カメラファンは1日いられる! シャープやシャオミと協業するライカの歴史を辿れるミュージアムが楽しすぎた
ASCII.jp / 2024年11月28日 12時0分
カメラ好きなら絶対訪れたいミュージアム「ライツパーク」
スマートフォンのカメラ性能は年々高まっているが、写真のクオリティーを高めるためにカメラメーカーとの協業も進んでいる。
その中でもライカ(LEICA)の名前は日本でもよく知られており、2016年にはファーウェイと、2020年からはシャープと、さらに2022年にはシャオミと、スマートフォンカメラの協業を始めた(ファーウェイはその後提携終了)。また、ライカも自らのスマートフォン「Leitz Phone」シリーズを2021年から発売している。
このようにスマートフォンとの関わりを深めているライカの歴史や技術を探るため、同社の本社にある「ライツパーク」で行なわれているガイド付きのツアーを利用して、ギャラリーやミュージアムを訪問した。
ライカの本社はドイツのフランクフルトから近いウェッツラーにあり、本社ビルやミュージアム、工場など、多数の建屋を含む一帯が「ライツ・パーク」と呼ばれている。一般人でも訪問できるエリアも多数あり、カメラ好きなら1日いても飽きないだろう。本社ビルの1階にはギャラリーがあり、定期的に写真展が開かれるほか、歴代のライカカメラが多数展示されている。
その中でも貴重なモデルが「Ur-LEICA」(ウルライカ)。1914年に製造されたライカの原点ともいえるカメラであり、手軽に持ち運べるコンパクトサイズで35mmのフィルムを使用する。展示されているものはレプリカ品だが、約100年前の骨董モデルとしてその雰囲気も忠実に再現されている。
「Ur-LEICA」は、それまで大型で据え置き型サイズだったカメラをポケットに入れて手軽に持ち運ぶことを可能にしたものであり、今でいえばデスクトップコンピューターがスマートフォンになったような衝撃を当時の人々に与えただろう。そんな歴史を思い浮かべながら過去の名機たちを鑑賞するのも楽しいものである。
個人的には様々なコラボモデルも気になった。2014発表の「LEICA X “Edition Moncler”」はフランス発祥のブランドと協業したこともあり、トリコロールカラーをボディーに纏っている。同じく同年発表の「LEICA MP “OLIV”」は、軍用モデルに採用した特別なオリーブカラーで仕上げたカメラだ。どちらも10年前のモデルながらデザインに古臭さを感じさせず、今でもこのまま使いたくなるような魅力がある。
ライカと言えばカメラやレンズを思い浮かべる人がほとんどだろうが、最近では光学技術を活かした別の製品も展開している。「LEICA Cine 1」は据え置きタイプのプロジェクターだ。解像度は4K、Dolby Atmosに対応し、最大120インチの投影ができる。ハイセンスと協業して開発したモデルであり、光学部分にライカの技術が採用されている。ヨーロッパなどで、高級プロジェクターとして販売されているとのことだ。
工場の生産ラインの見学も可能 ライカ製品がどうやって作られるのかを見られる
また、併設されている工場の内部をガラス窓越しに見学もできる。訪問した日は平日の夕方ですでに従業員の勤務時間は終わっていたが、午前中や昼間であれば実際に作業している姿を見られるという。工場の各生産ラインの前では、それぞれの部門で行なわれている作業の説明を、ディスプレイで説明してくれる。
本社ビルにはほかにも、ライカ製品の修理を受け付けるカスタマーセンターと、中古製品の整備販売をするクラシックストアがある。クラシックストアでは、たとえば実家の物置を掃除して出てきた年代物のライカカメラやレンズを引き取ってもらい、それを整備し中古品として販売している。
昔のアナログカメラは機械式の製品だ。しかも精度高く設計・組み立てられたライカの製品だからこそ今でも補修して再び使えるのである。「SDGs」といった今風の言葉を使わずとも、古い精密機械を末永く使い続けることをライカは支援しているというわけだ。
ライツ・ミュージアムでお土産を買える
さて、ライカ本社の向かいにある建物は「ライツ・ミュージアム(Leitz Museum)」である。こちらは1Fにお楽しみエリアともいえるお土産品を販売するミュージアムショップと、ライカの現行モデルを販売するライカショップがあり、2Fがミュージアムとなっている。
2Fのミュージアムでは特殊な撮影や、昔のフィルムのバーチャル現像体験などができる。フィルムカメラを知らない若い世代にカメラの楽しさを知ってもらうだけではなく、カメラをよく使っていたベテランに昔の楽しさを思い出してもらう、そんな体験の場所になっている。
本社側には展示がなく、このミュージアムのみ展示されていたのが「Leitz Phone 1」だ。ライカが自ら手掛けた初のスマートフォンだが、日本だけで販売されたこともあって海外ではあまりその存在は知られていない。そのため、ミュージアムを訪れた多くの来場者がこの製品に興味を持つようだ。
残念ながらショーケース内での展示であり実機に触れることはできないが、ライカのカメラシャッター音や本体側面のローレット加工など「ライカのスマホ」らしい製品であることを、ぜひ日本以外の人々にも知ってほしいものである。
1Fのミュージアムショップではライカロゴの入った様々な製品も販売されている。ライカフォントのアルファベットと数字を印刷したタペストリーや、ライカのワインなど来訪記念に欲しいと思えるものがたくさん販売されている。購入したものを入れてくれるライカロゴ入りの紙袋も、お土産にしたくなるものだった。
ライツパーク全体を回ると2~3時間くらいはあっという間に過ぎてしまう。最後は両建屋の間にある「カフェライツ(CAFE Leitz)」で休憩するのもよい。ライカロゴ入りのケーキなどもあり、最後までライカを楽しむことができるだろう。
フランクフルトから1時間程度で訪問できるライツ・パーク。ドイツ旅行に行く際は見学の予約をして、訪問してみてはいかがだろう。
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