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忘れていたワクワク感を思い出す、絶妙モバイルノートPC「VAIO SX14-R」

ASCII.jp / 2024年11月4日 13時0分

VAIO SX14-R

10周年に投じる「VAIO SX14-R」

 VAIOのパソコンは、ソニー時代の1ブランドだった時代から「独自のコンセプト」や「クオリティの高いデザイン」でパソコン業界を牽引してきました。その後、2014年にソニーから独立。今年2024年7月1日にVAIO株式会社は10周年の節目を迎えました。

 そんなVAIOが次の時代のパソコンを開発する上で、最重要視しているのが「”ハタラク”ことへのパッション」だそうです。使い手が高揚感を持って仕事や作業に携われるよう、大画面を軽量に持ち運べるノートパソコンの開発に取り組んでいます。

浮遊感のある独特のデザインは本製品の特徴です。

 「VAIO SX14-R」は、まさにそのコンセプトを体現した新製品です。14.0型で、16:10と縦方向にもゆとりがある画面サイズを確保しながら、最も軽い構成で約948gとついに重量も1kgを切りました。使い勝手や堅牢性を損なわず、軽量なボディーを手に入れたこと。これがVAIO SX14-Rが持つ「最大の特徴」です。

 最大約16時間の動画再生をこなせるスタミナ性能を備え、外出先でのオンライン会議、動画視聴を快適にこなせる機種となっています。薄型/軽量で、かつキーボードの打ち心地とレイアウト/刻印の選択肢も業界随一です。標準で4色、特別仕様機で2色のカラーバリエーションを持つ、カラーバリエーションの豊富さもポイントとなります。

 携帯性が高く、質感や使い勝手の良さにこだわったPCを探している人には特におすすめの機種ですし、実際に気になっている人が多いのではないでしょうか? この記事では以下の項目に沿って、本製品の特徴を紹介していきます。

[目次】この記事で書かれていること:

VAIO SX14-Rの位置付けとおすすめのユーザー層

VAIO SX14-Rのメリットとデメリット

・製品を購入する3つのメリット 1)魅力的なカラーバリエーション、細部まで作り込まれた入念な仕上がり 2)使い勝手のいい14.0型の画面サイズ、本体は1kgを切るほど軽量 3)大容量バッテリーも搭載可能

・購入時に注意したい2つの側面 4)性能は最新・最高とは言えない、AI PCだがその性能は限定的 5)やっぱり価格には割高感がある

まとめ

詳細スペック情報

VAIO SX14-Rの位置付け、お勧めのユーザー像は?

 パソコンが好きな人であれば、一目見てすぐにVAIO SX14-Rの価値を感じ取れるでしょう。薄型/軽量でワクワク感も兼ね備えたデザインは、VAIO SX14-Rの重要なポイントです。

 ビジネスシーンでの高揚感を目指した基本色は一般的な「ファインブラック」「ブライトシルバー」に加えて、現代のVAIOを象徴するカラーである「アーバンブロンズ」が選べます。ここまでは従来のVAIOと同じですが、これまでのパソコンでは見たことがない新色「ディープエメラルド」を加えた4色のカラーバリエーションを展開している点には注目です。

 さらに上級クラスの製品では、各部が全て黒に染まった「VAIO SX14-R|ALL BLACK EDITION」や数量限定の「VAIO SX14-R|勝色特別仕様」モデルも用意されています。

 この2種類のデザインは、後述するように「Core Ultra 7 155H」を搭載した、性能が高く上位のスペック構成でのみ選択可能となります。当然価格も高価になりますが、ひととは違う製品を持つプレミアム感や所有感を重視する人は適したモデルと言えるでしょう。

勝色特別仕様モデルやALL BLACK EDITIONではキートップの文字を目立たなくする「隠し刻印」というオプションが選べます。特にALL BLACK EDITIONでは全体の黒さが引き立ち印象的です。

 なお、VAIO SX14-Rのすべてのモデルは、直販のVAIOストアで購入する際にスペックのカスタマイズが可能であり、通常モデルでも同等の構成を選ぶ(同じ性能にする)ことは可能です。

 VAIO SX14-Rのシリーズは、VAIOのラインアップの中では最上位となるため、直販価格は最もコストの低い構成でも25万9800円からと高めの設定です。選択するユーザーは性能が高く、扱えるデータ容量も多いパソコンを買いたいと想像します。結果として、30万円を超す構成を選択する人が増えてくるでしょう。

