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Core Ultra 7 265K&RTX 4070 Ti SUPER搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?

ASCII.jp / 2024年11月16日 10時0分

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?

 インテルの新世代CPU「Core Ultra 200Sシリーズ」は、開発コードネーム「Arrow Lake-S」と呼ばれていたモデル。従来の「Core iシリーズ」からアーキテクチャーを刷新し、新たにタイルデザインを採用している。タイルデザインとは、コンピュートタイル、GPUタイル、SoCタイル、I/Oタイルなどを並べ、ベースタイルの上で配線して接続する構成のことだ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
Arrow Lake-Sではタイルデザインを採用

 タイルデザインは柔軟な組み合わせが可能で、用途に適したCPUを供給しやすくなったわけだ。例えば、コンピュートタイルのみ最新にし、3D描画性能は低くていいのでGPUタイルは従来のものを使う、といった世代の異なるものの組み合わせも可能となる。

 Core Ultra 200Sシリーズを搭載したPCは各社から発売しているが、サイコムは全19機種もリリースしている。本稿ではその中の1台、空冷仕様のゲーミングPC「G-Master Spear Z890」を紹介しよう。

サイコムのゲーミングPC「G-Master Spear Z890」。標準構成の直販価格は30万4890円~(配送料込み)

Core Ultra 200SシリーズってどんなCPU?

 G-Master Spear Z890を詳しく見ていく前に、軽くCPUについて触れておこう。Core Ultra 200Sシリーズの最大の特徴は、PコアのSMT(ハイパー・スレッディング)がないこと。SMTは1つのコアで同時に2つのスレッドを処理することでCPUの使用率を高め、性能を上げる機能だ。つまり、従来はPコア数×2+Eコア数が、CPUが処理可能なスレッド数となっていたわけだ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
前世代にあたるCore i7-14700Kの仕様。コア数はPコア+Eコア、スレッド数はPコア×2+Eコアとなっている

 これに対し、Core Ultra 200SシリーズのPコアのSMTが廃止され、物理コア=論理コアという仕様になった。これには色々な理由が考えられるが、イチバンの理由はCPUのメニーコア化が進み、SMTの効果が薄くなったからだろう。

 ゲームを含め一般用途では、物理コアすら使いきれていないことがほとんどで、SMTがなくても性能がほぼ変わらない。また、SMTの実装に必要な回路規模は大きく、トランジスター数や消費電力の増加が性能向上の割に合わなくなってきた。それなら、SMTを廃止してしまったほうがいろいろと効率のいいCPUになるわけだ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
Core Ultra 200SシリーズのCore Ultra 7 265Kの仕様。コア数とスレッド数はどちらもPコア+Eコアだ

 一般的に、CGレンダリングや動画エンコード、学術計算といったCPUのコアをフルに動作させる用途では、SMTの廃止は性能面で不利になりやすい。ただし、Core Ultra 200SシリーズではPコアのIPC(サイクルあたりの命令実行数)が9%ほど、EコアのIPCが32%ほど強化している。さらに、電力効率も改善しているため、同じTDPならより高いクロックでの動作が期待できる。これらを総合的に考えると、SMTがなくても性能面で大きな不利にならなそうだ。

 また、性能はあまり高くないとはいえ、NPUを搭載している点も大きな特徴の1つ。CPUやGPUに負荷をかけることなく、Webカメラの合成、音声からのノイズ除去といった軽めのAI処理が行える。将来的に活躍の場はどんどん広がると目されており、新世代CPUにふさわしいトピックだろう。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
タスクマネージャーを見てみると、確かに「コア」(物理コア)と「論理プロセッサ数」(論理コア)の数が一致していた。また、「NPU」の欄ができていることも注目してほしい

空冷クーラーとその実力を引き出すメッシュPCケース

 G-Master Spear Z890のPCケースはCooler Masterの「MasterBox CM694 TG」。メッシュを多用し、通気性がかなり高められているモデルだ。熱はPCケース内の上部に溜まりやすいが、天面がメッシュなので外に排出しやすい。つまり、PCケース内温度が上昇しづらく、空冷CPUクーラーとの相性が非常に良いPCケースなのだ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
前面と天面はメッシュを採用

 また、試用機の空冷CPUクーラーには、静かで冷却性能が高いNoctuaの「NH-U12S」を搭載していた。5本のヒートパイプで熱を移動し、大きなヒートシンクと120mmの大型ファンで強力に冷やしてくれるモデルだ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
Noctuaの定番サイドフローCPUクーラー「NH-U12S」

 標準構成の「NH-U12S redux」と比べ、ヒートパイプが増えているほか、ヒートシンクの固定方法が若干異なっている。BTOメニューで+3320円の追加となってしまうが、より高い冷却性能と静音性を求めるのであれば、選んでおいて損はない。

