【レビュー】Galaxy Watch 7はPixel Watchよりも使いやすい?
ASCII.jp / 2024年11月23日 12時0分
サムスン電子ジャパンから「Galaxy Watch 7」をお借りして、3週間ほど使ってみました。機能がてんこ盛りのわりには、活用法がわかりやすく、使い続けるほどに愛着が湧く製品という印象を受けました。
Galaxy Watch 7は「Wear OS」を搭載しています。GoogleマップやGoogleウォレットを利用でき、Google Playストアから入手したアプリを追加することもできます。
つまりグーグルの「Pixel Watch」とはプラットフォームが共通しているわけです。しかし、両モデルのOSは完全に共通しているわけではありません。
Galaxy Watchは「Wear OS Powered by Samsung」で、Pixel Watchは「Wear OS by Google」を搭載しています。機能や操作性にはどんな違いがあるのか? どっちのほうがコスパに優れているのか? 両モデルを使い比べました。
同じ円形だが、ディスプレーとボタンが異なる
Galaxy Watch 7は40mmモデルと44mmモデルがあり、それぞれLTEモデルとBluetoothモデルがあります。筆者が使ったのは44mmのBluetoothモデルです。
Pixel Watchは、9月10日に最新の「Pixel Watch 3」が発売され、41mmと45mmの2サイズになります。ですが、筆者が使っているのは前世代の「Pixel Watch 2」。ケースサイズは41mmで、LTEモデルとBluetooth/Wi-Fiモデルから選べます。筆者が使っているのはLTEモデルです。
両モデルはどちらも円形ですが、ディスプレーの形状が異なります。Galaxy Watch 7はフラットで、Pixel Watchはエッジにカーブが施され、ベゼルレスに見えるデザインになっています。
Galaxy Watch 7は右側面に2つの物理ボタンを搭載し、初期設定では上はホームボタン、下は戻るボタン。つまり、スマホに近い操作性になっています。また、文字盤の周辺を囲うようになぞって画面をスクロールする「タッチベゼル」機能も備えています。
一方、Pixel Watch 2は右側面に回して操作できるデジタルクラウンを搭載。押してアプリ一覧を呼び出して、クルクル回して選択。2回押して、Googleウォレットを起動したりもできます。クラウンの上には、最近使ったアプリを呼び出すボタンが目立たないように搭載されています。
操作性は甲乙つけがたいのですが、Galaxy Watch 7の「戻るボタン」はそんなに使うことがなく、「タッチベゼル」もフツーに画面をなぞったほうが早い、と感じました。個人的には、Pixel Watchのデジタルクラウンのほうが便利だと思います。
なお、Galaxy Watch 7は44mmモデル、Pixel Watch 2は41mmモデルを使っていますが、後者のほうが重く感じました。実はこれは正解で、ベルトを付けた状態で重さを測ってみたところ、Galaxyは51g、Pixel WatchはSサイズのベルトを装着した場合で58g、Lサイズでは61gでした。実際にGalaxy Watch 7の方が装着感は軽やかです。
画面のカスタマイズ性はGalaxy Watch 7が優勢
文字盤のデザインをカスタマイズできることもスマートウォッチの魅力。Galaxy Watch 7もPixel Watch 2も多彩の文字盤が用意されていて、コンプリケーションをカスタマイズしたりして、使い勝手を向上させることができます。
画面のカスタマイズ性では、Galaxyに軍配が上がるように感じました。Galaxy Watch 7向けの文字盤は、シンプルなものから斬新なものまで多彩なデザインがあって、しかもカラフル。使っていて楽しい気分になりました。常時表示に設定した場合、画面が暗めの待機時と明るくなった時でデザインが変わるのも気に入りました。
Pixel Watchは「文字盤の背景は黒」という前提があるようで、デザインの多様性ではGalaxyに見劣りします。
「設定」画面や通知などの視認性は互角。どちらもクッキリとした文字で表示され、見やすさは上々。どちらも文字サイズを6段階から選ぶことができ、見やすいサイズに変更することもできます。
ヘルスケア機能は独自機能に注目
