2回線以上で安くなる、1人で複数回線持ちに適した格安SIMはどれ?
ASCII.jp / 2024年9月29日 12時0分
IIJmioが、「家族割引」という名の複数回線での割引を10月に開始する。SIMは複数持つのは当たり前(!)という人も、家族で使う人も、回線を多く使う人にはありがたい話だ。そこで、あらためて複数回線持ちで有効な格安SIMを調べた。
IIJmioの「家族割引」は音声SIMがすべて月100円ずつ割引
IIJmioの複数回線割引は「家族割引」という名称で、別に家族で使っていなくても、同一IDで複数回線を契約していると、1回線あたり月額100円(税込)の割引が適用される。ただし、対象は音声SIMに限られており、データ専用SIMは対象外だ。
また、もう1つ条件があり、「IIJmioからのご案内メール(メールマガジンなど)」を「受け取る」の設定になっている必要がある。筆者の場合、受け取らない設定だったので、家族割引が始まる前に設定を変更した。
割引を受けるためには、10月1日以降に手続きをする必要がある。そのまま使っていたのでは適用されないため、注意してほしい。
このおかげでデータ回線と音声回線の料金の逆転現象が起きることがある。音声とデータを1回線ずつ使っている人はデータの回線を音声回線に変更すれば必ず安くなるし、音声2回線以上とデータ1回線を使っている人はデータ回線を音声回線に変更したほうが安くなることが多い。
IIJmioは複数回線間でデータ通信量の合算が自由にできて便利
家族割引がIIJmioで開始されるついでに、IIJmioの複数回線の便利な活用法を紹介しておきたい。IIJmioは、複数回線を契約している場合のデータ通信量の合算設定が柔軟だ。それぞれの回線で独立して通信量を使うことも、合算して使うこともできる。
また3回線なら、2回線分を合算し、残り1回線の容量を独立させるといったことまで可能だ。
この応用として、たとえば月20GBの通信量が欲しい場合。1回線で使っていると2000円だが、もう1回線契約し、15GBプランと5GBプランで1800円+990円で合計2790円となるが、家族割引がそれぞれ100円ずつ発生するので、合計2590円とプラス590円でもう1回線持てる計算だ。
また、通信量の合算は異なるネットワークのSIM間でも可能なのがIIJmioの特徴。IIJmioではドコモとauのネットワークから選べるので、予備回線としても優秀だ。
1台のスマートフォンに異なるネットワークのSIMを入れて、サービスエリアを広げられるだけでなく、どちらのSIMでどれだけ通信量を消費したかを気にする必要もない。
複数回線割引があるサービスは少ないが 追加SIMというシステムは用意されているケースも
では、ほかの格安SIMで、複数回線利用時の割引はどうなのか。もともと料金が安価な格安SIMでは、複数回線契約だからと大幅に安くなることはあまりない。大手MVNOの格安SIMでは、mineoが1回線あたり月額55円、BIGLOBEモバイルが2回線目以降で月額220円を割り引くなどの例があるが、IIJmio同様にやや渋めだ。
また、MVNOの場合は複数回線割引よりも、追加SIMというシステムを採用しているところもある。元々のプランに対して、追加のSIMを発行し、通信量をシェアできるというものだ。
たとえば、イオンモバイルは「シェアプラン」として、音声SIMなら月額550円のプラスで追加のSIMが持てる。データ専用SIMだけなら330円だ。また、4回線目以降はさらに料金が下がり、音声SIMなら440円のプラス。
BIGLOBEモバイルは複数回線の割引もあるが、それとは別に「シェアSIM」として追加SIMのシステムもある。音声SIMはプラス990円と少し高いが、データ回線なら220円なので、音声通話を使わないケースには便利だろう。
複数回線でドーンと安くなるY!mobileだが、元々の料金が……
もっと安くなる格安SIMとなると、家族割引サービスで1100円引きとなるY!mobileがある。
ただし、この割引が適用されるのは2回線目以降で、2回線持ちだと片方しか安くならない。そして、そもそもの話となるが、現在のY!mobile回線は元の料金がやや高めなため、1100円割引してもあまりオトクとは言いがたい。
Y!mobileとしては、固定のインターネット回線がセットの「おうち割」(1100~1650円引き)をメインと見ているのか、家族割引サービスはあまりアピールしていない。そして、おうち割と家族割引は同時適用不可だ。
そのため、LYPプレミアム(旧Yahoo!プレミアム)やYahoo!系サービスでのクーポンなど、Y!mobileのサービス内容にこだわりがなければ、料金面だけでは魅力はあまり大きくない。ソフトバンク回線を安く使いたいというのなら、オンラインプランの「LINEMO」も検討したい。
Y!mobileと常に比較されるUQ mobileも「家族セット割」があるが、割引対象のプランは「トクトクプラン」「ミニミニプラン」のみで、割引額も月550円となっている。
複数回線で大容量利用なら3大キャリアが割安になることも
使い放題系プランなら、料金的にも3大キャリアが割安になることがあるが、複数回線利用ならさらに割安になる。たとえば、ドコモ/au/ソフトバンクともに、広告などには家族割引適用時の最安料金を「4480円」と大きく書いている。
これは3社ともに対象の固定回線のセット、合計3回線以上の利用、自社クレジットカード払いという条件かつ、税抜の金額。単独だと7000円以上するプランだが、すべて満たせば使い放題系プランが税込4928円で使えることになる。
格安SIMのメニューにない月50GBかそれ以上の通信量をすべての回線で使うつもりなら料金面でも選ぶ価値が出てくる。動画を外で見まくる家族ばかりならば、このプランも悪くない。ただし、1人の場合、使い放題系のプランを複数回線持つメリットを活かせるケースは少ないのではないだろうか。
なお、MNOなら楽天モバイルもある。楽天モバイルは1回線あたり月額110円を割り引く「最強家族プログラム」がある。これは当初は1人(1つの楽天ID)で複数回線持ちでは割引は適用されなかったが、2024年7月9日以降は1人で複数回線でも利用できるようになっている。
公開当初、楽天モバイルは1人複数回線で「最強家族プログラム」は適用されないとしていましたが、正しくは上記の内容になります。お詫びして修正いたします。(9/30 12:15)
複数回線割引は自分に適したものを選びたい
趣味や大家族、そして万が一の際の予備回線として複数のSIMを契約する人にはありがたい複数回線割引。割引額やシステムはさまざまで、月にどのくらいのデータ量が必要かなどによって、最適な回線は人によって異なる。
一方で、もともと安い料金プランでは、それほど大きな割引が設定されないため、無理に同一事業者で複数回線割引を狙う必要もないと言える。特に、万が一の際の予備回線は異なる通信事業者で、無線のネットワークも別のほうがリスク分散になるからだ。ぜひ、最適な組み合わせを見つけてほしい。
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