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【先行レビュー】Apple Watch「Series 10」史上最薄のケースを実現できた理由

ASCII.jp / 2024年9月17日 21時0分

46mmのアルミニウムケース、ジェットブラックの「Apple Watch Series 10」

 アップルのスマートウォッチ、Apple Watchが発表から10周年を迎えました。記念すべき年に発売される「Apple Watch Series 10」がどんな製品なのか、実機を見ながらレポートします。

アルミニウムの新色「ジェットブラック」、輝くチタニウムに注目

 Apple Watch Series 10にはアルミニウムとチタニウムの2種類の金属を使ったケースがあります。サイズはSeries 9から1mmずつ大きくなった46mmと42mm。チタニウムのケースはとてもきらびやかで、ジュエリーのような輝きを特徴としています。

 今回筆者が試したモデルは46mmのアルミニウムケース、カラバリはApple Watchに初めて登場する「ジェットブラック」です。

 ジェットブラックはグロッシーな鏡面仕上げのブラックです。アルミニウムケースをナノ粒子で研磨してから、30段階の酸化皮膜処理を施して艶のある色合いを引き出しています。Digital Crownをクリックしてグリッド表示の状態でアプリアイコンを並べると、黒いベゼルを介してRetinaディスプレイの前面ガラスとケースの光沢がシームレスにつながっているように見えます。

ベゼルを介してディスプレイとケースがシームレスにつながっているように見えます

アップルが開発した広視野角のOLEDディスプレイを搭載

 Series 10はディスプレイの表示エリアがSeries 9よりも広くなっています。46mmのSeries 10は45mmのSeries 9よりも7%広くなりました。Series 6の44mmからは25%も広くなっているので、見た目にもっとわかりやすいと思います。

左のSeries 2、中央のSeries 6に比べると、右側Series 10の画面が大きくなっていることがよくわかると思います

 ディスプレイは広くなっただけではありません。アップルが独自に開発した広視野角のOLEDディスプレイ(Wide-angle OLED)を採用したことにより、手首に着けているウォッチの画面を斜めからのぞき込んだ時に、より明るく見えるうえ、色も正確に再現されます。

 ディスプレイの輝度スペックはSeries 9から変わらないものの、アップルの検証によると、画面を60度の角度からのぞき込んだ時の明るさがSeries 10はSeries 9比で最大40%も向上しているそうです。常時表示ディスプレイをオンにしている時に、画面が明るく見やすくなっていることを筆者も実感しました。

斜めからのぞき込んだ時にも明るさと色合いが崩れない視認性の高さを実現しています

 常時表示ディスプレイをオンにして、画面がスタンバイモードになっている時のリフレッシュレート(画面の書き換え速度)が1分に1回から、1秒に1回になりました。新しいリフレクション、フラックスの文字盤は「秒針」、アクティビティデジタルの文字盤は「秒単位のカウンター」がスタンバイモードの画面上にも表示されます。

スタンバイ画面に秒針を表示できる文字盤「リフレクション」
左側がSeries 10、右側のSeries 9よりもケースが10%薄くなっています

Apple Watch史上最薄のケースを実現できた理由

 Apple Watchの装着感の向上につながるデザインの進化があります。ケースがApple Watch史上最も薄くなったことです。

 ケースの最薄部は約9.7mm。Series 9(Series 7以降)のケースから、1mm薄くなっています。Apple Watchを既に使っている方は、Series 10を装着するとウォッチが手首に“ピタッ”と吸い付くような一体感が得られると思います。

 どちらもアルミニウムケースの、46mmSeries 10と45mmSeries 9のウォッチ本体の質量を計測したところ、Series 10が3.4グラムほど軽量でした。これから初めてApple Watch Series 10を買うことを検討している方も、ここまで薄く・軽くなったApple Watchが今こそ「買い時」だと思います。

 Series 10がなぜここまで薄くできたのでしょうか。ひとつの理由は最新のアップルシリコン「Apple S10 SiP」のデザインを改善したこと。これまで基板の表裏両側に実装していた電子部品をほぼ完全に片面化して、ケース内部の無駄になるスペースを削減しています。デジタルクラウンも内部で1mm縮小。スピーカーも性能を落とすことなく約30%も小型化しました。

