Ryzen 5 9600X&RTX 4060 Tiでも超静音! 性能だけでゲーミングPCを買う時代はもう終わり
ASCII.jp / 2024年9月21日 10時0分
ゲーミングPC選びの必須条件は、「遊びたいゲームを快適にプレイできる」ことだが、この「快適」という指標はなにもフレームレートの高さに限らない。いくら滑らかな動きで画面を描画できても、掃除機のような爆音PCでは「快適」とは言い難い体験になるからだ。
騒音の原因は、PCパーツの発熱を冷却するために、PC内部のファンが高回転してしまうところにある。つまり、採用しているPCパーツが低発熱であれば、ファンの回転数が落ち、騒音も小さくなる。悩ましいことに、高性能なCPUやビデオカードほど発熱は大きい。あちらを立てれば、こちらが立たず。性能と騒音はトレードオフの関係にある場合が多い。
もちろん、密閉性の高いヘッドフォンで物理的に耳をふさぐという手もあるが、同居する家族には迷惑がかかるという人もいるだろう。そういった心配なしでPCを使いたければ、性能だけではなく静音性も重要な「快適」の指標になるはずだ。
とはいえ、騒音を小さくするために性能が低いCPUやビデオカードを選び、ゲームの画質設定やフレームレートを妥協したら本末転倒と言える。遊びたいゲームを高画質&ハイフレームレートで描画でき、それでいて動作音は静かというPCが理想だ。
そんな都合のいいPCは存在しない……と言いそうになるが、実はある。それが、今回紹介するサイコムの「Silent-Master NEO B650A」だ。
Silent-Master NEO B650Aは、CPUにRyzen 5 9600Xを採用。このCPUは最新のZen 5アーキテクチャーを採用し、従来から電力効率が大幅に向上している。実際、TDPが前世代の105Wから65Wに引き下げられているにもかかわらず、性能は上回っている。
また、ビデオカードはミドルハイクラスのGeForce RTX 4060 Tiを搭載したサイコムオリジナルの「Silent Master Graphics RTX4060Ti 8GB」を採用。Noctua製のファンを搭載した独自モデルで、冷却性と静音性が優れている。
つまり、低発熱だが性能が高めのCPUと、静音化した独自ビデオカードを採用したゲーミングPCということだ。もちろん、CPUやビデオカード以外の静音化アプローチも多数ある。サイコムからお借りした試用機で、詳しく見ていこう。
すべてのファンが静音性と冷却力のバランスに定評があるNoctua製
Silent-Master NEO B650AはPCケースのほか、CPUクーラー、ビデオカードといったすべてのファンでNoctuaの静音ファンを採用している。
もちろん、他社のファンでも静音性に優れているものはある。しかし、低回転でも風量が多く、冷却力と静音性の両面で優秀なファンはそう多くない。その点、Noctuaの製品はPC自作ファンの間でも定評がある。
また、Noctuaのファンは長年サイコムのSilent-Masterシリーズで採用されており、実績の面でも非常に信頼がおける。前述の通り、独自ビデオカードのファンもNoctua製を採用した点からも、その実力がうかがえる。
一方で、PCの内部を見て、「静音PCなのにCPUクーラーは水冷じゃないの?」と思った人もいるだろう。確かに、水冷クーラーは静かで強力に冷やせるモデルが多い。
しかし、それは発熱が大きいCPUの話。Ryzen 5 9600Xは低発熱なので、安価な空冷クーラーでも十分なのだ。そして、サイコムではさらに静音性を高めるために、Noctuaのサイドフローモデル「NH-U12S」を採用。
5本のヒートパイプや大型ヒートシンクで熱を奪い取り、静音かつ強力にCPUを冷却できる。PCケースの排気ファンはCPUクーラーとほぼ同じ高さに設置。CPUクーラーから出た熱風をすばやく外部に排出できる。
また、吸気ファンには140mmの大型ファンを採用。ちょうどCPUクーラーとビデオカードの中間あたりに設置し、2つの熱源に冷たい外気を送り込めるようになっている。この絶妙なレイアウトに、長年BTO PCを手掛けるサイコムらしさを感じた。
静音性にこだわりまくったPCケースで徹底遮音
静音性を高めるには、元の動作音を小さくするという考え方も大事だが、ファンが回転する以上どうしても限界はある。そこでもう1つのアプローチが、動作音をPCケースの外に漏らさない工夫だ。
例えば、PCケースはCooler Masterの「Silencio S600」を採用。フロントは遮音材を入れたパネルを装備し、動作音がなるべく正面方向に漏れないようにしている。
また、吸気ファンの手前には防塵フィルターがあり、ゴミやホコリの侵入を防いでくれる。ホコリがCPUクーラーのヒートシンクに付着すると冷却性能が落ち、結果ファンが高回転になる場合もあるからだ。
ちなみに、この防塵フィルターはツールレスで簡単に着脱可能。ホコリがたまったら掃除機で吸ったり、水洗いしたりできる。
また、遮音材はサイドパネルにも採用している。爪で叩いてみると、薄いスチールにありがちな「カンカン」といった音の響きはなく、「コツコツ」という重い音。これなら、振動によるビビリ音もほとんどないだろう。
なお、Silencio S600の天面は、通気性重視の防塵フィルターと静音性重視の2Way仕様だが、Silent-Master NEO B650Aでは遮音カバーを選択している。これにより、天面からの音漏れも防いでいる。
インターフェースはUSBが多く、SDカードスロットも搭載
デスクトップPCらしく、インターフェースは豊富。リアにはUSB Type-Aが9基(USB 3.2 Gen 2が1基、USB 3.2 Gen 1が4基、USB 2.0が6基)もあり、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)も備える。また、有線LANは2.5GbEと高速だ。
フロントインターフェースはUSB Type-Cこそないが、SDカードスロットがある点は素直に評価したい。デジカメの写真を移動する際にいちいちリーダーを用意せずに済むからだ。
ゲーム中は最大でも41.1dBとかなり静か
これだけの静音に関するアプローチを施した、Silent-Master NEO B650Aはいったいどのくらい静かなPCなのか? エアコンを切り、閉め切った部屋の中で、騒音計で簡単に測ってみた。計測位置はPCの正面から約30cmの距離。PCに電源を入れていない状態の暗騒音は約32.1dBという環境だ。
電源を入れて約5分後のアイドル時の騒音を測ってみたところ、約33.6dB。数値としては上昇しているが、正直、PCの電源が入っているのかわからないレベルだ。「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(画質:最高品質、解像度:フルHD)を実行しても、最大で約41.1dB。ほとんどのシーンでは38dBを切るという結果になった。
確かにファンの音は聞こえるが、スピーカーでゲーム内のサウンドを流していれば気にならない程度だ。PCと30cmほどの距離でこれなら、隣室ならまず聞こえないはずだ。高性能なゲーミングPCはうるさいもの……とあきらめている人もいるだろう。日々家族から「PCを使っているとすぐわかる。だってうるさいもん」などと冗談半分の小言を言われてている人も少ないくない。
しかし、Silent-Master NEO B650Aなら、静音性が抜群に良いので、同居人からの小言もなくなり、ストレスフリーでゲームに熱中できるだろう。では、その性能はいかほどなのか? 次回は定番ベンチマークでその実力に迫る。
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