写真は「紙で残す」からエモい、スマホ全盛のいまだから推したい製品!
ASCII.jp / 2024年11月27日 19時0分
現物がなくなったデジタル特有の悩みを解決
文書や写真など、あらゆるデータがデジタル化した令和。便利になった反面、どことなく寂しさを感じる人も多いのではないでしょうか?
特に「思い出が詰まった写真のデータ」が、機器の故障や引継ぎの失敗で失われ、二度と見返せなくなったときの喪失感は筆舌につくしがたいと思います。
そんな時、「古い写真であれば、アルバムで残っていたのに!」と強く思うかもしれません。しかし、いざアルバムを作ろうと思った際には、スマホからパソコンにデータを移し、プリンターで順番に出力して……と手間がかかります。想像するだけでもやや億劫です。
そこで登場するのが、キヤノンの「SELPHY QX20」です。スマホから画像を直接印刷するプリンターとなり、バッテリーも内蔵しているのでどこでも利用できます。
【目次】この記事で書かれていること:
「SELPHY QX20」が解決する課題とおすすめのユーザー 〜データは消える、物理的に交換するエモさを感じたい人にも
競合製品と比べてどう?
使ってわかったメリットとデメリット
・楽しく便利な3つのメリット 1)お手軽かつ失敗なく写真プリントできた! 2)まさにフィルムから出力したような仕上がり 3)「SELPHY Photo Layout」が楽しい
・購入時に注意したい側面 4)パソコンから直接プリントできない 5)「SELPHY Photo Layout」のマニュアルがない
まとめとスペック情報
「SELPHY QX20」が解決する課題とおすすめのユーザー
データは消える、物理的に交換するエモさを感じたい人にも
SELPHY QX20は、スマホの画像をとにかく簡単に印刷できるミニフォトプリンターです。機能は大変わかりやすく、誰でもイメージできると思います。
活躍するシーンはまずパーティーなど人が集まる場所での写真共有です。手のひらに乗るかわいい写真をプリントできるだけでなく、すべての用紙が裏面シールになっているので、「プリクラ」や「デコレーション用のシールプリンター」として活用できます。
愛用のカメラ、スマホ、ノートPCなどに貼れば楽しいですし、デコレーションやステッカー作成などでも活用できると思います。
従来モデル「QX10」と比べた場合、正方形のスクエアフォーマットに加えて、カードサイズのプリントができるようになった点も嬉しい進化ポイントとなっています。用紙サイズ以外にも、左右と上部の「フチなし」印刷ができるようになったり、端子がMini-USBからUSB Type-Cになり、充電時間が120分から80分に短縮されたりしています。
最初に述べたように、この製品のポイントは物理的に撮影した写真が残ること。また、LINEやAirDropなどでデータをそのまま共有するのではなく、手渡しで思い出を共有できるという点にあると思います。
カメラ撮影に慣れたスマホ世代にとっては、紙に焼いて写真が残る体験自体がレトロで新しいものに感じられるかもしれません。
スマホの使い方に慣れていないご家族に写真を手渡ししたい人はもちろんですが、撮った写真を物理的に交換するエモさを感じたいという人にも適していると思います。
なお、スクエアのほうは用紙サイズが85×72mmで、プリント範囲は72mm角の正方形。用紙20枚とインク20枚分のセット(XS-20L)は直販価格が1800円なので、1枚当たりピタリ90円。
カードサイズのほうは、用紙が85×54mmで、印刷範囲は72×54mm。セットは2種類で、20枚入りのXC-20Lが1540円、60枚入りのXC-60Lが4180円だから、それぞれ1枚当たりは77円と70円になる。どちらのサイズでも、それほど緊張せずにプリントを楽しめるお値段と言えます。
競合製品と比べてどう?
