「黒神話:悟空」がWQHDでも快適!Ryzen 5 9600X&RTX 4060 Ti搭載静音PCの確かな実力
ASCII.jp / 2024年9月22日 10時0分
前回から引き続き、サイコムの静音ゲーミングPC「Silent-Master NEO B650A」をご紹介しよう。本機はすべてのファンがNoctua製など、静音性にとことんこだわった仕様がウリだ。
巷の「静音BTOパソコン」の多くは、「静音PCパーツを使っています」というくらいの意味で、本当に静かなのかまで調べられていることはほとんどない。
一方で、サイコムのSilent-Masterシリーズは、実機を第三者機関の無響室に持ち込み、その静音性と冷却力を詳細に調べている。 ここまで真面目に静音性を追求し、その効果まで公表しているBTOパソコンは、そうないだろう。
もちろん、動作音は構成や環境によっても変わる。試しに自宅(暗騒音:約32.1dB)で騒音値を測ってみたところ、アイドル時で約33.6dBと電源が入っているのかどうかわからないレベルだった。また、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)を動かしてみても最大で約41.1dB。多くのシーンでは38dBを下回るという静音動作を実現していた。
隣室にいればほぼ聞こえないレベルのため、夜中のPC利用でも同居人に迷惑がかからないだろう。しかし、いくら静かでも性能が低ければ、ゲーミングPCとしての魅力はない。そこで今回は、性能面を中心にSilent-Master NEO B650Aをレビューする。
Ryzen 5 9600Xの実力を十分に引き出せる冷却力
Silent-Master NEO B650Aの試用機材では、CPUにAMDのRyzen 5 9600X(6コア/12スレッド)を採用している。その特徴は、TDPは65Wと前世代のRyzen 5 7600X(TDP 105W)から大きく引き下げられている点。そして、それにもかかわらずパフォーマンスは向上しているところだ。
これはひとえに電力効率の高さが謳われているZen 5アーキテクチャーのおかげである。電力効率が向上すれば、同じ作業をしても必要な消費電力は下がり、発熱量も少なくなる。つまり、Ryzen 5 9600XはSilent-Masterシリーズのような静音PCにはぴったりなCPUなわけだ。
とはいえ、本当にCPUの性能を引き出せているのか気になるところ。そこで、今回は定番のベンチマークソフトを用い、その性能と温度をチェックした。なお、検証は分岐予測の最適化が施されたWindows 11の「KB5041587」という更新プログラムを適用している。
まずは定番のCGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH 2024」から。結果は「pts」という独自単位のスコアーで表示され、その値が高ければ高いほど高性能となる。テストは全コアを使用するMulti Coreと、1つだけ使うSingle Coreの2つを試した。
Multi Coreが899ptsで、Single Coreが128ptsと、十分その性能を引き出せている印象。CPUの最大温度も85.1度と低いので、冷却力が足りないということはないだろう。
1つ前のバージョンとなる「CINEBENCH R23」も試してみた。単位(pts)は同じだが、テスト内容が異なるため、スコアーを相互比較できない点に注意してほしい。
こちらはMulti Coreが16207ptsで、Single Coreが2136pts。なにか参考比較になる情報がないかと過去のデータをあさってみると、4年前に登場したRyzen 7 5800X(8コア/16スレッド、3.8GHz、TDP 105W)があった。それによると、Ryzen 7 5800XはMulti Coreが15252ptsで、Single Coreが1600pts。
つまり、この4年でコア数の差をひっくり返し、さらに1コアあたりの性能も約1.33倍に向上していたということになる。Ryzen 5000シリーズから9000シリーズへ買い替えるなら、Ryzen 7からRyzen 5に乗り換えても十分満足できるだろう。
タイトルや画質設定次第でWQHDや4Kゲーミングも狙える
続いては、ゲームで最も重要となる3Dグラフィックス性能を見てみよう。まずは定番ベンチマークの「3DMark」から。まずは激重のDirectX 12 Ultimateに対応した「Speed Way」の結果を見てみよう。
このテストではリアルタイムのグローバルイルミネーションやレイトレーシングといった効果が利用されており、かなり重たいシチュエーションが続く。ここで良い結果が出れば、画質重視のAAAタイトルでも快適に遊べることになる。
結果は3226スコアー。推定パフォーマンスでは、多くのタイトルがWQHD(2560×1440ドット)解像度でも余裕で動作するという結果だった。GeForce RTX 4060 Tiのターゲットは高画質なフルHDゲーミングだが、タイトルや画質設定によってはWQHDでも快適に遊べそうだ。
動作クロックの変化を見てみると、GPUとGPUメモリーのクロックはド安定。サイコムオリジナルのSilent Master Graphicsは静かなだけではなく、きちんと冷却できていることがわかる。
「Time Spy」の結果も見てみよう。こちらはDirectX 12に対応するもので、中負荷~高負荷クラスのゲームの指標となるテストだ。
