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WSLはプレビュー版でGUIでの設定が加わった! リリース2.3.xの新機能を見る

ASCII.jp / 2024年9月15日 10時0分

 現在プレビュー中のWSLリリース 2.3.x(https://github.com/microsoft/WSL/releases/tag/2.3.17)にはGUI設定が組み込まれるほか、いくつかの改良点がある。また、標準ツールプログラムの場所などにも変更があるようだ。

WSL
現在プレビュー中のGUI版WSL設定アプリケーション「WSL Settings」。現在.wslconfigファイルでしているWSL全般の設定をGUI操作で可能にする。左側にカテゴリタブ、右側に設定項目が並ぶ

 今回は、WSLプレビュー版リリース2.3.17を元に新しいWSLを評価してみたい。なお、現状はまだプレビュー段階であり、最終的な仕様と異なる可能性があることを理解いただきたい。実際、未完成な部分もまだ見受けられる。

 WSL自体のバージョンは、「wsl.exe --version」コマンドで表示できる。このときの表記は「バージョン」だが、WSLの配布されているGitHub側では「リリース」と呼ぶ。ここでは、WSL2との混乱を避けるため、リリースの表記を使う。

プレビュー版WSLのインストール

 プレビュー版WSLは以下のコマンドでインストールできる。

wsl.exe --update --prerelease

 このコマンドを使うと、その時点での最新プレビュー版(原稿執筆時点では前期のリリース2.3.17)にアップデートされる。このコマンドでは、プレビュー版のリリースを特定する、あるいは安定版に戻すことはできない。

 もう1つの方法は、「GitHub microsoft/WSL Releases」(https://github.com/microsoft/WSL/releases)で配布されているmsiファイルを使うことでもできる。この場合、任意のプレビュー版を選択可能で、安定版(Latest)も選べる。

 プレビュー版の改良点は、英語ではあるが、Microsoftのブログ記事「What's new in the Windows Subsystem for Linux in May 2024」(https://devblogs.microsoft.com/commandline/whats-new-in-the-windows-subsystem-for-linux-in-may-2024/)がある。

 これは、今年5月のMicrosoftのBuild 2024イベントを受けてのブログ記事。この記事に対応するのが7月に公開されたプレビュー版リリース2.3.11で、現在公開中のリリース2.3.17は、この系列のプレビュー版だ。

GUI設定プログラム

 配布中のプレビュー版をインストールすると、GUI設定プログラム「Linux用Windowsサブシステム設定」(WSL Settings)が使えるようになる。プレビュー版のインストール後、スタートメニューなどにも表示されるが、実行ファイルは、「C:\Program Files\wsl\wslsettings\」フォルダにある「wslsettings.exe」である。

 プログラムは左側にタブ、右側に設定項目が並ぶ、Windows 11の設定ページを踏襲したもの。基本的には設定項目は、各ユーザーのホームディレクトリに置かれる「.wslconfig」ファイルに準ずる。その設定項目のドキュメントは以下のURLにある(https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/wsl/wsl-config)。

 .wslconfigファイルでは、大きく2つのセクション「wsl2」と「exprimental」にしか分かれていなかったが、GUI設定は、以下の表のように機能ごとに「メモリとプロセッサ」「ファイルシステム」「ネットワーク」「オプション機能」「開発者」の5つに分かれている。

WSL
WSL
WSL設定のカテゴリ分けは、.wslconfigとは大きく異なる。ファイルシステムでは、規定のVHDXファイルサイズを指定する
WSL
ネットワークは設定項目が多く、NetworkingModeに応じ有効/無効が切り替わる項目もあるが、GUI設定ではモードの選択による設定項目の指定や制限などはできない
WSL
オプション機能には、自動メモリ回収の動作モードや入れ子になった仮想化の設定などが入る
WSL
開発者向け項目のうち、2つは.wslconfigのドキュメントには解説がない項目だ

 また、多くの設定項目が、従来の.wslconfigファイルの設定項目に対応しているものの、「.wslconfig」の一部の項目に対しては、対応する設定項目がGUI設定内に存在しない。具体的には、「.wslconfig」の「kernelCommandLine」「pageReporting」「dnsTunnelingIpAddress」は、現時点では、GUI設定からは変更できない。

 逆に、前記のウェブページには存在しない設定項目がGUI設定側にある。前述の表で3列目が空欄になっている「ハードウェアパフォーマンスカウンターを有効にする」「カスタムシステムディストリビューション」には、対応する.wslconfig側の設定項目がない。

 そのほか、ドキュメントにはない選択肢が「networkingMode」には表示される。

WSL
Linux用Windowsサブシステム設定のネットワークモードはドキュメントにある「Nat」「Mirrored」以外に「None」「VirtioProxy」の2つが選択できる

 このうちVirtioProxyに関しては、現時点では何も解説がない。そもそもVirtioとは、仮想マシンとゲストOSの仮想I/O処理を効率化するもの。いわゆる「準仮想化」を実現する。この名称からネットワークアクセスに関して、Virtioがなんらかの形で絡んでいると考えられる。ただし、Virtio側でもすでにネットワークアダプタに実装されている。

 こうした設定項目や設定値は、GitHubにあるmicrosoft/WSLリポジトリのissuesなどにたまに現れることがあるものの、正式ドキュメントが公開されるまではっきりとわからないことが多い。

そのほかの変更点

 そのほか、企業向けには、「Microsoft Defender for Endpoint のWSL2サポート」「Linux Intune エージェントの統合」といった項目がある。企業向けなので、ここでは解説しないが、前述のブログページを足がかりにこれらの機能を調べることもできるはずだ。

 ここでは、気がついた範囲でのWSL リリース 2.3と従来リリースとの違いを解説する。前述のGUI設定プログラムなど、リリース2.3では、Win32側のWSL用プログラムが「C:\Program Files\WSL」以下にまとめられた。WSLのインストール後に使われるwsl.exeもここにある。

 従来のwsl.exeは、実体がUWPでアプリ実行エイリアスとして起動されていたが、リリース2.3からはDesktopコンソールアプリケーションになるようだ。

 また、wsl.exeにも変更がある。内部的な部分はわからないが、helpオプションによれば、ディストリビューションごとの設定をする「--manage」コマンドに、WSLディストリビューション(のVHDXファイル)の保存先を変更する「--move 」が追加されている。

WSL
WSL
WSL リリース2.3.17に搭載されているwsl.exeには、1つだけだがオプションの追加がある。これによるとWSLディストリビューションのインストール先を変更できるようだ

 WSL リリース2.3は、プレビュー版であるため、最終の仕様などは、安定版になるまで確定しない。しかし、多くの機能は、WSL リリース 2.xで実験的機能として導入されたものでもあり、今後は大きく変わらないと思われる。

 2017年にWindows 10でWSLが正式導入されて7年が経過し、ようやくGUI設定と企業向け機能が入ることになった。ただ、ネットワーク周りはいまだに落ち着かない感じが残る。また、Windows 11 Ver.24H2のリリースも近く、一部の機能は、24H2以降に対応という可能性も残る。とりあえずは様子見として、評価は安定版が登場してからでも遅くないだろう。

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