「ミニフォトプリンター」には、QX20のような昇華型熱転写のほかに、ZINK用紙を使うものと、インスタント写真フィルムを使うものがあります。ZINKではキヤノンも「Inspic」というインスタントカメラとプリンターを出しています。ただし、用紙内に封入されている発色剤を熱を加えて発色させるものなので、鮮かさは昇華型熱転写に劣リマス。
インスタント写真用のフィルムを使うミニフォトプリンターは、富士フイルムが発売しています。こちらはインスタントカメラで使う「Instaxフィルム」を使い、写真を「露光」して、用紙内で「現像・定着」して像を定着する方式です。
用紙サイズによって3種類があり、62×46mmの「Instax mini Link3」、62mm角正方形の「Instax Square Link」、99×62mmの「Instax Link Wide」。miniはちょうどQX20のカードサイズ、SquareはQX20のスクエアとほぼ同寸です。
ただし、Instaxは写真現像処理剤が用紙に封入されているので、切り貼りは不可で、厚みもあり、ステッカーにできません。また、発色まで時間がかかり、その間の温度や刺激で色味が変わることがあります。
昇華型熱転写のQX20は安定した発色で印刷できるうえ、切り貼り自由なのが利点です。つまり、画質が良く、安定しており、さまざまな応用ができる点が他社のフォトプリンターにない特徴となっています。
価格面でもメリットがあります。
量販店などで購入する場合、本体価格は実質1万円を切る程度。キヤノンのオンラインショップでも本体にカード用紙20+60枚、スクエア20枚分が付いて2万7220円のセットがあり、用紙代合計が7520円なので、こちらも本体が2万円切りで手に入る計算となります。
ちなみに、ZINK式ミニフォトプリンターのInspic PV-223は約1万7000円で、ランニングコストはカードサイズ1枚が55円。QX20の70円より安いが、スクエアフォーマットにはプリントできず、クオリティはQX20のほうが明らかに高いです。
富士フイルムのInstaxではカード型Mini Link3は約1万6000円、スクエア型のSquare Linkは1万8700円とQX20より安いが、フィルム代は各々78円と99円と少しお高めで、世界的なチェキブームでフィルムが購入しにくい状態となります。また、サイズごとにプリンターが別なので、QX20のように、カードとスクエア両方をプリントすることはできません。
QX20のランニングコストは前述のとおり、カードで70円、スクエアで90円。以上から考えると、写真好きなみなさんや、プリクラ&デコ好きにとっては、お求めやすい価格と言えそうです。
使ってわかったメリットとデメリット
楽しく便利な3つのメリット
1)お手軽かつ失敗なく写真プリントできた!
使ってみて感心したのがこれ。当たり前だが、欲しいサイズの写真がカンタンに印刷できること。また、昇華型熱転写なので、ノーメンテナンスで、インクジェットのような目詰まりの用心や、インク切れの心配もないことです。
本体サイズは約145.8×102.2×32.9mm、重さは約455gと小型軽量なので持ち運びしやすいですし、スマホとワイヤレス接続し、どこでも気軽にプリントできるのも大きな魅力です。
接続にはWi-Fiを使いますが、アプリを立ち上げて、プリンター本体のQRコードを読ませるだけなので、非常に簡単でした。データ送信も高速で、1枚のプリントに必要な時間は約40秒と短くて済みます。
2)まさにフィルムからプリントした写真のような仕上がり
プリント方式は「昇華型熱転写」。専用紙とインクフィルムを使い、熱でフィルムのインクを気化させて用紙に定着させる方式です。CMYの3色各256階調の表現が可能で、粒状感がなく鮮やかな発色が特徴。さらに、プリントの最後にオーバーコート仕上げを行なうので、光沢感があり、水や汚れに強いうえ、色にじみや色褪せも防いでくれます。
昇華型熱転写方式というと、大昔はフルカラー表現ができなかったが、さすがに最新モデル、精細かつ鮮やかな発色が楽しめます。また、インクジェットでは淡い色や微妙なグラデーションではドットが見えることがあるが、QX20ではドット単位で階調表現ができるうえ、解像度は287dpiと高いです。
