初めてPCを自作する最善の方法はこれかもしれない【パーツ決め編】
ASCII.jp / 2024年11月7日 11時0分
ある日のこと、アスキー編集部若手のドリブル松永から「パソコンを自作したいんですけど」と相談を受けた。編集部ではたくさんパソコンやPCパーツに触れるため、自分でも作ってみたいと思う若手は少なくない。
そういった際、先輩たちは浮足立ち「どんな構成にするの?」「CPUは? GPUは?」「メモリーはDDR5にするの?」とここぞとばかりに聞き始める。しかし、編集部に入ったばかりの若手だと、そんなこと聞かれても知識ないし……と黙っているうちに、先輩同士で話が盛り上がってしまうなんて場面を結構見てきた。結果的には相談に乗ってくれるわけだが、実際にパーツを購入して組むときも、専門用語が飛び交い、必死について行っている間に組み上がっちゃった……ということも結構目にしてきた。
後輩が自分でパーツを選んで、誰かに力を借りながらも自分自身で組み立てる、組むうえで経験としてしっかり今後に活かされる。その塩梅は、実は相談される側として結構難しいのだ。
そこで目を付けたのが、サードウェーブが全国展開するPC専門店「ドスパラ」が実施している「自作パソコン組立イベント」だ。
自作パソコン組立イベントは、ドスパラ店舗でパソコンの構成を選び、後日ドスパラのスタッフさんに教わりながら、一からパソコンを組み立てられるというイベントだ。初めて自作するという人でも、パーツ構成はドスパラの店舗スタッフさんと相談しながら決められて、組み立てる際も丁寧に教えてくれるというのが最大のポイント。構成により異なるが、1台につき3000円から受けられるリーズナブルさも魅力的だ。この金額は、今回のように親子で参加しても、友達やカップルで参加しても同額とのこと。
基本的には月に2~4回、週末にドスパラ35店舗で実施しているが、平日にも開催する店など、店舗によって日程が異なる。イベントの参加はコチラから応募が可能なほか、実施日や実施店舗などの詳細も確認できるので、気になる人はチェックしてみてほしい。
今回は、初めて自作パソコンを組み立てるドリブル松永に、私とジサトライッペイで同行し、パーツ選びから本番の自作イベントまで、ドリブル松永が1台の自作パソコンを組み立てるまでに密着してみた。なお、ドリブル松永視点の記事も上がっているので、そちらもぜひチェックしてみてほしい。
ドリブル松永の主観記事 【はじめてのPC自作】SAOの新作ゲームをやりたくて給料1ヵ月ぶん突っ込みました
予算とやりたいことに合った丁度いい構成をアドバイスしてくれる
今回伺ったのは、ドスパラ秋葉原本店。同店スタッフの松岡氏に相談に乗ってもらった。ドリブル松永の希望は、「『ソードアート・オンライン』(SAO)の新作が快適に遊べること」「動画編集が快適に行なえること」で、予算は25万円。この予算の中で、ディスプレーとキーボード・マウスも買いたいとのことだった。
松岡氏はまず、ソードアート・オンラインの推奨スペックを確認しつつ、「フルHDで遊ぶということで大丈夫ですか?」とドリブル松永に聞いていた。ドスパラの店舗スタッフさんは、ゲームに精通している方が多く、自身がプレイしていないタイトルでもすぐに動作環境を調べてくれる。
松岡氏によると、「ソードアート・オンライン自体はCore i5でも遊べそうですけど、動画編集もということでCore i7がいいと思います」とのこと。ということで、Core i7-14700Fをチョイス。どうしてCore i7なのかや、Fが付いているモデルはグラフィックス機能がない分少しお手頃といったことも説明してくれて、ドリブル松永はフムフムと聞いていた。
続いてドリブル松永が相談したのは、PCケース。ドリブル松永は、せっかくパソコンを自作するなら、見た目はこだわりたい! ということで、「話題のピラーレスがいいです」と依頼。ドスパラ秋葉原本店にはPCケースコーナーに多くのモデルが並んでおり、その中から、“スタッフマツオカオススメ商品!!”とのポップが貼ってあるピラーレスケースが。
