Windows 11 24H2の配布開始後もすぐにはやってこない Windows UpdateとSafeguard Holds
ASCII.jp / 2024年10月13日 10時0分
Windows 11 Ver.24H2の一般向け配信が開始 でも、23H2のマシンにすぐにアップデートは来ない
Windows 11 Ver.24H2(「Windows 11 2024 Update」とも呼ばれる)の一般向け配布が開始された。
筆者は、一部のPCをWindows Insider Programに参加させており、DevチャンネルとRelease Previewチャンネルの24H2プレビュー版を入れている。比較のため、通常版Windows 11 Ver.23H2のマシンも用意しているが、今のところ正式版23H2マシンには、24H2のアップデートは来ていない。
しかし、Windows 11のリリース情報によれば(https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/windows11-release-information)、OSビsルド26100.2033が最初のアップデートとして配布されている。
こういうタイミングなので、Windows 11のアップデートのサイクルに関して一回まとめておこう。以下の表は、マイクロソフトが「継続的なイノベーション」と呼ぶアップデートの方法である。
Windows 11のアップデートには大きく3つがある
簡単に言えば、年1回のアップデートと毎月のアップデート、そしてMicrosoftストア経由のアップデートの3段階がある。
Windows 10では、機能追加・更新は年2回のアップデートで提供していたが、Windows 11では、年1回のアップデート(年次機能更新プログラム、暦年の後半を予定)だけでなく、毎月のWindows Update(Windows 月次更新プロセス)でも新機能の配布をする。ただし、新機能の配布は毎回ではなく、マイクロソフトが恣意的に実施する。
機能によっては、複数のアップデートで段階的に配布され、翌月のアップデートで機能が有効化されることもある。これは、段階的に配布することで、アップデートに必要な処理時間を分散させ、1回のアップデートに長い時間をかけないようにする効果がある。
月次アップデートは、大きく3つある。
1つは、「Monthly security update release」で、B releaseやLCU、累積アップデートなどと呼ばれていたものだ。過去のセキュリティアップデートを含むため「累積」となっているわけだ。
なお、Windows 11では、前月の「Optional non-security preview release」で、プレビューされた新機能を含むことがある。この「Optional non-security preview release」とは、基本的にオプションであり、ユーザーが「オプションの更新プログラム」でインストールを手動で選択する。「設定」→「Windows Update」→「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」をオンにすると、インストールされることがある。
筆者の観測では、オプションのアップデートのうち、Windowsの新機能に関係するものはインストールされるようだが、デバイスドライバの更新などは、勝手にはインストールされないようだ。
最後の「Out-of-band releases」は、緊急性の高いアップデート。直前のアップデートに問題があった、あるいはセキュリティ上、早期に更新する必要がある場合などに使われる。
Microsoftストア経由のアップデートは、対応するアプリケーションやモジュールがストア経由でされるもので、Windows Updateとは独立したタイミングとなる。機能によってはWindowsの一部として配布されていたが、これでは配布のタイミングが限られてしまう。また、年次、月次のアップデートが肥大化する原因にもなる。
付属アプリやモジュール、フォントなどは、ストア経由での配布にすることで、Windowsのアップデートとは別タイミングでも可能になった。こうしたものにWindowsの標準アプリ(電卓、ターミナル)やWSL(Windows Subsystem for Linux)、Windowsサンドボックス(24H2からストア経由になる予定)などがある。
Safeguardという特定条件のマシンへの アップデートを一時停止する仕組みがある
Windowsの年次インストールに関しても、早めにアップデートしたい場合には、「設定」→「Windows Update」にある「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」をオンにする。ただし、年次のアップデートではSafeguard(記事冒頭画面)という仕組みがあり、特定条件を持つマシンへのWindowsのアップデート配布を一時停止することがある。
Safeguardは、2019年のWindows 10 Ver.1903で導入され、本連載でも2020年に記事にした(「Windows 10で秋の大型アップデートが始まったのに、春のアップデートも落ちてこないマシンがあるのはなぜ?」)。
簡単に説明すると、同じエラーが予想される同等の条件を持つマシンへのアップデート配布を止める仕組みである。この停止を「Safeguard Holds」という。
ただし、このSafeguardは、単に条件を満たしたマシンへのWindows Updateによる配布を止めるだけで、メディア作成ツールなどによる手動のアップデートを制限したりはない。また、多分に予防的なものであり、Safeguard Holdsが適用されているからといって、必ずエラーになるとは限らない。しかし、エラーになる可能性は高く、通常使用するマシンで、あえてリスクを冒すほどのメリットがあるようにも思えない。
もっとも、このSafeguard Holdsは、マイクロソフトが公開可能と判断されたのもだけが公開されており、未公開のSafeguard Holdsも存在する。Safeguard Holds自体は、検出とは別にマイクロソフトが自由に設定できるようだ。たとえば、ファームウェアの開発が遅れるなどで、Windowsのアップデートを特定機種で待たせたいといった用途などにも使われているのではないかと想像される。
現時点で、公開されているSafeguard Holdsは6つあり、以下のページで公開されている(Windows 11、バージョン 24H2 の既知の問題と通知 https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/status-windows-11-24H2)
このうち、特定のソフトウェアとの組み合わせが4つ、残り2つは特定のハードウェアに関係するものだ。ソフトウェアに関するものは、どれも名称が公開されているため、該当するかどうかの判断はつく。
ハードウェアに関係するもののうち、1つはインテルのSST(Intel Smart Sound Technology)Audio Controllerと、第11世代Intel Coreプロセッサと特定されている。このハードウェアに特定バージョンのSSTドライバがインストールされている場合に、アップデートでブルースクリーンが発生するという。
しかし、もう1つに関しては、「指紋センサー」としか表記がなく、メーカーもデバイス名も公開されていない。
ただし、Safeguard Holdsが適用されたマシンでは、設定にあるWindows Updateのページに、「近日公開予定(Coming soon)」といったメッセージが表示されることがある。Windows 10の頃だが、筆者の手持ちマシンの一台がSafeguard Holdsに引っかかり、同様のメッセージが表示された。
この場合は、対応するSafeguard Holdsの情報を得られるが、基本的には前記の「既知の問題と通知」のページにある情報と同じはずだ。なお、Windows Update for Businessを利用している組織では、Safeguard Holds IDを使って、もう少し詳細な情報を得られるらしい。
筆者のところには、24H2正式版のアップデートはまだ来ていないが、プレビュー版のインストールなどから見るに、Windows 11 2024 Updateは、起動イメージの再構築などがなされ、少し時間がかかるようだ。
とはいえ、IntelやAMDのCopilot+ PC対応マシンの出荷はこれから、年内は落ち着かない状態になると思われる。ここは無理してアップデートするよりも、通常の方法でやってくるのを待った方がよさそうだ。
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