7万円台で買える新iPad miniを第6世代ユーザーがレビュー! Apple Intelligenceも使えるのが大きい
ASCII.jp / 2024年10月22日 22時0分
アップルが第7世代の「iPad mini」を発表。A17 Proチップを搭載する新iPad miniを10月23日の発売を前に試しました。前モデルとなる第6世代iPad miniを愛用する筆者が、最新モデルの進化と購入を検討する際に注目すべきポイントを解説します。
■新しいiPad miniは何が変わった? ■名称が「iPad mini(A17 Pro)」に
新しいiPad miniは歴代モデルと区別する際の名称が“第7世代”ではなく、「iPad mini(A17 Pro)」になりました。今年の5月に発売した「iPad Pro(M4)」「iPad Air(M2)」のように搭載するチップセットで呼び分ける方式に統一しています。
どうせならM2かM1を載せてくればよかったのにとも思いますが、iPad miniの設計に適しているのがA17 Proだったということなのでしょう。
アップルが2021年秋に発売した第6世代のiPad miniから、iPad mini(A17 Pro)が変わったところ/変わらなかったところを振り返ります。名前が長いので、以下本文ではA17 Proモデルを「新しいiPad mini」と呼びます。
■新iPad miniで変わらなかったところは3点 ■デザインやカメラの仕様、Touch IDは変わらず
まず、「変わらなかったところ」は大きく3点。「大きさとデザイン」「リア側のメインカメラの仕様」、そしてトップボタンに埋め込んだ「Touch IDによる指紋認証」です。
メインカメラは12MP広角カメラのシングル。iPhone SEと同じく、気軽に写真やビデオが撮れます。M2搭載の最新iPad AirにはないTrue ToneフラッシュがiPad miniには“ある”ことも特徴です。
■変わった点はApple Pencil ProやApple Intelligenceの対応 ■eSIMオンリーに、そしてストレージが2倍に
一方で「変わったところ」には、大小合わせて5点を挙げたいと思います。
1点目は今年5月にアップルが発売したApple Pencil Proに対応したこと。廉価モデルのApple Pencil(USB-C)も使えます。
続いては、高いパフォーマンスを備えるA17 Proを中核として、Apple Intelligenceに対応している点。Apple Intelligenceは初期機能が10月のiPadOS 18.1のソフトウェアアップデート以降で、米国英語で提供を開始します。
Wi-Fiによる無線接続は、「Wi-Fi 6E」をサポートしました。また、モバイル通信は5G対応ですが、eSIMオンリーになりました。nanoSIMカードは使えません。
そしてストレージの仕様が変わります。第6世代は最低容量が64GBでしたが、新しいiPad miniは2倍の128GBから。大きい方も256GBから512GBに拡大しています。
小容量モデルのスタート価格は7万4800円(すべて税込)です。新製品が発表される直前の第6世代が8万4800円なので6000円安くなったと捉えることはできますが、実際には今年5月にiPad ProとiPad Airを発表した時に値上げが実施されているので「元の価格に戻った」とも言えます。とはいえ、最小ストレージ容量は2倍になっているのでお得感はあります。
■iPad miniをパワフルにするApple Pencil Pro対応
発売前に新しいiPad miniの実機を入手しました。色はパープルでストレージが512GBのWi-Fi+セルラーモデルです。薄さと軽さ、デザインは変わっていませんが、第6世代のパープルに比べると新しいiPad miniのパープルは少し明るい色あいです。
Apple Pencil ProはiPad mini側面の磁気コネクタに取り付けてペアリングとチャージができます。iPad miniの縦横サイズはB6判ノートとほぼ一緒。装着したApple Pencil Proと尺も変わらないので、あらためてコンパクトさが実感されます。
Apple Pencil Proは第2世代のApple Pencilと重さや書き味は変わりませんが、新しく搭載した触覚フィードバックが便利です。ダブルタップやスクイーズのジェスチャー操作が認識されたことが、指先に小さな振動として返ってくるので、ペン書きの作業が滞ることなくスムーズになります。
筆者の周囲には「Apple Pencilは使わない」と断言するiPad miniユーザーが何人かいます。そんな人にはアドビのLightroomアプリによる写真の色味調整など、Apple Pencil Proを使って色んなアプリがより直感的に操作できる快適さを、ぜひ多くのiPad miniユーザーに味わってほしいです。