 さらに背面のメタルケースにセルラー通信用のアンテナを組み込み、従来2層構成になっていたケースを1つに統合したことも薄型化に寄与しています。

背面ケースにセルラー通信用のアンテナが埋め込まれています

 Series 10にウォーターアクティビティのための新しい機能を加えるために、新しく水深計と水温センサーを搭載しています。バッテリーも大型化して、数々の新機能を加えながらも最長約18時間、ほぼ1日中続けて使えるタフなスタミナをSeries 10は獲得しました。司令塔として、電力効率の最適化を図ることもApple S10 SiPの役割です。

Apple Watch、最速の高速充電に対応

 スマートウォッチを充電する手間が面倒に感じる方も多いと思いますが、Apple Watch Series 10は高速充電の性能を高めることにより、その手間を大きく軽減しています。

 アップルはSeries 10の高速充電が約30分で80%のバッテリーを回復できる性能になったと公表しています。Series 7からSeries 9までのモデルは80%回復するまでに約45分かかりました。15分ほど短縮された格好です。

付属の充電器による高速充電に対応

 筆者もApple Watch専用の充電器と、アップル純正の30W USB電源アダプターを組み合わせて試したところ、残り14%だったバッテリーがほぼぴったり30分で84%まで回復しました。さらに10分前後チャージすると満充電になりました。

 従来の腕時計も自宅ではキッチンに立つ時間、または入浴中に外している方が大半だと思います。Apple Watch Series 10は、例えば入浴前のタイミングで充電器にセットすれば約30分後に満充電になっています。

 筆者はそのままApple Watchを装着して、睡眠トラッキングなどヘルスケア系のアプリを活用しました。翌朝以降1日中バッテリー残量がピンチを迎えることなく余裕で過ごせました。まだ試用したばかりの段階だからかもしれませんが、Series 10のバッテリーは約18時間を越えて丸1日以上持つ手応えがあります。

 万一外出先でバッテリー残量が危うくなったら、Apple Watchのサイドボタンをクリックしてコントロールセンターを開き、バッテリー残量のアイコンをタップして「低電力モード」をオンにします。その時のバッテリー残量にも依りますが、これでしばらくの間はApple Watchのバッテリー残量を長めにセーブできます。

Apple Watchの内蔵スピーカーを音楽再生にも使えるようになりました

スピーカーで音楽再生。睡眠時無呼吸症候群の解析・通知も新設

 ほかにもSeries 10の注目機能が2つあります。

 ひとつは内蔵スピーカーで音楽再生ができるようになりました。Apple Watchは初代のモデルからハンズフリー通話の音声を再生したり、チャイム音などを鳴らすためのスピーカーを内蔵しています。音楽再生はAirPodsなど、ワイヤレスイヤホンをペアリングする必要がありました。

 Series 10からミュージックアプリで再生する音楽もウォッチの内蔵スピーカーで聴くことができます。モノラル音声ではあるものの、筆者の想像を超えて十分に力強いサウンドでした。なおハンズフリー通話時には話者(=ウォッチを身に着けているユーザー)の声をバックグラウンドのノイズから分離して、クリアな声を相手に届ける清音化機能が加わりました。

 もうひとつの注目機能が「睡眠時無呼吸症候群」の傾向をApple Watchで図り、iOS 18のヘルスケアアプリと連携して傾向をセルフチェックできる機能です。ウォッチの方はApple S9 SiPを搭載するApple Watch Series 9、Apple Watch Ultra 2以降のモデルから使えます。17日に公開されたwatchOS 11をインストールすると、「睡眠時無呼吸の通知」と「呼吸の乱れ」というデータ項目がヘルスケアアプリに追加されます。この機能は18歳以上のApple Watchユーザーを対象としています。

睡眠時無呼吸症候群である可能性を知らせる通知が届きます。対応する機種はSeries 9とUltra 2、Series 10の3モデルです

 最初は、計測開始から30日間のデータに基づいて解析が実施されます。10日間ぶんの有効な計測データがサンプルとしてあれば、うち50%に呼吸の乱れが計測された場合に中程度以上の睡眠時無呼吸症候群である可能性を知らせる通知が届きます。ヘルスケアアプリに蓄積されたデータをPDFに出力して、睡眠時無呼吸症候群を取り扱う専門医との問診の参考資料にすることができます。

 Apple Watchの10周年を祝う「Series 10」は、これまでApple Watchを使い続けてきたユーザーと、これからユーザーになることを初めて検討している方にも満足できる買い物になると思います。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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