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Windows 11 24H2では「デバイスの暗号化」の条件が変わり、より多くのPCでドライブが暗号化される

ASCII.jp / 2024年10月20日 10時0分

BitLocker
Windows 11は一定の条件を満たすハードウェアでは、「デバイスの暗号化」を設定→プライバシーのセキュリティに表示する(写真左上のウィンドウ)。さらにPro以上のエディションでは、コントロールパネルにBitLockerドライブ暗号化アイコン(写真左下のウィンドウ)がある。「設定」→「プライバシーのセキュリティ」→「デバイスの暗号化」→「BitLockerドライブ暗号化」で、開くことができる(写真右のウィンドウ)

 Windows 11には、BitLockerと呼ばれる「ドライブ暗号化」機能がある。BitLockerの有効化(暗号化)や暗号化したドライブの読み書きは、すべてのエディションで可能。BitLockerの管理機能は、Homeエディションにはなく、Pro以上のエディションでのみ利用できる。

 また、Windows 11では、「BitLockerドライブ暗号化」と「デバイスの暗号化」の2つの「暗号化技術」が表示されることがある。今回はこのあたりを解説したい。

Windows 11における暗号化機能とは

 Windows 11には、BitLocker暗号化技術を使って、ディスクドライブを暗号化する機能がある。これにより、もしディスクドライブがPCから抜き出されてしまっても、暗号化により内容を読み出すことが困難(事実上不可能)になる。

 ただし、BitLockerが保護するのはあくまでドライブ(ボリューム)であり、Windows上で動作するアプリケーションからは、暗号化されているようには見えず、常にアクセスが可能で、BitLockerによる保護はなされない。

 たとえば、デスクトップを表示させたまま離席したような場合には、ファイルへのアクセスは自由であって、簡単にコピーできる。こうした場合の保護には、BitLockerによるドライブ暗号化ではなく、ファイル暗号化機能を使う必要がある。

 BitLockerで暗号化されたドライブにアクセスするには「BitLocker 回復キー」が必要になる。ただし通常は、Windows 11のシステム要件で必要とされているTPMデバイスを使い、ログイン時に自動で回復キーを使ってドライブをアクセス可能にしている。

 こうした技術があるため、BitLockerが適用されていても、ユーザーは、これを意識することなく利用できる。逆に言えば、多くのユーザーは、BitLockerでドライブが保護されているかどうかを知らずにWindowsを利用している。このため、Windowsの誤動作などにより「BitLocker回復キー」を要求されると、何をしていいのかわからない、という事態が発生する。

 特に注意が必要なのは、Windowsをローカルユーザーとして利用している場合だ。「BitLockerの回復キー」は、MicrosoftアカウントやAzure AD(Active Directory)のユーザーの場合、クラウド側に自動で保存され、自分の回復キーに簡単にアクセスできる。

 しかし、ローカルユーザーだと、ユーザー自身がUSBメモリにバックアップする、印刷するなどしておかないと、BitLocker回復キーを入手する方法がない。BitLockerは強力な暗号化なので、回復キーなしに解読することは不可能。インターネットから入手できるツールではありえない(もしできるという人間がいるとしたらそれは詐欺だ)。

BitLockerに関連する機能

 BitLockerを使う技術としては、大きく3つがある。Windows 11をプレインストールしたメーカー製マシンの場合、最初の起動時のOOBE(Out Of Box Experience)のタイミングで、条件を満たせば「デバイスの暗号化」が自動的に有効になる。

BitLocker

 この条件については、あとで解説するが、Windows 11 24H2で有効化の条件が緩和され、より広い範囲のPCでデバイスの暗号化がされる。

 もう1つは「BitLocker ドライブ暗号化」である。これは、BitLockerの機能というよりも、BitLockerの管理機能である。この管理機能があるために、Windows 11 Proエディション以上では、手動でドライブを暗号化できる。一方でWindows 11 Homeでは条件を満たさず、デバイスの暗号化が有効にならないマシンは、BitLockerを管理できず、手動での有効化は不可能だ。