Apple Pencil Proのスクイーズ操作によるメニュー表示など、ジェスチャー操作に対応するアプリはアップル純正のメモやフリーボードのほかにも増えています。筆者がよく使うGoodNotes 6やAdobe Frescoはいち早く対応しました。これからも増えると思います。
■筆者が期待したのに新iPad miniで実現しなかった3つのことは ■カメラの位置に防水対応、純正キーボードカバー
発表される前に筆者が期待していたのに、新しいiPad miniで「実現しなかったこと」も3つ紹介します。
1つはフロントカメラの位置です。アップルは5月に発売したiPad ProとiPad Airは、iPadを横向きにした時にフロントカメラがセンターの位置になるようにレイアウトを変えました。
第10世代のiPadは一足先にセンター位置に変更されているので、現行モデルではiPad miniだけが取り残されてしまいました。
筆者はM4搭載iPad Proでビデオ通話の映像が不自然にならず、画面の向こうにいる会話の相手に目線を向けやすくなるセンター位置のフロントカメラに慣れてしまったので、今はiPad miniをビデオ通話に使っていません。リモートビデオ通話はiPad miniのポータビリティが活かせる使い方の代表格なので残念です。
もう1つは筆者の唐突な願望かもしれませんが、防水対応の夢がかないませんでした。8.3インチのLiquid Retinaディスプレイと、横向きステレオスピーカーを搭載するiPad miniは“お風呂テレビ”として最高なデバイスです。
筆者はときどき防水カバーに入れて、湯船につかりながらNetflixを観ています。iPhone 16 Pro Maxよりもちょっと大きめなiPad miniを、防水対応のデバイスにすることはさほど困難ではないように思います。それとも単に筆者が思っているほどにはニーズがないのでしょうか。
最後はiPad mini専用のアップル純正カバー兼キーボードがないことです。こちらも単に筆者が思っているほどニーズがないだけかもしれませんが……。とにかく筆者はこれからもアップルにリクエストを投げ続けようと思います。
当面はiPad miniにSmart Folioのようなスタンドにもなるカバーを装着して、ロジクールのBluetoothキーボード「MX Keys Mini」を組み合わせた“原稿書きモード”で頑張ります。
■Apple Intelligenceを7万円台!から活用できるデバイス ■最新のiPhoneと比べれば断然安価
8.3インチのiPad miniはApple Pencil Proによるノートテイキングなど、デジタル文具的な感覚で軽快に使えるところが魅力です。筆者は今年11インチのiPad Proを買いましたが、大きな展示会などイベント会場を歩きながらiPad Proを片手にメモを取っていると、重い……とふと音を上げたくなるときがあります。第6世代のiPad miniを家族に譲渡してしまったので、自分用にまた新しいiPad mini買うべきか真剣に思案中です。
第6世代のiPad miniとサイズ感やデザインは変わらないものの、Apple Intelligence対応であることは新しいiPad miniの大きなメリットになりそうです。現状、Apple Intelligenceは2025年の日本語対応待ちですが、デバイスとSiriの言語を米国英語にスイッチすれば日本国内でも使えるようになります。
筆者は今iPadOS 18.1のパブリックベータ版でApple Intelligenceを試していますが、写真に写りこんだ不要な被写体をApple Pencilでタップしたり囲んだり、選択すれば素速く消せる「クリーンアップ」の機械学習を活かしたクリエイティブな機能。こうした機能は言語の壁を越えて使えるので、即戦力になりそうです。
ほかにも日本語に対応した後にはテキストの要約、Image Playgroundによる画像生成などがiPad+Apple Pencilのコンビネーションによってスマートに活用できそうです。
Apple Intelligenceが使えるiPhoneはA17 Proチップを搭載するiPhone 15 Pro/15 Pro Max、それからiPhone 16シリーズと新しい機種に限られます。すぐにiPhoneの買い換えを考えていない方にとっては、7万円台から買えるiPad miniは最も手軽にApple Intelligenceが活用できる要チェックなアイテムだと思います。
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