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Intel・AMDのCEOがそろって「x86は終わっていない!」 レノボ年次イベントでスピーチ

ASCII.jp / 2024年10月18日 7時0分

 IntelとAMDと言えば、PC/サーバー向けプロセッサー市場の両雄として知られるライバル企業だ。30年以上の競合関係にあるこの2社が、2024年10月15日、「x86エコシステム・アドバイザリー・グループ」を立ち上げた。x86エコシステムを盛り上げるための業界団体であり、主要なPC/サーバーメーカーや、ソフトウェアメーカーも参加している。

 両社のCEOはこの日、Lenovoがシアトルで開催中の年次イベント「Lenovo Tech World 2024」のステージに立ち、それぞれの言葉でx86エコシステムの未来にかける想いを明かした。

「Lenovo Tech World」の基調講演にIntel、AMDの両CEOが登壇し、この日発表した「x86エコシステム・アドバイザリー・グループ」について説明した

インテル・ゲルシンガーCEO「“x86は死んだ”といううわさは誇張だ」

 Intel CEOのパット・ゲルシンガー氏、AMD 会長兼CEOのリサ・スー氏が登場したのは、Lenovoの会長兼CEO、ヤンチン・ヤン氏による基調講演だった。よく知られるとおり、LenovoはPC製品、サーバー製品で、両社製のプロセッサーを採用している。

 まず登場したIntelのゲルシンガー氏は、Lenovoのヤン氏と写った20年以上前の写真(当時、ゲルシンガー氏はIntel幹部だった)を披露しながら、PCという新たな市場を共に開拓してきた仲間であることを強調する。

若き日のLenovo・ヤン氏、Intel・ゲルシンガー氏

 「その(市場開拓の)中心にあったのが『x86アーキテクチャ』だ。これが、数十年に及ぶわれわれの協業関係の土台になっている」。ゲルシンガー氏はこう述べたうえで、x86の将来を危ぶむ一部の声に対して、次のようにコメントした。

 「『x86は終わった』と言う人もいるが、わたし(=x86)が死んだ(終わった)といううわさは、かなり誇張されたものだ(笑)。われわれは健在だし、x86(のエコシステム)は今でも繁栄している。さらに言えば、素晴らしいイノベーションの未来も広がっている」(ゲルシンガー氏)

ゲルシンガー氏はx86アーキテクチャの持つアドバンテージを強調した

 発表によると、x86エコシステム・アドバイザリー・グループは、プラットフォーム間の互換性向上、ソフトウェア開発の簡素化、さらに将来のソリューション創出に必要な開発プラットフォームの提供などに取り組み、x86エコシステムの拡大に寄与していく。これにより、クライアントPC、データセンター、クラウド、エッジ、組み込みデバイスなど、あらゆる領域におけるx86の採用を促す狙いだ。

 発表の中でゲルシンガー氏は、将来の顧客ニーズに応えられるレベルのカスタマイズ性、互換性、拡張性を追求していくうえで、x86アーキテクチャとエコシステムは「過去数十年で最も重要な転換期を迎えている」とコメントしている。

 同氏が語る「重要な転換期」のきっかけとなったのは、爆発的な「AI」需要の増大だ。

 たとえば、PCデバイス上で高度なAI処理を行う“AI PC”は、PC業界にとってこれから大きなチャンスになると見られている。IDCの予測によると、2030年までには、出荷されるすべてのPCがAI PCカテゴリのものになるという。Intelでもすでに2000万台のAI PCを出荷しており「この分野をリードしている」と強調する。

 しかしAI PC分野では、技術的にはArmアーキテクチャのプロセッサーが先行するかたちとなっている。Microsoftが今年5月に発表した「Copilot+ PC」の要件(内蔵NPUの性能)を最初に満たしたのは、IntelやAMDのx86プロセッサーではなく、QualcommのArmプロセッサー「Snapdragon X」だった。

 そのため、今回のx86エコシステム強化の動きは、Armエコシステムとの競争に備えるためのものという見方もある。

 ゲルシンガー氏は「IntelとAMDの提携はこれが初めてのことだ」と認めたうえで、次のように語った。

 「IntelとAMDの合意など誰が想像できただろう。だが、リサ(AMD CEOのリサ・スー氏)もわたしも、これが完璧なタイミングだと思っている」「柔軟でオープン、コスト効率に優れたx86の未来を、AMDと共に推進していく」(ゲルシンガー氏)

スピーチの後、ゲルシンガー氏は来年出荷予定の次世代“Panther Lake”プロセッサーの最初の1個をヤン氏に手渡した

AMD・スーCEO「x86はアーキテクチャのリーダー。イノベーションを加速させる」

 ゲルシンガー氏が降壇してから15分も経たないうちに、今度はAMD CEOのリサ・スー氏が登場した。

 スー氏は「“エンドトゥエンドのAI”という点において、Lenovoとは共通の信念を持っている」と語る。AMDも、クライアントPC、サーバー、クラウド、エッジのあらゆる領域でAIを推進していく役割を負っていると強調する。

 ゲルシンガー氏とは異なり、スー氏はAMDの最新動向の紹介に多くの時間を割いた。

 まずクラウド/サーバー分野では、前週にローンチしたばかりの「第5世代AMD EPYC」プロセッサー、AIアクセラレーター「Instinct MI300」、さらにAI向けソフトウェアスタック「AMD ROCm」などをアピールした。

 またAI PCについても、Lenovoの「ThinkPad」「Legion」「Yoga」「ThinkStation」と、幅広いPCシリーズラインで支援していく。

最新のクラウド/サーバー向け「第5世代AMD EPYC」プロセッサー
PC/ワークステーション分野でもAI PCを支援していく

 今回設立したx86エコシステム・アドバイザリー・グループについて、スー氏は「われわれががやろうとしていることは、コンピュートを加速させると同時に、(より広い領域での)コンピューターの受け入れを加速させること」だと述べた。

 「過去40年間、x86はコンピュート・アーキテクチャのリーダーだった。今回、AMDとIntelが(x86エコシステム・アドバイザリー・グループの)設立メンバーと協業することで、イノベーションをさらに加速させていく」(スー氏)

 なお、x86エコシステム・アドバイザリー・グループ設立メンバーには、Lenovo、Broadcom、Dell、Google、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、HP Inc.、Meta、Microsoft、Oracle、Red Hatが名を連ねている。また“Linuxの生みの親”であるリーナス・トーバルズ氏、“Unreal Engineの生みの親”であるEpic Games CEOのティム・スウィーニー氏も賛同を寄せている。

x86エコシステム・アドバイザリー・グループの設立メンバー(画像はIntelプレスリリースより)

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