PCなのに高級車のようなプレミアム感! レノボとインテルがコラボした「Yoga」シリーズ最新モデルがすごかった
ASCII.jp / 2024年10月16日 12時0分
Copilot+ PCが6月にデビューしてから、早4ヵ月。各メーカーが展開するAI PCについても考えが見えてきた。
たとえばあるメーカーでは「多様なニーズに応えるための選択肢の1つとしてAI PCをラインアップする」、またあるメーカーでは「AI PCはメインストリームとして普遍的なものになるからどんどん展開していく」といった形だ。いずれにしてもAI PCはこれからどんどん市場に展開されていくこととなるだろう。
本連載ではAI PCに着目し、それを取り扱うメーカーにインタビューしていく企画だ。
最終回となる第5回はレノボ・ジャパンに訪問。「Smarter technology for all」という企業テーマ通り、テクノロジー・カンパニーとしてノートPCやワークステーション、サーバー&ストレージ、周辺機器など、幅広いジャンルでビジネスを展開している。
Smarter technologyの中にはAIも含まれ、ノートPC分野においては、Snapdragon Xシリーズ搭載のノートPCをいち早く市場に投入している。
本取材ではレノボとインテルが連携したCopilot+ PC「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition」についても詳しく聞くことができた。Aura Editionは、独自のデザイン・機能を搭載したプレミアムなコンセプトのノートPCだ。
インタビューをしたのは、PC事業の責任者である事業本部の河島 良輔氏、個人向けのPC事業部の櫛田 弘之氏、製品企画部の元嶋 亮太氏の3名だ。
最新CPU搭載のモデルをいち早く市場投入する
――本日はよろしくお願いいたします。まず御社のノートPC製品のラインアップについてお聞かせください。
法人向けとしてはThinkPad/ThinkBookシリーズを、個人向けとしてYoga/IdeaPadシリーズを展開し、各ブランド内においてAI PCをラインアップしています。
弊社のロードマップとしては、製品企画から投入までの時間を重要視しており、Copilot+ PCに対応するモデルとしてSnapdragon X Elite搭載のYoga、ThinkPadをいち早く販売しました。
またその後、40TOPS以上に対応したAMD Ryzen AIシリーズ、インテルCore Ultra シリーズ2搭載モデルも発表、さらにSnapdragon Xの廉価版であるX Plusを積んだモデルも発表したという流れです。 その中でも、ほかのOEMメーカーにない特徴として、インテルとコラボしたAura Editionというものを展開させていただきました。
――AMD Ryzen AIシリーズ、インテルCore Ultra シリーズ2搭載モデルと同時にSnapdragon X Plusを搭載したモデルを展開した理由は? もう少しユーザーへ求めやすい価格にして体験してほしいという想いから、Snapdragon X Plusを搭載したモデルを展開しました。Copilot+ PCについては、ハイエンドから比較的価格を抑えたモデルまで、というラインアップとなっていますね。
――クアルコム製のCPUについてユーザーの受け止め方はいかがでしょうか?
ユーザーや販売店を含め、浸透するにはまだ時間がかかりそうです。AI性能や消費電力などを含めて、Snapdragonのポテンシャルはあると思っていますので。
――AI PC(Copilot+ PC)の全体の見通しについて教えてください。
実質、デフォルトのCPUがNPUを搭載したものになっていきますし、AI PCの市場が相当に上がってくると思います。気づくと、NPU搭載モデルを使っている人が増えていくでしょう。
いま世に出ているアプリケーションの多くはNPUをまだ使わないですが、今後はNPUがないとマイクロソフトのOfficeすら動かない時代になるかもしれません。
――NPU非搭載のノートPCとAI PCのすみ分けはどうなっていくと思いますか?