 Pro以上のエディションでは、コントロールパネルの「BitLockerドライブ暗号化」が利用できるため、「デバイスの暗号化」により有効になったBitLocker機能を制御できる。

 Homeでは、コントロールパネルに「BitLockerドライブ暗号化」がなく、設定アプリの「プライバシーとセキュリティ」→「デバイスの暗号化」でオン/オフが可能なだけだ。ここに「BitLockerドライブ暗号化」へのリンクがあるが、開くとMicrosoftストアのProエディションへのアップグレード(有料)のページが表示される……押すだけ無駄である。

 ただしHomeエディションは、BitLockerの管理機能がないだけで、BitLockerにより暗号化されたドライブの読み書き自体は可能。

 BitLockerの機能の1つである「BitLocker To Go」は、リムーバブルドライブを対象にしたもので、機能的には「BitLocker ドライブ暗号化」と同じだが、設定ページからではなく、エクスプローラーでリムーバブルドライブを選択してコンテキストメニューから起動する。

 これができるのもWindows 11 Pro以上のエディションで、Homeエディションでは、BitLocker To Goを有効化することはできない。

 BitLockerが複雑っぽいのは、Proエディションでのみ「BitLocker」が利用できるように見せるためだ。実際HomeエディションにもBitLocker機能のほとんどが含まれていて、無いのは管理機能(コントロールパネルのBitLockerドライブ暗号化アイコン)だけである。

デバイスの暗号化と適用条件

 「デバイスの暗号化」は、Windowsがインストールされたあと、最初のユーザー登録をして、該当ユーザーがログインしたときに実行されるCドライブの暗号化である。いわゆるOOBEの最中に開始され、利用者がMicrosoftアカウント、Azure Active Directoryのどちらかでユーザー登録をした場合も有効になる。

 Windows 11のGUIでは、「デバイスの暗号化」と表記されるが、Microsoftのドキュメントでは、「BitLocker 自動デバイス暗号化(automatic device encryption)」(Auto-DE)と表記されることがある。つまり、BitLockerの1種なのである。

 「デバイスの暗号化」は、ラップトップやタブレットなど、外部にもちだす可能性のあるハードウェアに対して、最低限のセキュリティを提供するために自動的に有効にされる。この条件がWindows 11 Ver.24H2で変更になる。簡単に言えば、従来は対象にならなかったマシンでも「デバイスの暗号化」が自動で有効になる。

 緩和される条件は、

モダンスタンバイ 未登録のDMAポート

の2つである。前者は、ポータブルPCとデスクトップPCの違いとして利用される条件だ。正式には、モダンスタンバイまたは、ハードウェア セキュリティ テスト インターフェイス (HSTI)に対応しているかどうかが。

 未登録のDMAポートとは、DMAデバイスがレジストリに登録されているかどうかである。レジストリは、

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\DmaSecurity\AllowedBuses

で、通常は製造メーカーがプレインストール時の設定として登録する。このため、自作マシンなどは未登録のDMAポートのままになっている可能性があった。

 24H2での「デバイスの暗号化」有効化条件の緩和は、これまで範囲外だったデスクトップマシンなどにまで、BitLockerによるドライブ暗号化を拡大するものだ。マシンが盗難やハッキングされた、といった場合にドライブを直接読み取られて、パスワードキャッシュなどの重大な情報が漏洩する可能性が低くなる。

 少なくともログインできない状態なら、ファイルシステムを消去するしか方法がなく、比較的安全が保たれる。

 BitLockerは、ドライブの暗号化で、不正なハードウェアアクセスなどの対策とはなるものの、地味な技術で、普段、恩恵に与ることもなれば、意識することも少ない。

 ただ、トラブル時にWindows REを使う、ハードウェアの大規模な変更などで「BitLocker回復キー」を要求されることがあることは意識しておいた方がいいだろう。今年7月には、Windows Updateのあと、回復キーの入力を求められることがあった。少なくとも、BitLocker適用の有無と適用されていたら回復キーの入手方法ぐらいは確認しておくべきだ。

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