 ここで問題になるのは、フラッグシップ機でありながら、性能を決定する最も重要な部品である、CPUの世代が少し古い点です。2024年の最新版ではなく、2023年に発表された一つ前のものであると考えると、物足りなさや割高に感じる人がいるかもしれません。

 VAIO SX14-Rの開発にあたってVAIOは、いたずらに最新/最高性能を求めるのではなく、本体の質感、操作感を含めた「トータルの使いやすさ」「総合的なバランスの良さ」を重視したということでしょう。フラッグシップ機であれば、通常は最新/最高性能のCPUを選ぶところですが、敢えてそうしていない点にも、VAIO SX14-Rの開発姿勢が表れているように感じます。

 「R」はRevolution(革命)を示すそうですが、VAIOのフラッグシップは伝統的にZでした。Zはスペック面でも最高を追求してきましたが、VAIO SX14-Rはそうではありません。こういった点でも、ZではなくRを選んだのは納得できます。

 つまり、VAIO SX14-Rは、単純な性能ではなく「体験」でパソコンを選びたい。カラーを含めた「自己表現」の一つとしてパソコンを所有したいという人にとってオンリーワン的な意味を持つ製品と言えるでしょう。

VAIO SX14-Rのメリットとデメリット

 以下、他のパソコンにはないVAIO SX14-Rならではの特徴(メリット)と、購入する際に注意したいポイント(デメリット)について解説します。

特徴1:魅力的なカラーバリエーション、細部まで作り込まれた入念な仕上がり

 VAIO SX14-Rを語る上でデザインは欠かすことのできないポイントです。すでに述べたように、本体カラーはVAIO SX14-Rはパソコンではあまり見ない鮮烈なグリーン(ディープエメラルド)を含む、6色ものバリエーションを用意しています。

緑との筐体との対比が美しいヒンジ部のオーナメント
よく見ると天板のエッジが緩やかな曲線を描いていることがわかります。こうした細部のこだわりが全体の質感を底上げしています。

 また、単に色が豊富なだけでなく、仕上げへのこだわりも入念です。実は、VAIO SX14-Rはクオリティーを上げるために、これまでよりも多い、4段階の試作工程を経て開発されています。ヒンジ付近に設けられたキラキラと輝く部材(オーナメント)も色に合わせてシルバー調とカッパー調の2種類を使い分けています。仕上げの曲線もきれいです。より長い時間をかけて検討した筐体は曲線や部品の合わせなど、細かな部分の完成度が高く、大きな魅力になっています。

 ここまで質感にこだわったパソコンはあまりないですし、180度フラットに開くヒンジ部、片手で簡単に持ち上げ、ディスプレーを開ける軽快性などちょっとした使い勝手にもこだわっています。細部まで手を抜かない仕上げはこれまでのVAIO同様、高水準な仕上がりと言えるでしょう。

特徴2:使い勝手のいい14.0型の画面サイズ、本体は1kgを切るほど軽量

 実使用の観点では、モバイルノートとしては大きい14.0型の画面サイズでありながら、重量は最も軽い構成で約948gと非常に軽く抑えているのがポイントです。

 いまパソコンを選ぶ際、携帯性を重視する人は14インチ、13.3インチ、10.4インチなどの選択肢がありますが、14.0インチはモバイルパソコンとして大きく、さらに縦方向が広い16:10のパネルを採用しているため、文書の編集作業が快適です。

端子類は充実しています。右側には2種類のUSB端子に加えて、HDMI出力、LAN端子、ヘッドホン/マイク入力端子などまで装備しています。企業ユースも意識した仕様のため、薄型ながら端子はかなり充実していると思います。
大小2つのUSB端子(従来からあるUSB Type-Aと、USB Type-C)は本体の左側にも装備しています。両サイドに分けるとその分だけ、コストも上がるわけですが、特にUSB Type-Cは充電やディスプレー出力にも使用するので、パソコンの向きやケーブルの取り回しに頭を悩ませずに済んでいいです。

 重量は単純な数値で比べれば、さらに軽い機種も存在しますが、キーボードなどの使い勝手、そして本体の堅牢性を損なわず、この重量に収めているのが重要なポイントです。そのために、天面と底面には新開発の「熱可塑性カーボンプレート」という素材を採用しています。

 堅牢性については、VAIOが全機種共通で実施している品質試験は当然実施しているほか、アメリカ国防省が制定したMIL規格準拠のテスト、そしてモバイルノート向けに特別に設定した特別品質試験も実施しています。品質チェック項目は120以上に及ぶそうです。

