ソニー最高水準の「外音取り込み」と144種類のカラーが選べる、LinkBuds新モデル
ASCII.jp / 2024年10月2日 10時3分
ソニーは10月2日、LinkBudsシリーズの完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds Fit」と「LinkBuds Open」を発表した。予想実売価格はともに3万円前後。発売はFitが11月15日、Openが10月11日。
LinkBuds Fitは、フィット感の良さを追求
LinkBuds Fitは、密閉型(カナル型)の「LinkBuds S」の上位機種で、高いノイズキャンセル性能、外音取り込み性能、高音質をアピールしている。そのために最上位の「WF-1000XM5」と同じ「統合プロセッサーV2」や「ダイナミックドライバーX」を採用。特に外音取り込み性能は過去のソニー製品の中でも最高にいいという。
一方で、軽い付け心地にもこだわっている。アピールしているのは、名称が示す通り「フィット感の良さ」。密閉型イヤホンとセミオープン型イヤホンの長所をいいとこどりして軽い着け心地を追求した機種としてLinkBuds Fitを仕上げている。
実は、LinkBuds FitははLinkBuds Sが持つ特徴を概ね網羅し、高機能化しているが、既存のLinkBuds Sは併売する。これは、LinkBuds Sはガッチリと耳にはめるフィーリング。好みの違いや利用シーンに差が出るとソニーが考えているためだ。
本体は4.9gと軽量で、WF-1000XM5との比較で約10%小さいサイズだ。イヤーピースも浅く耳穴に入れる(傘が薄い)ものとして装着感を軽くしている。
面白いのはフィッティングサポーターが中空で柔らかいものになっている点だ。支えるための圧は十分確保しつつ、耳穴に合わせて変形するので、長時間使用でも負担になりにくい。耳になじみやすく付け心地のいいフィーリングになっている。
音質面では、すでに述べたようにダイナミックドライバーXを採用。振動板の周囲(エッジ)に柔らかい素材を使用して振幅を取りやすくし、深い低域の再現を可能としている。内側のドームは軽量かつ剛性が高いものにしていて高域も伸びる。
Bluetoothコーデックは、SBCのほか、AAC、LDAC、LC3などに対応。DSEE Extremeによってアップスケーリングや圧縮時に失われる高域情報などの補完が可能だ。
内蔵するプロセッサーは、WF-1000XM5と同じ「統合プロセッサーV2」。高性能なプロセッサーで複数のマイクを最適に制御(デュアルノイズセンサーテクノロジー)し、音質・ノイズキャンセル性能ともに向上した。特に外音取り込みはLinkBuds Sから性能アップ。ソニーの完全ワイヤレスの中では最高の性能を持つものになったという。
利便性の点では、アプリ設定で「自動外音取り込み」が可能になっているのもポイントだ。スマホなしでイヤホン操作ができる音声コントロール、BGMのように遠くで音楽が流れているように聞かせる「BGMエフェクト」、本体ではない耳の周りをタップするだけで操作できる「ワイドエリアタップ」、AI技術を活用してノイズを分離する「通話品質の高さ」などは従来機種から向上した機能。
これ以外にも、頭を振るだけで電話が取れる「ヘッドジェスチャー」、自分の声を自然に聞きながら話せる「スピーク・トゥ・チャット」、Sound AR(Locatone)やEyeNavi対応など、機能強化が図られているほか、「Spotify Tap」や「Amazon Music Play Now」、「Endel」など対応するサービスのストリーミング楽曲を簡単に再生できる「Quick Access」なども利用可能だ。
バッテリー駆動時間は本体のみで5.5時間/8時間(ノイズキャンセルON/OFF)、ケース充電併用で最長21時間/30時間となる。急速充電は5分で60分再生の性能。マルチポイント接続は最大2台。IPX4相当の防滴性能を備える。
LinkBuds Openは長時間駆動と外出先での聞きやすさ
LinkBuds Openは、初代「LinkBuds」のコンセプトを継承した正統進化モデル。キャッチコピーは「イヤホンにも『聞く力』を。」で、「聴きながら、聞き逃さない」使用感が得られるのが特徴だという。
オープンイヤースタイルは「耳をふさがないイヤホン」や「ながら聞きイヤホン」などとも呼ばれる。製品としてはイヤーカフタイプや、イヤースピーカー、骨伝導型など、耳から離して使うタイプにものも多いが、ソニーは耳穴に入れるLinkBudsには、メガネやマスクと干渉しにくく、鼓膜に近いため装着状態によって音の出る位置がずれにくく音圧を感じやすく、見た目もスマートになるというメリットがあるとする。
さらに低音などが抜けるオープン型の弱点を克服するため、LinkBuds Openでは音圧をアップ。屋外での使用感も上がっているとする。ドライバーの中央に穴を空けたリング型ドライバーを使用し、外音が耳に入るオープンイヤースタイルは従来と同様。リングドライバーの直径は若干小さく(12mmから11mmに)なったが、振動板の厚みを最適化したことで音圧を向上できたという。
