総務省がソフトバンクを刺しに来た? もう割引規制なんて撤廃すべきだ
ASCII.jp / 2024年10月17日 17時0分
総務省は10月11日、「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正案に対する意見募集を開始した。
今回、注目されているのが、端末購入プログラムに対してメスを入れてきたという点だ。SNSでは「ソフトバンクを刺しにきたのではないか」と指摘されている。
総務省、強気な「端末購入プログラム」にお冠
電気通信事業法第27条の3では、通信と端末の完全分離を掲げており、通信料金の引き下げを狙って端末価格への割引に対して制限をかけている。通信と端末のセット販売、単体購入でも4万4000円(税込み)が上限とされているのだ。
各キャリアではユーザーに高価なスマートフォンを手軽に購入してもらおうと「端末購入プログラム」を展開している。端末を分割払いで購入できるのに加えて、1年もしくは2年後に端末を返却すると、残りの支払額を免除するため、ユーザー負担額が下がる仕組みが導入されている。
ただ、この端末を下取りし、残債を免除する際、世間の買取価格と同等であれば問題ないのだが、キャリアが想定される買取価格よりも高額で返却を求めた場合、その差額分を「割引」と総務省ではとらえている。つまり、この高額買い取り分が4万4000円を超えるような設定に対して、総務省はキャリアに対して文句をつけるというわけだ。
端末販売時に1年後もしくは2年後の買取価格なんて未来のことだけに誰もわからない。そのため、買取価格の基準は各社の判断に委ねられている。
これまでソフトバンクは市場の価格よりもかなり強気に高額な買い取りを設定。これにより「新トクするサポート」において、実質24円や36円といった、現実離れした端末代金を設定したのだった。
これに対して総務省はお冠で(というか、総務省に対して他キャリアから「ソフトバンクはけしからん」と告げ口が入ったのかもしれない)、今回のガイドライン改定案で事業者が端末の買い取りを行う場合「端末の販売価格×残価率×その他考慮事項」という算出式が設定され、合理的な「買取等予想価格」を算出することと追加があったのだ。
この算出式が出てきたことで「ソフトバンクによる無茶な販売方法が塞がれた」とSNSで話題になっているのだ。
総務省による端末割引規制は撤廃すべきだ
個人的には、もう総務省による端末割引に対する規制は早急に撤廃すべきだと感じている。
総務省としては過去に端末に対して高額な割引を適用する一方で、通信料金プランが高止まりしている点を問題視して、割引規制を導入したという経緯がある。しかし、当時は2万2000円(いまでは4万4000円)という、総務省が一方的に決めた根拠に乏しい上限価格が設定されているだけでなく、ルールが複雑であり、現場が混乱しているだけでなく、ユーザーにもかなりわかりにくい販売方法が展開されてしまっている。
さらに各キャリアがルールの「穴」を見つけ、画期的な販売方法を持ち出すと、総務省は新しいルールを作り出して、その穴を塞ごうとしていく。結果、ルールはさらに複雑怪奇となり販売現場は混乱。ユーザーからも敬遠され、端末の販売数はさらに落ち込むことになるのだ。
この数年、スマホ市場で売れるのは安価な端末ばかりで、各社が技術力や企画力を争うハイエンドモデルは厳しい状況が続いている。この1年、端末市場は「オンデバイスAI」に注目が集まり、スマートフォンの操作性や使い方が大きく変わると期待されている。
本来であれば、AIの利便性をすべての国民が享受し、生活をより豊かにしていくためにオンデバイスAIのスマートフォンが早急に普及していく必要がある。しかし、肝心のAIスマートフォンが高価で手に届かないようであれば、いつまで経っても普及することはないだろう。
総務省の失策で「ミリ波」も企画倒れに終わりそうだ
総務省では、ミリ波を普及させようと、ミリ波対応端末に対して割引額を緩和することも検討している。しかし、過去の失策により、スマートフォンメーカーは経営的に疲弊しており、もはやミリ波に対応したスマートフォンを企画、販売する体力も残っていない。
総務省が電波を割り当てたミリ波が企画倒れに終わってしまいそうだが、その根本的な理由は総務省による失策によるところが大きい。
総務省としては「通信料金の引き下げ」を狙って始めた端末への割引規制であるが、すでにNTTドコモ「ahamo」を筆頭に、安価な料金プランが各社から出そろっており、本来の目的は達成されたはずだ。総務省は早急に、こんな面倒くさい、複雑怪奇な割引規制はとっとと完全撤廃すべきではないだろうか。
筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。
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