たたんでも極薄9.2mm! 世界最薄折りたたみスマホ「HONOR Magic V3」を試す
ASCII.jp / 2024年10月29日 12時0分
HONORの「Magic V3」は世界最薄サイズの折りたたみスマートフォンだ。中国では7月に先行販売され、9月からグローバル市場でも発売になった。閉じたときの大きさは一般的なスマートフォンとほとんど変わらず、実際に触ってみるとその完成度にも驚かされる。
見た目は「普通のスマホ」な本体サイズ
Magic V3の閉じた状態は一般的なスマートフォンと変わらない。SoCはSnapdragon 8 Gen 3を採用している。閉じたときの本体サイズは約156.6×74.0×9.2mm、重さは約226gだ。ディスプレーは6.43型(2376×1060ドット)、アスペクト比は20:9で、フロントカメラは2000万画素。専用スタイラス「Magic Pen」の利用にも対応する。
背面はマットなブラック仕上げ。ほかにヴィーガンレザーのグリーンとブラウンモデルもある。カメラは3つとも高画質なものを搭載、広角が5000万画素、超広角が4000万画素、望遠が5000万画素で光学3.5倍に対応する。
本体を横から見ると数字通りに薄いことがわかる。9.2mmの厚さは一般的なスマートフォンにケースをつけた状態と同等であり、一昔前のスマートフォンならこれより厚いモデルもあった。側面はエッジ部分の角を丸めているため握りやすく、手に持ってみるとスペックよりも薄く感じられる。
また、重さも折りたたみスマートフォンとしては軽量であり、しかも「iPhone 16 Pro Max」の227gよりも軽いのだ。もちろんiPhone 16 Pro Maxはおりたたむことはできない一般的なスマートフォンだ。
ヒンジカバーも薄く、カバー部分だけの厚みは一般的なスマートフォンと同等かそれ以下だろう。ここまで薄いともはや折りたたみスマートフォンを普段持ち歩くことになんら抵抗はなく、逆に「開けないスマートフォン」を買う理由がなくなってしまうほどだ。とはいえMagic V3の価格はまだ高く、ヨーロッパでの価格は1999ユーロ、日本円で約32万円だ。
本体を下部側から見るとUSB Type-C端子がフレームいっぱいに内蔵されており、限界まで薄型化を進めたモデルであることがわかる。SIMカードトレイもギリギリに納められており、eSIMをメインに使ったほうがいいかもしれない。
バッテリーサイズは5150mAhで66Wの有線充電、50Wの無線充電にも対応。IPX8の防水にも対応する。
折れないか心配になるほど薄い4.35mm
本体を開くと約156.6×145.3×4.35mmのサイズとなる。ディスプレーは7.92型(2344 ×2156ドット)のほぼ正方形型だ。OSはAndroid 14ベースのMagicOS 8を搭載する。
Magic Penはアウトディスプレーだけではなくメインディスプレーでもそのまま使える。これはアウトディスプレーではペンが使えないサムスン製品との大きな違いだ。
折りたたみスマートフォンはディスプレーのヒンジ部分の折り目が気になるものだが、Magic V3の折り目は浅く、あまり目立たない。それよりも薄型サイズの折りたたみモデルを使っていることが快適であり、折り目など気にならないというのが実情ではないだろうか。
筆者もMagic V3を使っている最中に、とにかくこの薄さにほれぼれしまい、ほかの機能に気が回らないほどだった。
ヒンジの動きはスムーズで、180度開いたときはしっかりと固定される。そのため片手で保持しても使いやすい。本体を開き裏返した時はアウトディスプレーが消灯表示となるが、カメラ起動時はプレビュー画面として使うことも可能で、撮影される側が自分の表情を見ながら写真を撮ってもらうこともできる。
4.35mmの厚さは小型タブレットとしても世界最小クラスの厚みであり、開いたままカバンの中に入れても場所を取らない。薄いからと言って持ちにくいことも無く、軽量と相まって開いたまま持ち歩くことも快適だ。折りたたみスマートフォンに対しての「厚い」「重い」という固定概念はMagic V3には一切当てはまらない。
