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人気沸騰!! 1型センサーで高画質な小型Vlogカム「Osmo Pocket 3」実機レビュー

ASCII.jp / 2024年9月19日 8時0分

 OsmoPocket3は、2023年10月25日に発表されて以来、爆売れしたヒット商品で、「デジタルビデオカメラ」というジャンルのマーケットシェアが激変するほど影響を与えました。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
横長・縦長どちらの動画も撮影できます

 PocketシリーズはDJIがドローンでつちかった「ジンバル」技術を活用した製品で、初代、2代目、今回の3と、機能を強化しながら発達を続け、ついに爆発したわけです。

 おじさんたちが集う、メーカーの発表会でも、知り合いや知らない人が多数Pocket3を持っていて、「そんなに良いんかい」と思っていました。

 6月に発表となったカメラグランプリ2024では企画賞を受賞し、授賞式で、Poket3のレンズや鏡胴などの要素技術は日本人が日本で設計したことも公開され、カメラ業界でも話題になり、使ってみることにしました。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
カメラグランプリ2024の授賞式ではDJI JAPAN代表取締役の本庄謙一氏(中央)、開発センターの白龍吉氏、光学設計エンジニアの藤倉崇氏が登壇し、日本人が日本で設計したことを紹介し、カメラ記者たちを驚かせた。

1型センサーで画質と暗所耐性が向上 2インチディスプレーで失敗なし

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
ディスプレーを90度回転するとスイッチオンでジンバルが動き、正位置にカメラを向けてくれます

 デジカメがスマホの内蔵カメラに押される中、目的がはっきりしたアクションカメラはきちんと成長してきました。いろいろな場所に装着して使えるうえ、単体で耐水深10~20mはあたりまえで、四季を通して躊躇なく使えます。

 さらに、アクションカメラのデジタル手ブレ補正や被写体認識も、画像専用プロセッサーの進化によって強化し続けています。走るのもちらん、BMXやモトクロッサーでデコボコの山道を走ってもブレのない動画を吐き出してくれます。おかげで、高級スマホの内蔵カメラの多くが、光学式(メカ式)の手ブレ補正を内蔵する流れが生まれました。

 さて、OsmoPocket3はアクションカメラとどこが違うかというと、まず防水ではありません。ジンバルを防水にするのが困難なのが主因とはおもいますが、マイクロSDカードスロットは外から見える状態です。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
マイクロSDカードスロットはこちらです

 また、アクションカメラがデジタル補正でブレをなくすのに対して、Pocket3は3軸ジンバルで上下と左右の傾き、左右の回転ブレを吸収しくれますし、パンやティルトはスムーズにこなしてくれます。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
モーターで動く「目」はなんとなくロボット的で愛嬌もあります

 Pocket3のカメラ部の画角はフルサイズ換算で20mmですから、手持ちで歩きながら撮影しても、ブレで気持ち悪くなることはありません。さらにオプションの「広角レンズ」を付けると108度ということなので、水平とするとフルサイズ換算で15mmレンズの画角になり、歩きなら手ブレは気にならなくなります。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
レンズのまわりにあるのが、設置のための強力マグネットです
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
左が標準状態、広角レンズを付けると右の状態になります
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
静止画でも夜景が明るく写ります(標準状態)
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
「広角レンズ」を付けるとフルサイズ換算15mmになりますが、カメラを持つ指が写りやすくなるので、後述のグリップやミニ三脚を推奨します

 撮影できるムービーは最高で4K(3840×2160ドット)の60fpsで、スローモーションでは4Kで120fpsまで可能です。特殊撮影はハイパーラプスやタイムラプス、モーションラプスがあり、保存ファイルは通常では8bit 4:2:0 (H.264)と10bit 4:2:0 (H.265)、D-Log MとHLGでは10bit 4:2:0 (H.265)で、最高ビットレートは130Mbpsあります。静止画は3840×2160ドットで、ちょっとサミシイですが、パノラマ撮影機能があります。  

⇧晴天屋外での撮影例。パンやティルトもしてみた。急な階段を上がり下がりしているが、スムースな映像が撮れている。(4K60Pで撮影した映像を単純に切り貼りし、元ファイルと同じスペックで音声OFFで出力、YouTubeにUPしたもの。歯車(設定)の画質から4Kを選んで、右下の全画面指定で再生してください)