それは、NZXTの「H6 Flow RGB」だった。ポップが貼ってあったのはホワイトモデルだが、ドリブル松永はブラックモデルをチョイス。ケースの色にはこだわりがあったようで、「これだけたくさんラインアップがあると、迷いますね。ただ、スタッフさんオススメって書かれているとやっぱり気になっちゃいます」とのこと。
それぞれのパーツが対応しているか不安でも、しっかり大丈夫な構成を提案してくれる安心感
続いて、マザーボードの選択。ここで安心なのが、スタッフさんと相談しながら構成を決めていることで、サイズに間違いがないということ。初心者であれば、MicroATXケースにATXマザーボードを選択して入らない……ということが起こりうる。これはマザーボードだけでなく、電源やビデオカードでもあり得る話だ。また、対応メモリーも初心者ではわからないだろう。
エキスパートが隣にいれば、そういった部分の心配なくチョイスできるのは、ありがたい。ちなみに、今回チョイスしたのは、ASRockの「B760 Pro RS WiFi」のドスパラ限定モデル。松岡氏がこちらをオススメした理由は、堅牢で性能もしっかりしつつ、リーズナブルな点と、Wi-Fiモジュールを搭載している点だ。これまでノートパソコンで作業してきたドリブル松永は、「え、マザーボードによってはWi-Fi使えないものもあるんですか?」とかなり驚いていた。
メモリーは、見た目重視で光るモデルがほしいというドリブル松永。そこでチョイスしたのがADATAの「AX5U5600C3616G-DCLARBK-DP」。動画編集を実施するほか、もしかしたら今後最新ゲームも遊ぶかもということで、ここは32GBメモリーをオススメしてもらった。繰り返しになるが、マザーボードの対応メモリーがDDR5なのかDDR4なのかというのは、初心者にはわからないと思うので、こちらも店舗で相談しながら決められるのは安心感がある。
ストレージは、今後ゲームだけでなく動画編集用の素材も保存しておくかもしれないということで2TBのCrucial「T500 CT2000T500SSD8JP」を選択。容量と速度と価格を考慮したチョイスだろう。
一番悩んだCPUクーラー 見た目と長い保証期間で決定
CPUクーラーは、もともと空冷を選ぼうとしていたドリブル松永。理由は簡易水冷のモデルは空冷とくらべてかなり高額になると踏んでいたからだ。しかし、松岡氏はMONTECHの「HyperFlow ARGB 360」をオススメ。ケース内部の見た目的にも豪華になるし、簡易水冷ながら1万5000円以下で買えるリーズナブルな価格なのが理由だ。
というのも、空冷のほうが安いと感じるかもしれないが、Core i7-14700Fをしっかり冷やすとなるとハイエンドな空冷クーラーが必要となる。そうなると、さほど価格差がなくなるため、より冷える簡易水冷をオススメしてくれたというわけだ。なお、悩んでいるドリブル松永にしっかりと空冷と水冷のメリット・デメリットについても話してくれていた。最終的にドリブル松永が水冷を選んだのは、やはり見た目。加えて、保証期間も6年と長いということも説明してもらい、安心できたのでこちらのモデルに決定したようだ。
ビデオカードは、Palitの「GeForce RTX 4060 StormX V1 NE64060019P1-1070F」をチョイス。ソードアートオンラインと動画編集という用途を考えると、GeForce RTX 4060で十分だろうという判断だ。ちなみにドリブル松永は予算内でディスプレーの購入も検討しており、解像度を聞くとフルHDでいいという。また、FPSはほとんどプレイしないので、60Hzでもかまわないとのことだったので、それであればRTX 4060で十分だろうという松岡氏の判断だ。
なお、今回選択したモデルはシングルファンを採用するモデルとなる。ドリブル松永は見た目的にデュアルファン、トリプルファンのモデルとも悩んでいたが、松岡氏は予算を鑑みてシングルファンのモデルをオススメ。総合的な価格についてもしっかり調整してくれるのは、ありがたい。
