こんなにあった! ポタフェスで見つけた「耳をふさがない」「ながら聴き」できるイヤホン
ASCII.jp / 2024年12月15日 9時0分
12月14日からベルサール秋葉原で開催中の「ポタフェス2024冬 秋葉原」。様々な製品が展示されている中、広がり注目を集めているのが「耳をふさがない」「ながら聴きできる」イヤホンだ。
テレワークなども増える中、音楽や通話をしながら「外の音も聞ける製品」の需要は高まっている。外の音が自由に聞ければ、音楽などを聴きながらの作業や、家事・散歩・スポーツなど屋外で使用する際にも便利だ。会場で見つけた製品の中から、気になるものを新旧含めて紹介していこう。
定番はやはり骨伝導か
一口に「耳をふさがないイヤホン」と言っても、イヤーカフ型、オープンイヤー型、イヤースピーカー型、骨伝導など、様々なタイプが存在する。装着方法や音質などで個性を競っているジャンルのため、デザインも含めて選ぶ楽しさがある。
定番はやはり骨伝導。骨伝導はアクチュエーターで頭蓋骨の一部を揺らし、鼓膜の奥にある蝸牛に直接音を伝えるのが特徴だ。耳はふさがず、鼓膜には外音が直接入ってくるので、周囲の音を聴きながら使えるのが特徴だ。
デメリットは、音圧が出しにくい点。大きな振動を出そうと思うと電力が増えてしまったり、振動が音漏れにつながったりする。また、フィット感が悪いと震えくすぐったく感じたり、騒音の中では音がやや聞きにくくなる面もある。音質はかなり改善しており、以前のようにナローレンジで音楽に適さない印象はない。高音質も狙えるものに進化している。防水性能も出しやすく、ランニングやウォーキングといった体を動かす用途にも適している。
骨伝導ヘッドホンというとShokzの製品が有名で、ポタフェスでも「Open Run Pro 2」という製品の展示が大きく展開されていた。Open Run Pro 2は空気振動と骨伝導を組み合わせて高音質化を図っている製品で、約30gと軽量。再生時間も連続12時間と、かなり長く設定されている。IP55相当の防水にも対応して、価格は2万円台後半だ。
また、振動を伝える方法の違いで「軟骨伝導」という異なる仕組みもある。伝達経路の違いから、骨伝導のように音圧を上げなくても比較的音を聞き取りやすいのが特徴だ。頭蓋骨ではなく、耳介軟骨を介した振動で音を伝えるため、装着も軟骨部分に軽く触れるだけでいい。オーディオテクニカの「ATH-CC500BT2」はその第2世代。
さらに音圧を高めているほか、LE Audioにも対応。連続20時間の再生(10分の充電で120分の急速充電)、10時間の通話にも対応するスタミナモデルだ。価格は2万円台前半。
Open Run Pro 2やATH-CC500BT2は、左右がつながったヘッドバンド型だが、完全ワイヤレスもある。現在GREEN FUNDINGで支援を受け付けている「EO SPACE」は、骨伝導と空気振動の両方に対応した面白い製品だ。これは高音質かにも音漏れ防止にも効果がある。
このように骨伝導イヤホン/ヘッドホンはどんどん改良されており、デメリットである音圧の取りにくさ、レンジの狭さ、音漏れなどの対策が進んでいる。ポタフェスではその進化の一端を垣間見れた。
デザイン性も兼ね備えたイヤーカフタイプ
一方、耳をふさがないイヤホンが世の中で知られるようになるきっかけはイヤーカフタイプの製品とも言える。本体はクリップのような形状で、耳穴ではなく、耳のふちの部分に装着。耳穴から少し離れた位置から耳穴を狙って音を出す。その際には音量を絞るため、外音の聞きやすさと音漏れの両方を防げる仕組みだ。
空気振動で音を発生させるので、一般的なイヤホンと同じドライバーが使え、高音質。デザインにも気を配った製品も多く、選ぶ楽しみもある。一方で、耳に挟むための着脱に少し手間がかかる。耳に対して音がしっかり飛ばないと音質が悪くなるので調整が少し大変という面がある。また、装着部分が固かったり、本体が大きかったりすると長時間の装着が辛く感じたりするので、使う人(自分)と相性のいい製品に出会えるかが重要とも言える。
ファーウェイの「HUAWEI FreeClip」はデザイン性に優れた製品。イヤホン単体の軽さは約5.6g。約8時間の連続音楽再生に対応する(ケース充電込みで約36時間)。IP54対応でBluetoothはSBC/AAC/L2HCコーデックに対応。通話品質にもこだわっている。実売価格は2万円台後半。
JVCケンウッドの「HA-NP1T」は音アクセという製品の特徴をよく示すキャッチで訴求されている。通常イヤーカフ型では前後をつなぐ部分に弾力のある素材を使うことが多いが、この製品ではデザイン重視でメタリック塗装をしたいとのことで敢えて硬い素材とし、その代わりに両端をバネを使ってしっかりと抑える仕組みにしているという(フレキシブルアジャスト)。装着感はよく、音も中高域がきれいで、JVCケンウッドらしい色彩感あふれる華やかな音色が魅力に思えた。