 Poketシリーズの撮像素子は、初代の「1/2.3型」、2の「1/1.7型」そして今回の3の「1型」へと順調に大型化し、色再現、階調表現が向上し、特に暗さに強くなっています。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
クリエイターコンボのパッケージ

 アクションカメラでも高級モデルでは大型センサーがありますが、デジタル補正のために、画面全体ではなく中央だけ使うことになるので、画質に限りがあり、かつ、暗さに弱くなります。

 使い勝手でいうと、3軸ジンバル内蔵なのにPocket3は179gしかありません。とても気軽にカバンに入れる気になります。

 さらに、Pocket3がヒットしたのは、回転式の2インチのモニターによるところも大きいと、使ってみてわかりました。アクションカメラの2倍のサイズがあり、おじさんのような近いところが見えにくい世代でも、画像がきちんと認識でき、メニュー操作もできます。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
左のジョイスティックボタンを3回クリックすると、自撮りモードになります

 アクションカメラでは、歩きながら画像を確認するのは困難ですが、Pocket2の2インチモニターなら、見ながら撮れるので、失敗することが防止できます。これは、取材はもちろん、プライベートの撮影や、旅行の記録といった、「テイク2」ができない撮影では、とても重宝します。

 撮像素子が大きくなれば、ボケやすくなり、背景や前景をぼかした映像を撮ることができます。素子が大きくなった分、レンズも大きくなり性能も上がって、臨場感というか空気感がきちんと映ります。

 アクションカメラでは、パンフォーカスのレンズが多く、単調な映像になりがちですが、Pocket3はAFなので、人やモノに知づけば背景がボケるのは、カメラ好きとしてもうれしい性能です。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー

 いろいろな場所に持ち出して撮りましたが、一番のオドロキは動画の美しさです。スマホやアクションカメラの歩きながらムービーとはワンランク上の画質で、1型センサーとAFレンズの威力を感じました。夜の強さもアクションカメラとは雲泥の差で、驚きました。みんなが欲しくなるわけですね。  

⇧街灯しかない橋と夜景の撮影例。肉眼では歩道も空も真っ暗だが、橋の手すりの質感や、夜空の雲がきちんと写っているうえ、ノイズも少ない。(4K60P、-0.3EVで撮影した映像をYouTubeにUPしたもの。歯車(設定)の画質から4Kを選んで、右下の全画面指定で再生してください)  

2種類のパノラマ撮影が楽しい フォローモードでノールック撮影も可能

 カメラ好きとして、楽しかったのが静止画のパノラマ撮影機能です。ジンバルのモーターを使って自動で複数枚の写真を撮って、内部で合成してくれます。左右180度と、上下も入れた3×3の全面パノラマの2種類があります。

 いまどきスマホのパノラマ撮影機能も破綻は少ないですが、コントラストの低い風景や、夜景などでは、ステッチをミスすることがあります。

 Pocket3の場合は、モーターを使って「わかっている」位置の写真を複数撮るので、破綻が起きません。さらに、左右方向だけではなく、上下方向にも入りきらない場面で3×3の全面パノラマがとっても便利でした。ジンバル内蔵ならではの超便利機能で、動画だけでなく静止画も、スマホやフツーのデジカメでは撮れない写真を撮れるわけです。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
水平のパノラマでは若干仰角をつけても撮ってくれました。傾けすぎると警告が出て撮影してくれません。写真は4096×1536ドットとなります。
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
3×3のパノラマでは上下方向も広く撮れるので魚眼のような効果になり、これがクセになる面白さでした。写真は4000×3840ドットとなります。

 Pocket3の動画撮影で便利なのが、顔自動検出モードやダイナミックフレーミングなどの「フォローモード」です。ジンバルを使って、指定した人を追いかけてくれる機能で、被写体とともに歩きながら撮影しても、カメラが主人公を中央にすえて追いかけてくれます。これも、失敗できないプライベートな撮影でこそ、有効だと思いました。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
近接は20cmまでAFが効きます

 仕事上いつもはデジカメで静止画を撮るのがメインのおじさんですが、これだけきれいな動画がカンタンに撮れると、ムービー派に移行しそうです。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
底部のType-C端子で充電やPCでのデータ吸出しを行ないます。ハンドルを付けると端子は前面に移動します。
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
左がジョイスティック型ボタンで、右がシャッターボタン。ジョイスティックはカメラの首振りや、ズームイン・アウトに使えます。撮影モードの変更や細かい設定は画面タッチで行います。オジサン的には、動画と静止画の2つのシャッターが欲しいところですね。

単体と2種類のお買い得コンボ どうを買えばいいのか?

