証されない。Pura 70 Ultraを中国以外のユーザーがメインモデルとして使うのはやや難しい。
とはいえ、カメラ性能は申し分なく、使えば使うほど性能の良さにほれ込んでしまうモデルだ。DXOMARKで1位のカメラ性能は、他社と比較にならないくらい高く、夜景、マクロ、逆光などあらゆるシーンで失敗のない写真撮影ができる。あえてカメラフォンとして2台目に持つのも十分ありだ。
Pura 70 Ultraはアジアからヨーロッパまで広い地域で販売されており、海外旅行時などに現地の家電量販店で見かけたときは、ぜひ実機を体験してほしい。
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