また、同時発表のLinkBuds Fit同様、中空で装着感のいいフィッティングサポーターを採用。形状は異なるが、コンセプトは共通。空気を含んだシリコン素材のサポーターが、耳のくぼみに合わせて柔軟に変形し、フィット感を向上させる。
ひとつのサポーターでより多くのユーザーに使ってもらえるよう、耳の形に合うArc形状とし、耳の大きな人に合わせた強い反力を保ちつつ、耳の小さな人でも圧迫感が出ないよう中空にしている。シリコン素材の厚さは0.01mm単位で調整するほどこだわって、最適なテンションを追求したという。劣化もしにくく「長期間使った結果へたる」といった問題が起こりにくい素材とのこと。
バッテリー駆動時間は約5.5時間から約8時間に延びた。通話時も4.5時間を確保しているので、テレワークなどで利用する際には嬉しい。3分で60分再生の急速充電機能を持つ。機能面では、同時発表したLindBuds Fitと同様、音声コントロール、BGMエフェクト、別売アクセサリーによるカスタマイズ性の高さが特徴となっている。
IPX4相当の防滴性能を持つ。LinkBudsの機能は継承しつつ、ワイドエリアタップ、ヘッドジェスチャー、Quick Accessなどの新機能を追加している。
カスタマイズ性の高さをアピール
イヤホン・ヘッドホンはファッションアイテムとしても人気だ。
デザインの良い製品を選ぶだけでなく、ユーザー自身がケースの外側にカバーを取り付けたり、イヤーピースなどの部品を交換してカスタマイズする使い方も増えている。例えばAirPodsやAirPods Proにはサードパーティ製品を含め、さまざまな交換パーツが用意されている。
新しいLinkBuds Fit/Openがアピールしているのはカスタマイズ性の高さだ。本体はLinkBuds Fitの場合、グリーン、ブラック、ホワイト、バイオレット(オロビアロドリゴモデル)の4色展開だが、純正でフィッティングサポーター(実売2000円前後)を5色、ケースカバー(実売3000円前後)を5色も別売で用意している。ソニーストアで購入した場合は、ケースの上ふたと下ふたを変えるカスタマイズに対応。実に144通りの組み合わせを選べるという。
また、LinkBudsシリーズらしい、ライフスタイルになじんだ活用も重視している。特徴的な新機能が同時発表した「LinkBuds Speaker」と連携できる「Quick Access」だ。
LinkBuds SpeakerはLinkBudsシリーズとしては初のスピーカー製品だが、新しくリリースしたアプリ「Sound Connect」(旧Headphones Connect)で設定しておくと、LinkBuds Fitをケースにしまってスリープさせると、自動でこれまで聞いていたスマホの楽曲がLinkBuds Speakerの再生に引き継げるようになる。
仕組みとしては、Bluetoothのマルチポイント接続に近いものだという。スマホ側はLinkBuds FitとLinkBuds Speakerの両方につながっている状態で、片側が消える(LinkBuds Fitをケースに入れる)と、もう一方(LinkBuds Speaker)から音が鳴るようになる。LinkBudsのコンセプトである「ながら聴き」の快適さを、イヤホン・スピーカーの垣根を超えて利用できる機能とも言える。
なお、本製品はキタニタツヤ氏をプロモーションに起用。ユーザーとの共作プロジェクトなども開催していくという。
装着感の違いは?
新製品2機種を旧機種と比較しながら短時間試してみた。まず中空のフィッティングサポーターの付け心地は確かにいい。見た目はソフトなチューブのようなものになっていて、触れると柔らかい。
LinkBuds Sはかなりピッタリとした装着感で、密閉感も高かったが、LinkBuds Sもセミオープン的な雰囲気はありつつも、外の音は基本的に聞こえない。ノイズキャンセル性能が高いのだろう。
面白いのは外音取り込みの違い。部屋でサーというノイズを流した状態で聞いてみたが、ノイズの音色がLinkBuds SとLinkBuds Fitでは異なることを確認できた。具体的には、高域のキンキン感が減り、マイクで収音している感じが減る印象だ。逆に、よく聞きたい中域は少し持ち上がり、より詳しく聞けるようになる。イメージ的には、声などよりも何か物が動いたりする、周囲の環境おんが立つイメージだ。
LinkBuds Fit、LinkBuds Openともに装着かんは軽く、これは確かに疲れにくと感じた。
ちなみに、LinkBuds OpenとLinkBudsの違いとしては、少しホールド感が上がりつつソフトな装着感になる。以前のモデルは、フィッティングサポーターがないため、プラスチックの筐体をそのまま耳に入れる硬さがあったが、マットな質感になるため、指先で滑りにくく持ちやすさにつながったと思う。オープンタイプなので限界はあるが、音質面でも低域の量感は上がっている印象がある。
なお、LinkBuds Openのフィルター部はLinkBudsと形状が異なるが、これはデザイン的な理由と、ドライバーサイズの違いを加味しつつ、ドライバーサイズの変化に合わせて開口率を調整したためだという。耳に入れるタイプの製品ということで、カフタイプよりは、音への集中感が高まるのも違いを感じた部分だ。
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