CPUやGPU、GPUメモリーそれぞれの動作クロックが高レベルで安定しており、12462スコアーという優秀な結果に。Silent-Master NEO B650Aは静音PCでありながら、しっかりと性能が引き出せていると言っていい。
なお、ほかのテストも試してみたので、以下にまとめておこう。自分のPCとの性能比較などに役立ててほしい。
実際のゲームに近いテストとして、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)も試してみた。結果はスコアーだけではなく、「非常に快適」といった評価もあるため、指標が直感的でわかりやすい。なお、「普通」評価だと、シーンによってカクツキが気になる場合があるため、できるだけ「快適」以上を目指したい。
画質プリセットは「最高品質」、グラフィックスアップスケールタイプはデフォルトの「FSR」(3Dグラフィックス解像度スケール:100)でテスト。解像度は4K(3840×2160ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、フルHD(1920×1080ドット)の3パターンで試している。
4Kのスコアーは6366で「やや快適」、WQHDのスコアーは12946で「とても快適」、フルHDのスコアーは19840で「非常に快適」という評価になった。WQHD以下の解像度ならストレスなく遊べるものの、4Kでは最高画質だと若干不安が残る。
レポート出力機能を使い、4K時のフレームレートをチェックしてみると、平均フレームレートが約45fpsで、最低フレームレートが28fps。ゲームへの影響は軽微だが、30fpsを切るとカクツキが気になり始めるだけに、シーンによっては不満を感じることもありそうだ。
では、DLSSを使ってみるのはどうだろうか。DLSSは低い解像度で描画した画面を元に、高解像度化や細部の高画質化を行うもの。ゆえに、画質の劣化を大きく感じさせず、フレームレートを大きく改善できるというメリットがある。
4Kのスコアーは10354で評価は「快適」と大きく上昇。平均フレームレートは約68.9fps、最低フレームレートは37fpsにまで向上し、文字通り快適に遊べるレベルになった。
なお、WQHDのスコアーは12537で評価は「とても快適」、フルHDのスコアーは19061で評価は「非常に快適」と誤差の範囲で減少した。これはDLSSが有効化されるしきい値の60fpsをほとんど割っておらず、DLSSの出番がなかったためだろう。
GeForce RTX 4060 TiはフルHD~WQHDのゲーミングを想定しているGPUだが、画質設定やゲームタイトルによっては4Kプレイもイケる。画質重視で高解像度で遊びたい、という要望にも応えてくれそうだ。
「黒神話:悟空 ベンチマークツール」でWQHDプレイの最適設定を探る
美しいグラフィックと手に戦闘の面白さで人気急上昇中のアクションRPG、「黒神話:悟空」(Black Myth: Wukong)。せっかく遊ぶなら画質を高くしたいと思うのは、当たり前の感情だろう。
Silent-Master NEO B650Aでは、どのくらいの画質で快適に遊べるのだろうか。「黒神話:悟空 ベンチマークツール」で、設定を変えながら試してみた。具体的な目標としては、95パーセンタイルで60fps以上になる設定を目指した。
解像度はWQHDに固定。この状態で「推奨画質」を選んでみたところ、スーパー解像度設定はサンプリング解像度「50」、スーパー解像度「DLSS」、フレーム生成「ON」となっていた。また、NVIDIAフルレイトレーシングは「OFF」、画質レベルはすべて「高」だ。
ただし、この設定だと平均フレームレートが120fps、95パーセンタイルでも110fpsと高く、さすがに軽い。そこで、フルレイトレーシングを「ON」に変更し、レベルは「中」としてみた。
この設定で試したところ、平均フレームレートは94fps、95パーセンタイルでも86fpsという結果に。かなり理想に近くなったが、もう少し画質を高くしてもよさそうだ。
テスト中の画面を見ているとDLSSの影響か、細部のディテールが少し下がっているように感じた。そのため、サンプリング解像度を「50」から「80」に上げてみた。
結果は、平均フレームレートで70fps、95パーセンタイルで64fpsと目標に限りなく近い。なお、最低フレームレートも60fpsを維持しているので、不満なくプレイできそうだ。
さらに、サンプリング解像度を「100」にしたらどうなるのか気になったので試してみた。
平均フレームレートは43fps、95パーセンタイルは39fpsと、さすがにこれは重たかったようだ。また、サンプリング解像度を「100」まで上げても、「80」と画質の差はあまりないように感じた。「80」でフレームレートを上げたほうがおいしいだろう。
まとめ:静音ゲーミングPCの決定版がRyzen 5 9600Xで快適さが向上
ゲーミングPCは動作音が大きい。ライトアップが過激でピカピカ光る。複雑なデザインが見た目にうるさい。といったイメージを持っている人もいると思うが、Silent-Master NEO B650Aはその対極に位置する1台だ。
ゲーム中の静音動作や、光るところは電源ボタンとアクセスランプだけというシンプルな外観は、世間一般のゲーミングPCのイメージとは一線を画す存在と言える。
そして、Ryzen 5 9600Xという省電力&低発熱な最大CPUを迎え、静音ゲーミングPCとしての「快適さ」は盤石なものになった。高性能なPCは欲しいけど、見た目や音がうるさいゲーミングPCはちょっと……と考えている人にオススメしたい。
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