 なお、液晶パネルはタッチパネルにも変更可能です。光沢あり/光沢なしも選べ、ペン操作も可能です。こうしたカスタマイズできる幅の広さ、選択肢の豊富さもVAIOならではの特徴と言えるでしょう。

特徴3:大容量バッテリーも搭載可能

 モバイルノートパソコンの悩みの種はバッテリー切れ。

 バッテリー駆動時間が長い点もVAIO SX14-Rの特徴です。標準状態でも動画再生時で10〜11時間、アイドル時で26〜27時間(いずれもJEITA 3.0測定基準)と、現行機種を上回る性能ですが、さらに大容量バッテリーの搭載が可能となっています。

 大容量バッテリーを搭載した際には動画再生時で最大約16時間、アイドル時で最大約38時間と約60パーセントの改善が得られます。また、拡張バッテリーは組み立て時に本体に内蔵するタイプのため、搭載してもスリムな本体のサイズは変わりません。

 バッテリー駆動時間はバッテリーを多く積めば伸ばせますが、VAIOは重量を抑えたまま長時間の駆動ができる点もポイントです。大容量バッテリーを搭載した場合でも重量は1kgを少し超える程度です。

実はACアダプターも改良されています。小型であることに加えて、コンセントに差す部分を折りたためるようになっているため、コンパクトかつ他のものを傷つける心配なく携帯できます。

 また、VAIOはスペック上の値だけでなく、実駆動時間にこだわっています。画面を見ていない際にはバックライトの輝度を落とす、計算する内容に合わせてバッテリーの消費電力が最も効率いい設定を選ぶことができるほか、長期間使ってもバッテリー駆動時間が減らないようバッテリー劣化を抑える「いたわり充電モード」も搭載しています。

 スマートフォンなどと同様に、パソコンも購入時が一番長い時間使え、使えば使うほどバッテリ一の容量が減っていきますが、いたわり充電はこうした問題に配慮した機能です。1台を3年、5年と長く使っていきたい人にも安心です。

購入時に注意したい2つのポイント

性能は最新・最高とは言えない、AI PCだがその性能は限定的

 上に製品の完成度を高めるため、開発工程を通常より多く取ったと書きましたが、これは通常よりも開発期間を長く取った言い換えられます。

 そのこともあり、VAIOが搭載するCPUは最新のCore Ultra シリーズ2ではなく、1年前に登場した第1世代のCore Ultraとなっています。VAIO True PerformanceなどCPUの性能を引き出す独自の機能を装備しており、安定性を重視する企業での導入では敢えて「枯れたCPU」を選ぶケースもありますが、最新、最高の性能を求める人には少しもの足りなさがあるかもしれません。

 また、Core Ultraはシリーズ1でも、AI PC向けのCPUとして設計されており、Windows 11が持つAIパソコン向け機能の一部を利用できます。ただし、Core Ultra シリーズ2やAMDのRyzen AI 300シリーズ、Snapdragon Xなどと比べてAI処理に使うための機能ブロック(NPU)の性能が低いため、マイクロソフトが提唱するCopilot+ PCの条件を満たすことができません。

 そのため、最新AI PCでのみ活用できるWindows 11の新機能(リコール検索、画像生成、翻訳、ビジュアルエフェクト)などは使えません。現状では、AI機能でできることは少なく必須とは言えませんが、OSもソフトも今後対応を強化していくでしょう。

 3年、5年と長く使い続けることを想定し、かつ最新のAI機能を積極的に活用していきたいと考えている人は、購入時に注意すべきポイントです。

やっぱり価格には割高感がある

 VAIO SX14-Rの直販価格は20万円台の後半からです。パソコンの機種選びにこだわりがあり、高スペックを重視する人であれば、上位のCPU、高容量のメモリー、SSDが必要になるため、予算的には30万円程度を考えておいた方がいいと思います。

 インフレや円安の影響もあり、モバイルノートパソコン全体の価格が上がっている中では飛び抜けて高価という印象はありませんが、活用シーンがビジネス主体となり、価格と性能のバランスを重視したい人が買うPCとしては、やはり割高感があります。特に世界規模で販売されている外資系メーカーの機種と単純に仕様を比較した場合、コストパフォーマンスが高い機種とは言えません。

 しかし、国産PCならではの安心感のあるサポート、VAIOならではの使用感、デザインを含めた品質や満足感の高さなどに納得できる人にとっては購入する価値が十分にある製品です。VAIO SX14-Rを購入する人は、パソコンに何を求めるかを自問自答して、購入するかどうかを決めるといいでしょう。