電源容量がわからなくても、相談していれば安心
電源は、650WのDeepCool製「PQ650M R-PQ650M-FA0B-JP」を提案。こちらもドスパラ限定モデルとなる。電源は、構成するパーツによって必要な容量が変わってくるため、こちらも初心者の方であれば気がかりな部分だろう。
ドリブル松永も理解していなかったようで「このW数が大きい方がいいんですか?」と松岡氏に聞いていた。松岡氏は「パーツによって必要な容量が違ってきます。ハイエンドなパーツほど、必要な電源両量は大きくなりますが、この構成の場合は650Wで十分だと思います」と答えていた。
以上、すべてのパーツを選び終えて、OSを含めた価格は21万6478円(9月19日の価格)。予算の25万円には、だいぶ余裕がある。これには理由があり、ディスプレーとマウス、キーボードも購入するためだ。ちなみにドスパラ秋葉原本店の場合、ディスプレーは1階に、キーボードやマウスは3階で販売されていた。
ディスプレーは75HzでフルHDの26型「ViewSonic VA2409-MH-7」、キーボードマウスはロジクールのどちらもセットになったスタンダードモデル「SILENT WIRELESS COMBO MK295」をチョイス。秋葉原には、「GALLERIA esports Lounge」というゲーミングデバイスに特化した店舗もあるが、ドスパラ秋葉原本店の3階でもゲーミングデバイスを少し取り扱っている。ゲーミングマウスなどは展示機もあるので、実際に触って試すことが可能だ。ドリブル松永も、興味はあるようで触っていたが、基本的にゲームはゲームパッドでするということで、あくまでも作業用ということでスタンダードなモデルを選択したとのことだ。
こちらのディスプレー、キーボード、マウスを含めても、合計23万5618円と25万円は超えなかった。要望に合わせてピッタリな構成を一緒に考えて、しっかりと応える松岡氏の手腕に、松永だけではなく私もジサトライッペイも凄いなと感心していた。
※見積書は2024年9月19日に発行しました ※価格・構成は2024年9月19日時点の情報です。最新情報についてはドスパラにてご確認ください
最終判断はユーザーに委ねる姿勢がとてもいい
全体で印象的だったのは、松岡氏は「これにしましょう!」と決めるわけではなく、「私はこれがオススメです」という感じで最終的な判断はドリブル松永に委ねているなと感じた点だ。松永がうーんと悩んでいたら、どうったところで引っかかっているかを聞いて、それに答えるという場面も見受けられた。
私やジサトライッペイのように知識があると、これがベストだよ! と言い切ることも少なくないが、松岡氏はあくまで決めるのはドリブル松永であって、あくまでアドバイザーということに徹しているような気がした。そのため、ドリブル松永はしっかりと迷い、自分で構成を決めたという実感をしっかりと得ている感じがした。
そのためか、実際に購入を決めたあとでも「ビデオカードはデュアルファンのほうが見映えよかったですかね?」「ケースの背面とか底面にあとからファンを追加する場合はどうしたら……」なんて、自分で購入したパソコンについてあれこれ聞いてきてくれた。自作パーツにまったく詳しくなかったドリブル松永のそういう姿を見て、私とジサトライッペイはニッコニコだった。
ドリブル松永と松岡氏のやり取りを見ていて、これまで初心者の人に「パソコンを何にすればいいか」と聞かれることが結構あったが、「ドスパラで相談してみたら? 何なら自作パソコン組立イベントに参加してみたら?」と提案すればいいなと思った。
もし、自作パソコンを組みたいけど、パーツも組み方も分からないという人は、ドスパラでスタッフさんに相談しながらパーツを選んで、自作パソコン組立イベントに参加してみてはいかがだろうか。
次回は、自作パソコン組立イベント当日と、スタッフさんへのインタビューを紹介する。
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