また、10mm口径と大型のドライバーを搭載し、低域なども豊かに再現できる。小さな耳の人でも合う小型形状とのバランスが開発に苦労したところだという。イヤホン本体の重さは約4.9g。本体のみで8時間の連続再生、ケース充電込みで最大約24時間の利用が可能。BluetoothコーデックはSBCとAACに対応。実売価格は2万円弱
参考展示されていたラディウスの「H10BT」(仮)は、2月の発売を予定しているヒアスルーモデルで、6000円以下の低価格を目指しているという。同ブランドでは骨伝導をハイエンドに位置付け、空気振動モデルはより手軽にというコンセプトだそうだ。柔らかいブリッジ仕様で、付け心地に拘っている。イヤーカフタイプは装着部が硬めで、耳を伸ばさないと入らないものも多くその手間を減らそうとしている。
チタニウムコーティングの振動板も用いており、コスパの高さをアピール。 実際に聞いてみたが、解像感が高く聞こえ、特に金属音などの鋭い表現が印象的だった。BLuetoothコーデックはSBCとAAC。音漏れも非常に少なく、かなり高く音量を設定していても大丈夫そうだ。イヤーカフのデザインで耳に鎮座する、猫バージョンも期待したいところだ。
耳の近くに小さなスピーカーを置く感覚のイヤースピーカータイプ
左右独立型では、イヤーフックでドライバーを固定するタイプのヘッドホンも種類が多い。スポーツ系を含めて選択肢は多彩。音質重視ではエミライが扱っているCleerのほか、JBLなどさまざまなブランドの製品が選べる。
ドライバーを耳の外側に置くタイプで、スピーカーに近い音場の広さが得られ、構造的にイヤーカフ型よりも大型のドライバーを使いやすいため、低域などの再現も有利だ。逆に充電ケースが大きくなり、本体が重くなってしまうのは難点だが、重さについてはイヤーフックで耳にしっかり固定できるので、一度装着してしまえばあまり気にならない面がある。
むしろ安定して装着できて良いと感じる場合が多い。とはいえケースはイヤホンとしてはかなり大型になるので、荷物を減らしたいという人にはあまり向いていないかもしれない。
クリエイティブメディアの「Outlier Go」は、7980円と比較的入手しやすい価格の製品。可動域が広く水平方向だけでなく、垂直方向にも回転して耳に対する最適な位置を探れる。耳掛け型なので、長時間の装着でも気にならず、聴くスポットが広くマッチしやすい設計になっているのが特徴だ。
デザインの面白さもある新感覚の完全ワイヤレス
NTTソノリティの「nwm DOT」はデザイン性を重視したオープンイヤータイプの完全ワイヤレスイヤホン。安定感のあるイヤーフック型の派生だが、円を貴重としたデザインが特徴的でフックにイヤーピースのようなシリコンパーツも付けている。
ポイントは音漏れの少なさ、再生時の背圧をうまくコントロールして、周囲に漏れる音をキャンセル仕組み(PSZ)を取り入れている。周囲の騒音をキャンセルする代わりに、イヤホン側から出るノイズをキャンセルするので考え方はANCの逆と言ってもいい。これを物理特性だけで実現しているのが面白い。ドライバーは12mmと大型。重量は片耳8gで、IP54相当の防水に対応。SBC、AAC、LC3コーデックに対応。本体のみで約8時間の利用が可能。実売価格は2万円台半ばだ。
イヤーピースの工夫で、音漏れと外音の聞こえを両立
Nintendo Switch関連の純正アクセサリーとして展開している、マックスゲームズ(製造Move)の「Dual Duct Gaming Earphone」は、手軽に買えるゲーミングアクセサリーだが、実は特許技術を採用し、かなりこだわった構造になっている。
イヤーピースに相当する装着部は2段階の構造になっていて、まず耳に触れる部分はリングでサポートする仕組み。イヤホンの音を伝える軸にかぶせる仕組みになっていて、ここに内側の穴と側面のスリッドとして設けたダクトが設けられている。
要するに音自体は先端から耳穴の近いところに届けつつ、外音は遮音せず、自然に周囲の音も聞けるようの隙間を効率よく開けているのがポイントだ。また単に周囲の音を聞けるだけでなく、かなり大音量に上げても音漏れなどは抑えられる。
結果、会話なども可能で、ゲームの音をスピーカーで聞きながら、友達と話しているような感覚で使える。有線タイプで3980円で6月から販売されている。Nintendo Switch専用とうたっているが、プラグ自体は3.5mmなのでジャックが適合すれば他の機器でも活用できそうだ。
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