 また、内部を見てもらえるとわかる通り、CPUクーラーと背面のPCケースファンの高さがほぼ同じになっている。これはCPUクーラーから出た熱風をすばやくPCケース外に排出するための工夫だ。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
PCケースファンの位置も考えられた内部レイアウト

 ケーブルレイアウトも見事で、内部は非常にすっきりとした印象。裏配線を多用することで、空気の流れをジャマするケーブルを減らし、可能な限り冷却性能を高めているのだろう。なお、ガラスサイドパネルなので、美しいケーブルレイアウトは見栄えが良くなるというメリットもある。このあたりの組み立てノウハウは、長年BTOパソコンを手掛けるサイコムの真骨頂と言える。

 高性能なビデオカードは、発熱対策として大型クーラーを搭載していることが多い。となると、当然ビデオカードのサイズは大きくなり、重量も増えてしまいがちだ。そして、PCIe×16スロットには大きな負荷がかかる。カードはPCケースにネジどめされているとはいえ、端のブラケット部だけで支えるのは厳しい。長年の振動で基板やコネクターへダメージが蓄積し、最悪の場合、壊れてしまう危険すらある。

 このダメージを軽減してくれるアイテムが、ビデオカード用のスタンドやスタビライザーといった支えだ。MasterBox CM694 TGにはこのスタビライザーが用意されているため、安心して重たいビデオカードも利用できる。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
スタビライザーで重たいビデオカードを安定固定

豊富な拡張ベイでHDDやSSD、光学ドライブの増設も自由!

 G-Master Spear Z890は、ミドルタワー型デスクトップPCということもあり、拡張性は高めだ。前面上部には、最近珍しくなってきた5インチベイを2つ備えている。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
2つの5インチベイを装備

 なお、この5インチベイには、標準構成ではASUSのDVDスーパーマルチドライブ「DRW-24D5MT」を搭載している。しかし、今回の試用機では省かれていた。光学メディアを使わないユーザーはBTOメニューで外してもいいだろう。「なし」を選ぶと3370円ぶん安くなる。

 前面下部には3.5インチベイが2つある。このベイは取り外しが可能で、本来であれば2つのベイを1組として、上・中・下の3組、6つの3.5インチベイが利用できる。今回の試用機は、大型ビデオカードを搭載したモデルとなるため、そのうち上の2組が外されている。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
着脱可能な3.5インチベイを装備

 この3.5インチベイは、2.5インチのHDD/SSDも固定できるが、マザーボード背面側に2.5インチ専用スペースがあるので、そちらを優先的に使いたい。ちょうど5インチベイの側面にあたる部分と、マザーボード下部の裏側の部分に1つずつ、合計2つの2.5インチベイがある。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
裏側には2つの2.5インチベイがある

 この2つのベイは、ガラスサイドパネル越しに見えないため、見た目に影響がない点がうれしい。組み立ての美しさを残しつつ、ストレージ容量を増やしたい、という場合に活用したい。

 拡張面で忘れてはいけないインターフェースだが、試用機はASUSの「TUF GAMING Z890-PLUS WIFI」で、Thunderbolt 4にUSB Type-C(USB 3.2 Gen 2×2)のほか、USB Type-Aは6基(USB 3.2 Gen 2が3基、USB 3.2 Gen 1が3基)装備する。通信機能も充実し、標準で2.5GbE対応の有線LANや、Wi-Fi 7対応の無線LANまである。

Core Ultra 7 265K&RTX 4060搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
Thunderbolt 4にWi-Fi 7と、最新マザーボードにふさわしい内容

新世代CPUの性能を引き出せる空冷PC

 高性能なCPUを選ぶ場合、冷却性能が気になって簡易水冷クーラーじゃないと不安を感じてしまいがち。しかし、空冷クーラーでも冷却能力は意外と高く、エアフローのしっかりしたPCケースがあれば、安定した動作が可能だ。

 また、Core Ultra 200Sシリーズは電力効率が大きく見直されているため、空冷クーラーでも性能が引き出せる可能性は高い。今回はハードウェア部、主にPCパーツの構成を中心に紹介したが、次回は多くの人が気になっている性能面を探る予定だ。

 ちなみに、サイコムは2024年11月15日から2025年1月20日まで、「サイコム 冬の特大キャンペーン2024」を開催する。G-Master Spear Z890なら標準構成でも今回の試用機構成でも、1万9920円引きとなる。ぜひこの機会をお見逃しなく。

サイコム 冬の特大キャンペーン2024は、送料無料(実質2920円引き)、G-Masterシリーズ全モデルの1万円引き(G-Master Hydroシリーズならなんと2万円引き)、Crucial製SSD「T500」(1TB/2TB/4TB)と「T700」(1TB/2TB/4TB)は7000円引きなど、かなりお得だ

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