折りたたみスマートフォンはヒンジ部分を曲げた状態で使うこともできる。Magic V3は本体厚みが薄く、ヒンジ構造も小さいことからか、止めておける角度は他社の折りたたみスマートフォンより若干浅いと感じられる。とはいえ、メインディスプレーのインカメラをったビデオ会議や、本体を台などの上に置いて三脚不要で写真を撮る用途などには十分使える。
大画面を活かした分割画面表示や 流行のAI機能を搭載
Magic V3のOSはAndroid 14をベースとしたMagicOS 8を搭載している。UIはファーウェイのEMUIに若干似たところもあるが、これは元々同じ企業だったことから、ルーツを同じにしているからかもしれない。
ホーム画面でのアプリフォルダに最大3x3のアイコンを表示して、そのままタッチから起動できるなど使い勝手を高めている。また、自社のタブレットやWindows PCにスマートフォンの画面をそのまま表示させる機能も搭載している。
今年は各社のスマートフォンがAI機能を強化しているが、Magic V3にもリアルタイムの通訳機能やいわゆる消しゴムマジック機能などの生成AI機能も搭載されている。
大きい画面を活かした機能としては「Magic Portal」を搭載している。SNSのタイムラインで流れてきた画像や文字など、画面上で選択できるオブジェクトをドラッグして画面の右端へ持っていくと、関連するアプリのアイコンが表示され、重ねることでそのままそのアプリを使うことができるというもの。
たとえば画像をドラッグすると、SNSやECサイトのアイコンが表示されるため、投稿したいならSNSを、買い物したいならECサイトを選ぶ、といったことができる。
9月5日にベルリンで行なわれたMagic V3のグローバル発表会でも、イチオシ機能として紹介された。比較としてiPhone 15 Pro Maxでは「オブジェクトのスクショ」→「ECサイトアプリを開く」→「画像を選択」など6ステップかかるのに対し、Magic Portalは1ステップで購入が完了する。
8型弱の画面で複数のアプリを表示するのも、アプリウィンドウ上のバーを左右にドラッグで分割画面、下にドラッグでポップアップ表示と操作も容易だ。
本体をL字に曲げたときのアプリの分割表示は、カメラなど一部のアプリに留まっている。分割表示は今後のアップデートで対応アプリが増えることに期待したい。
カメラ性能はハイエンドに匹敵! 2つのレンズが光学手ぶれ補正搭載
カメラは前述したように高画質なトリプル仕上げ。5000万画素の広角はF1.6、OIS搭載。3.5倍望遠は5000万画素、F3.0でこちらもOISを搭載している。4000万画素の超広角カメラはF2.2となっている。折りたたみスマートフォンとしてはかなりの高性能と言えるだろう。
本体を閉じれば一般的なスマートフォンと撮影体験は同等。開けば大きな画面でプレビューできるので、細かい部分を確認しながらの撮影もできる。
以下は作例だ。標準では1200万画素相当撮影となる。5000万画素または4000万画素で撮影する場合は、その他モードから高画質を選んで撮影する。
【まとめ】折りたたみスマホを 「普通のスマホ」にしてしまう新感覚のモデル
Magic V3を使って感じたのは、もはや折りたたみスマートフォンが特殊な製品ではないということだ。
折りたたんだ状態で使っていると、Magic V3が本体を開ける折りたたみスマートフォンであることを忘れるほど薄く、しかも重量も軽い。そしてカメラも高性能だ。本体性能も高いため、高度なゲームもストレスなくプレイできるだろうし、本体を開けば小型タブレットサイズの大画面で、より迫力や臨場感のあるコンテンツも楽しめる。
HONORが日本に参入しておらず、ここまで優れたスマートフォンが日本で販売されないのが非常に残念だ。
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