 モバイルを中心に快適な操作感、軽さと作業効率、長時間のバッテリー駆動などを重視する人には良い製品ですし、デザインを含めたフィーリングが自分に合うのであれば、他にはない選択肢になるでしょう。

まとめ:VAIOは「パソコンの価値とは何か?」と問いかけている

 最後に実機を使用した感想を少し書きます。

 グリーンのカラーは今までのパソコンにはあまりないものです。派手で浮いてしまうのではないかと心配していましたが、実機を見るとそういった印象はなく、適度に変化があって好印象でした。パソコンといえば、ブラックやシルバーの筐体が定番ですが、VAIOはビジネスのシーンにもブラウンの新味があるカラーを投入して一定の支持を得ています。

背面から見た姿は浮遊感があって美しいです。

 VAIO SX14-Rのグリーンは、紺色やダークグレーのスーツにも合わせやすいので、ビジネスシーンでもそれほど違和感がないように思いますし、適度な抜け感があって、逆に好印象と感じる人もいるのではないでしょうか。

 むしろ、「他にはないPCを使っている」という感覚が得られる点は、仕事を中心にライフスタイル全体でPCを活用し、デザインにはアクセントとなる差し色が欲しいという人に良さそうです。グリーンはカジュアルなシーンでは最近流行の色でもあります。

ヒンジ部分を真横から見ると、S字(あるいはZ字)を描いているのがわかります。SやZはVAIOにとって特別な型番なので、ちょっと感慨深いですね。

 なお、個人としてPCを使う際にはあまり出番がないかもしれませんが、VAIOはウェブ会議機能も積極的に改善しています。カメラ性能、マイク性能も強化さたポイントです。実はスピーカーの容積にもゆとりがあり、低音の再生がしっかりしていました。ここ数年のVAIOの中では「最高の音質」という点も隠れたポイントです。

 高価格でありながら最新の性能でないという点は、デメリットに感じますが、評価に時間をかけ、安定して使えるという点は逆にメリットと言えます。キーボードのうち心地、携帯性、ちょっと持ち上げた時の手の収まりなど、使用感は従来機種から培ったノウハウがふんだんに盛り込まれ、よく考えられて作った製品に感じます。

 実機を目にする機会がある人はぜひ、細部の仕上げや手に持った際のなじみの良さ、キーボードの角度、手触りなど、随所のこだわりと感じ取ってもらいたいと思います。使用体験については本当に優れた機種と言えるでしょう。

 これまでのパソコン選びでは性能やスペックの優劣が最も重要なポイントでしたが、VAIOはこれとは異なる価値(意味)を、パソコンに与えようとしているように思います。本機とはコンセプトが異なりますが、新しいスタンダードを標榜したVAIO Fシリーズなどもその一つです。

 「VAIO SX14-R」はこうしたPCの新しいあり方を考え、真摯に挑戦するVAIOの姿勢に共感できる人におすすめです。その人にとっては、オンリーワンのパソコンになりうるでしょう。

【競合機種】2023年版の「VAIO SX14」

VAIOの顔となるVAIO SX14。第13世代Core搭載で高性能化。使いやすさはそのままに「Teams」や「Zoom」といったウェブ会議時にバッテリーを節約する機能や美肌カメラなどを搭載。

VAIO SX14-R(通常カラー)のスペック

OS:  Windows 11 HomeまたはWindows 11 Pro

ディスプレー:  画面サイズ:14.0型  画面解像度:1920x1200ドット  液晶パネル:IPS方式(sRGB比非公開)

本体サイズ・重量  約312(W)×226.4(D)×13.9〜18.9(H)mm  重量は約958gから

基本性能:  CPU:Core Ultra 7 155H(-コア、-GHz)  メモリー:16GB(オンボード)  SSD: 512GB(PCIe 4.0)  GPU: 内蔵グラフィックス(-GB)  NPU: あり(10TOPS) 公称バッテリー駆動時間  約11時間(JEITA 3.0測定基準)

カメラ・オーディオ性能  9.2MPカメラ 入出力端子  USB:Thunderbolt 4(4基)、USB 3.1 Type-C、USB Type-Aほか  映像出力:HDMI 2.1  スロット:microSDカードスロット(SDXC対応、USMII)  通信(有線):10Gbit Ethernetとか  通信(無線):Wi-Fi 6E その他:アナログ音声入出力(マイク入力兼用)

その他  -

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