目に見える形で混在している状況は2024年~2025年前半までと考えています。インテルのCore UltraシリーズからNPUが搭載され始めましたが、来年モデルの多くがNPUが搭載されていくと思いますので、来年以降はAI PCの占める割合が急激に上がっていくのではないかと。
我々としてはAIを実際に使っていける製品をユーザーにお届けする、そしてNPUをしっかり活用していけるサービスも提供していこうと思います。
インテルと連携したAura Edition
ここからはレノボが展開している最新製品を紹介していく。主にIFAで発表されたものだが、注目すべきは、インテルとレノボが連携して作ったCopilot+ PC「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9」だろう。
Aura Editionは高いユーザーエクスペリエンスを提供できるモデルに対してレノボが付けている名称。ハードウェアでは最良の部品を使い、ソフトウェアではUIなどを含むユーザービリティーを向上させたモデルだ。
スペックは、CPUにインテルCore Ultra シリーズ2を搭載、インテルAI Boostにより最大47TOPSを実現。メインメモリーは32GBで、1TB(PCIe NVMe/M.2)のSSDを搭載する。
ディスプレーは15.3型2.8K(2880×1800)液晶でIPS、100% sRGB、120Hz、500nit、マルチタッチパネルを採用。インターフェースにはThunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen 1×1、HDMI×1、プライバシーシャッターボタンなどを採用。
製品サイズは幅343.8×奥行235.4×高さ13.9mmで重さが約1.53kg。直販価格は24万9810円となる。
インテルCore Ultra シリーズ2搭載による長時間のバッテリー駆動はもちろん、スピーカー×4&ノイズキャンセリング マイク×4の充実の音響環境、薄型回路かつ熱設計による効果的な冷却と、かなりハイエンドな設計となっている。
独自機能としては、5つのモードを簡単操作できる「Smart Modes」、シームレスなデータ共有を実現する「Smart Share」、オンラインサポートへつなげられる「Smart Care」を搭載している。いずれもPCに詳しくない人でも使いやすい機能になっていることが特徴だ。
担当者によるとSmart Modesは、のぞき見防止やエコモードのオン/オフ、集中作業時のタイマー設定など、これまで煩雑になっていた各種機能を1つにまとめ、ユーザーにとって使いやすくしたものだ。F9キーを押すと、ポップアップが現れ、そこから5つのモードを設定できる。ショートカットキーを1タップするだけで使えるので、非常に使い勝手がいい。
Smart Shareは、PCとスマホを事前にBluetooth接続しておけば、スマホの画像やデータなどをPCに接触させるだけで、共有できる機能だ。イメージとしてはiPhoneのAirdropに近い。わざわざ有線などで画像をインポートする手間なく、直感的に使える機能だ。
Aura Editionについては、Yoga/ThinkPadシリーズで展開されていく予定だそう。
Lenovo Yoga Pro 7 Gen 9
Ryzen AIシリーズからはCopilot+ PC「Lenovo Yoga Pro 7 Gen 9」が展開されている。CPUにAMD Ryzen AI 9を搭載、演算能力は50TOPSを実現し、パワフルな性能を持つ。メインメモリーは32GB、1TB SSDのストレージを搭載する。
ディスプレーは14.5型2.8K(2880×1800) OLED (有機EL)、100% DCI-P3、120Hz、600nit、ブルーライト軽減パネルなどを採用。インターフェースにはUSB 3.2 Gen 2×1、USB 3.2 Gen 2 Type-C×1、USB 4 Type-C×1、HDMI×1などを装備。
ハイエンドのYogaシリーズらしく、電源も100WのACアダプターを採用しており、とにかくパワフルさが売りのモデル。 ディスプレーは有機ELで美麗、Dolby Vision対応、120Hzのリフレッシレート、0.2msの応答速度と性能の高さは折り紙つきなので、クリエイティブ向けにも頼りになる一台だろう。
IdeaPad Slim 5x Gen 9/IdeaPad 5x 2in1 Gen 9
Snapdragon Xシリーズ搭載モデルはレノボのIdeaPadシリーズから展開。いずれも8コアのSnapdragon X Plus搭載モデルとなっているため、価格が抑えられているのが特徴。Snapdragon X Eliteの廉価版ともいえるが、45TOPSとパフォーマンスは高い。