まさに、フィルムからプリントした写真ような仕上がり。CMYのフィルムしか積んでいないのでKが足りない分、締りがなく、漆黒も表現しにくいのではと疑ったが、黒の締りもインクジェットや写真方式よりキレイでした。
3)「SELPHY Photo Layout」が楽しい
QX20はiPhoneとAndroid用の専用アプリ「SELPHY Photo Layout」でプリントアウトします。QX20とのペアリングもとても簡単です。
起動して「フォト」と「コラージュ」を選択。フォトは1用紙に1枚の写真をプリントするもので、コラージュはその名の通り、複数の写真をレイアウトしたうえ、飾りを加えられます。
フォトでは、複数の写真を選択して、各々を1枚の用紙に連続印刷もできます。画像をタップすれば、拡大、縮小、回転の指定も可能。色調整では明るさ、コントラスト、彩度の強弱。フィルターでは色味の変化が付けられます。彩度をゼロにすれば、どんな写真でもモノクロでプリントできるのもなかなか楽しいです。
コラージュでは複数の写真を自動レイアウトしてプリントできる。各写真のトリミングや色調整、フィルターの指定が可能と、なかなか細かいです。加えて、フレームやスタンプ、手描きラインや文字を入れることができます。
オジサンはなかなかセンスがないのだが、好きな人はとことん凝ることができます。
写真好きにも、デコ好きにも、きちんと対応したアプリで、さすがのキヤノン製だと思いました。
SELPHY QX20の注意点
4)できればPCから使いたい
スマホとの連携機能はとても便利なのですが、カメラおやじとしては、パソコンから直接プリントできないのはちょっと不便に感じました。
ぜひ、WindowsやMac用のドライバーかアプリを出していただきたいです。机上のPC横に置いておいて、すぐにプリントできるのは絶対に便利だと思います。SELPHYのCP1500ではPC接続可能だが、QX20のサイズでぜひお願いしたいと思います。
5)「SELPHY Photo Layout」にマニュアルがない
もう一つはSELPHY Photo Layoutのマニュアルがありません。最初のうちは「フォト」では、写真をそのままプリントするしかできないと思い込んでいたのですが、ふと「画像部分をタップした」ところ、拡大縮小や色調整のメニューが出てきました。
偶然タップしなければ、調整できることに一生気づけなかったので、基本的な機能だけでもいいので紙のマニュアルで説明して欲しいですね。
追加して欲しい機能としては、例えば複数の写真をすべて同じ色調整でプリントする機能。同じ調子の写真なら、1枚ずつ明るさ-1、コントラスト+1、彩度+2などと指定するのは面倒です。
このほかバッテリーの持ちはフル充電で20枚までなので、どんどん印刷したいときはちょっと足りないかもしれません。5V1.5A以上の出力のACアダプターなら急速充電できるが、80分かかる。内蔵バッテリーを増やすとそのぶん重くなるかもしれないが、2倍はもってほしいところです。
また、連続印刷時に1枚ごと用紙を抜き出さないと次のプリントにいかないのも、改善して欲しいポイントです。
まとめ
「QX20は3拍子揃ったイチオシのミニフォトプリンターなのだ」
QX20の価格はキヤノンのオンラインショップで2万2000円。量販店などのポイントを加味すると、実質2万円を切る価格で手に入れられる場合もあります。
「精細で鮮やかな発色」で、「耐水性も高く、シールになってどこにでも貼れる」。「2つのサイズの用紙が使える」と、3拍子揃ったQX20は、いまイチオシのミニフォトプリンターなのであ〜る。
QX20の主なスペック
印刷方式:昇華型熱転写方式(オーバーコート付) 印刷解像度/階調数:287×287dpi/256階調/色 印刷速度:約40秒/枚 無線通信方式:Wi-Fi IEEE802.11b/g 電源:充電式リチウムイオン電池(内蔵) バッテリー印刷可能枚数(フル充電時):約20枚 バッテリー充電時間:約80分 本体サイズ:約145.8(縦)×102.2(横)×32.9(高さ)mm 質量:約455g(インクカセット・用紙を除く)
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