 Pocket3にはカメラ単体と、クリエイターコンボ、Vlogコンボというセットがあります。お値段は7万4800円と、9万6800円、13万2000円という差があります。今回はクリエイターコンボを使いました。

 カメラ単体には、「保護カバー」、「ハンドル」とリストストラップ、Type-Cケーブルが付属します。保護カバーはハードな半ケースのようなもので、Pocket3がすっぽり入るうえ、速攻で取り出せるスグレモノです。ケース内には広角レンズやフィルターの設置位置(磁石で付く)まであり、よく考えられています。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
カメラ「単体」ではこちらのセットになります
「Osmo Pocket 3」実機レビュー
保護カバーはフィルター設置場所もあるアイデア製品です

 ハンドルというのは長さ35mmほどの箱で、ワンタッチで着脱でき、Poket3のType-C端子を前向きにして、底面に三脚ねじが付いているモノです。これだけつけても、グリップが長くなって持ちやすくなるのですが、どちらかというと、ミニ三脚などをワンタッチで着脱する装置です。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
ハンドルとミニ三脚を付けるとこの状態です

 クリエイターコンボには、上記の周辺機器に加えて、「広角レンズ」、「バッテリーハンドル」と「ミニ三脚」、「Mic2トランスミッター/風防モフ/マグネット」と「キャリーバッグ」が付いてきます。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
クリエイターコンボはこちらになります

 Mic2というのは、胸につけるワイヤレスマイクで、ナレーションしながら撮影する場合、まわりの雑音を排除して、撮影者や出演者の声をクリアに受け取れます。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
Mic2トランスミッターに風防をつけるとこんなサイズです(写真左)

 バッテリーハンドルは、基本のハンドルの長くなったもので、拡張バッテリーを内蔵します。ミニ三脚は、すぼめれば保持する棒になり、開けば三脚になります。取り付けはネジなので、Pocket3への装着はハンドルまたはバッテリーハンドルをつけた下部になります。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
バッテリーハンドルも撮影グリップとして役立ちました

 VlogコンボにはMic2が2セットとレシーバー、Mic2の充電ケースやスマホアダプター、Mic2ケースが追加で付きます。

 いろいろな形態で使いましたが、手が大きいので、「ハンドル+ミニ三脚」や、「バッテリーハンドル+ミニ三脚」はグリップの延長として重宝しました。広角レンズも超広角好きなので、多用しましたが、強力マグネットを内蔵しているので、地面に落とすと(2回やった)、砂鉄がびっしり付着してやっかいなので、気を付けましょう。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー
こちらがおじさん的おススメのオプションセットです。

 バッテリーハンドルは9570円、ミニ三脚は1650円、広角レンズは6490円で、合計1万7710円です。Mic2は1万6060円、キャリーバッグは2970円ですから、フツウに買い足すと3万6740円です。単体とクリエイターコンボの価格差は2万2000円ですから、ワイヤレスマイクを使う人はコンボが明らかにお得です。悩みましょう!

 ちなみに、マイクロSDカードは付属しないので、手持ちがない人は買い忘れないようにしてくださいね。

 編集部つばさも動画部として真っ先に導入していたので、聞いたのですが、初代Pocketから愛用してました。「ザ・カメラ!」という感じではなく、撮ってる方も撮られてる方も、自然な撮影ができるのが魅力で、毎モデル購入してきたそうです。不満点はPocket3でほぼ改善されて(ディスプレーが大きくなった、スマホなしでできる設定が増えた、D-Log M、製品展示モード、バッテリー充電めっちゃ早いなど)、大満足だそうです。なるほどですね。

「Osmo Pocket 3」実機レビュー

 秋の行事や旅行に連れて行くムービーカメラとして、スマホやアクションカムよりワンランクいやスリーランクくらい上の映像が撮れます。プロの皆さんがこぞって使っている意味が分かりました。みなさんもぜひお試しいただけると楽しいかと。

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