IdeaPad Slim 5x Gen 9はCPUに8コアのSnapdragon X Plus、メインメモリーは最大32GB、ストレージは最大1TB内蔵する。ディスプレーは14型WUXGA(1920×1200)のOLEDで、400nit、60Hz、100% DCI-P3。
インターフェースはUSB 3.2 Gen1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、HDMI×1などを搭載。製品サイズは幅312×奥行221×高さ16.9mm、重さは1.48kg。価格は12万9800円となる。
IdeaPad 5x 2in1 Gen 9はディスプレーが360度回転する2 in 1 PC。CPUに8コアのSnapdragon X Plus、メインメモリーは最高16GB、ストレージは最高1TB内蔵する。
ディスプレーは最高で14型WUXGA(1920×1200)のOLEDで、400nit、60Hz、100% DCI-P3。インターフェースはUSB3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1×1、HDMI×1を搭載。
製品サイズは幅313×奥行227×高さ17.5mm、重さは1.5kg。直販価格は11万9790円。
レノボのCopilot+ PC製品としてはArm系Copilot+ PCとx86系 Copilot+ PCで上手くすみ分けができているのが大きな印象だ。
Copilot+ PCに触れてみたいライトユーザー向けにIdeaPad Slim 5xとIdeaPad 5x 2in1を。対してYoga Slim 7i Aura EditionとLenovo Yoga Pro 7 Gen 9は高性能なCopilot+ PCを求めるユーザー向けとなる。
バランスよく投入していくことで、価格・性能などユーザーそれぞれが求める需要に対応できているのではないだろうか。
ThinkPadでもCopilot+ PCを投入
レノボといえばThinkPadが有名だが、そこでもCopilot+ PC「ThinkPad T14s Gen 6」が投入された。
CPUにSnapdragon X Elite、メインメモリーに32GB、512GB SSDのストレージを内蔵。ディスプレーは14型WUXGA液晶(1920×1200)IPS、光沢なし、100% sRGB、400nit、60Hzに対応。
インターフェースにはUSB4 (Thunderbolt 4対応) ×2、USB 3.2 Gen 1×2、HDMI×1などを搭載する。
方針としては、法人向けのThinkPadにおいても働き方の多様化(ハイブリットワークなど)に対応するラインアップを順次強化予定としている。
もちろんAIによる機能も積極的に導入していく予定で、たとえば、消費電力低減とセキュリティー向上のためにユーザーの動きをAIが読み取ってゼロタッチで消灯、ロック & ログインできる機能などが一部モデルでは採用されている。
またSnapdragon Xシリーズを法人向けに搭載したことについては、パフォーマンスとしては十分、互換性も時間が解決するとした上で、一番重要なことはインテル、AMD搭載のノートPCと“同じように使えるか”だとしている。
この同じように使えるかについて担当者は、ファームウェアにおいてインテル、AMDと同様の設計で行う+プラットフォームの差を意識しない深いレイヤーの設計で解消しているという。
AIアバターが自分の副操縦になる日がくるかも
本連載では「AIだ、AIだ」と何度も話してきたが、やはりAI PC時代は来るだろうというのが結論だ。
AI PC(Copilot+ PC)の市場は日に日に大きくなっているし、インタビュー内でもあったように、知らないうちにNPUが搭載されていくという流れになっていくのだろう。
本筋とは少しそれるが、レノボでは、Z世代の3人に2人が「オンラインとオフラインで人格が違うと感じる」という調査結果のもと、Z世代モデルのSNS上の人格が生き写しされたAIアバターを作成し、現実世界とオンラインで異なる人格のギャップに悩む若者を支援するという取り組みも実施している。
これからますます“オンライン上での自分”というものにはフォーカスが当てられると思うが、AIアバターが自分のCopilot+、つまりマイクロサイトが提唱する「副操縦士」となる未来はそう遠くはないと思う。
AI PCは、そんな新たな時代の始まりとなる一手なのではないだろうか。
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