心拍数、血中酸素レベル、睡眠などをトラッキングできるのは、どちらも同じ。ストレス値をチェックすることもできます。計測データの正確さは筆者には判断できませんが、少なくとも違和感のある測定結果が表示されることは稀でした。
両モデルの差分は独自機能にあります。Galaxy Watchは体組成計機能を搭載。身体の準備の状態を示す「エナジースコア」、老化に関わる「AGEs指数」なるものを測定する機能も備えています(「【レビュー】エナジースコア、AGEs指数って何? 「Galaxy Watch 7」のヘルスケア機能を使い倒した」)。使っていると、おのずと健康への意識が高まりそうです。
一方、Pixel Watchに搭載されている独自機能は「身体反応」というもの。ストレスの兆候を検出すると教えてくれる機能で、ストレスマネジメントに役立てることができるそう。ですが、通知される反応にピンと来ないこともあり、万人に支持される機能ではなさそうです。
ワークアウトをトラッキングして記録する機能も互角。どちらも必要十分な機能を備えていて、位置情報の取得、ワークアウト開始の自動検出なども的確と思えました。Pixel Watch 3はランニングに関するプログラムが強化されたようなので、ランナーはチェックすべきでしょう。
持続時間でのスペックで上回る Galaxy Watch 7のほうが電池持ちがいいと思いきや……
電池持ちはほぼ互角で、どちらも「ギリギリ1日は持つ」という印象でした。スペックを見ると、Galaxy Watch 7(44mm)のバッテリー容量は425mAh。持続時間は、AOD(常時表示)設定時で最大30時間、AODを使わない場合は最大40時間となっていました。しかし、実際にはそんなに持たないかも……。
一方、Pixel Watch 2のバッテリー容量は306mAhで、常時表示で最大24時間持つとのこと。こちらは、まさにその通りという電池持ちでした。
ちなみに、新たに発売されるPixel Watch 3(45mm)のバッテリー容量は420mAhで、持続時間は常時表示で最大24時間、バッテリーセーバーモードで最大36時間となっています。電池持ちを重視するなら、Pixel Watch 3を選ぶのが得策かもしれません。
あれば便利な機能は、どちらもフル装備
スマートウォッチの機能は、どのメーカーのどのモデルを選んでも似たり寄ったりになってきましたが、今なお搭載されることが少ない機能もあります。まず、NFC(FeliCa)を用いる決済機能。Galaxy Watch 7とPixel Watch 2はどちらも「Googleウォレット」を利用でき、「Suica」「iD」「QUICPay」が使えます。
次に、ハンズフリーで天気を調べたり、タイマーを起動したりできる音声アシスタント機能。スマートウォッチと相性がよく、使い勝手が向上する機能で、どちらも「Googleアシスタント」が使えます。
そして、スマホと接続されていなくても、電話やメッセージなどを利用できるLTEオプション。先にも挙げましたが、どちらもLTE対応モデルを選んで、スマホと同じ電話番号で使えるサービスに加入すれば使えます。ドコモは「ワンナンバーサービス」、auは「ナンバーシェア」、ソフトバンクは「ウェアラブルモバイル通信サービス」という名称です。
両モデルを使い比べてみると、共通する機能が多いものの、それぞれ個性があり、使う気分は異なりました。端的に言えば、Galaxy Watch 7は楽しくポジティブに使えて、Pixel Watch 2はとりあえず腕に巻いておけば安心、そんな印象。
機能面ではGalaxy Watch 7が優位で、その分、価格も高い。多機能を求めるならGalaxy Watch 7、コスパを重視するならPixel Watch 2が正解でしょう。ただし、新しいPixel Watch 3は5万2800円〜と、結構いい値段になっているので、慎重に検討すべきです。
筆者紹介——村元正剛 iモードが開始された1999年から携帯電話市場を追い、新機種のレビュー記事などを多くの雑誌やウェブに寄稿。最近はスマートウォッチやワイヤレスイヤホン、スマートスピーカーなど、スマホとつながるデバイスにも興味を深めている。編集プロダクション・ゴーズの代表で、スマホ関連の書籍/ムックの編集も手がけている。
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