RTX 4070 Ti SUPER&キャプチャーカード搭載ゲーミングPC、本格実況配信を始めるならコレが鉄板か
ASCII.jp / 2024年12月22日 10時0分
前回に引き続き、サイコムの配信者向け水冷ハイエンドPC「Lepton WSZ890 Stream Box」をレビューする。「配信ができる」という意味で言えば、いまやほとんどのゲーミングPCが可能だろう。しかし、本機の最大の特徴はキャプチャーカードを標準装備していること。
PCゲーム配信はもちろんのこと、外部のゲーム機の映像を取り込んで配信できる。PCゲームを配信する場合、ゲーム用と配信用でPCを分けるのも手だが、本機なら1台でまかなえるだけの実力がある。今回はベンチマークテストでその性能をお見せしよう。
小型の簡易水冷CPUクーラーで大丈夫?
Lepton WSZ890 Stream Boxの構成で気になるところと言えば、CPUクーラーだ。ファン回転数がひんぱんに変化せず、騒音に悩まされにくい簡易水冷モデルなのだが、ラジエーターサイズが120mmと小型となる。
CPUの「Core Ultra 7 265K」は20コア/20スレッドの高性能PC向け。それだけに、このCPUクーラーで十全に性能が引き出せるのかは気になるところ。
そこで、まずは「CINEBENCH 2024」を用い、最大性能と高負荷時の温度をチェックしてみよう。CINEBENCH 2024はCGレンダリング性能を測るベンチマークソフトで、全コアに高負荷をかけられるテストもある。
全コアを使用するMulti Coreテストが1895pts、1つだけ使用するSingle Coreテストが121ptsだった。加藤勝明氏のレビュー記事「Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る」と比べると、低めのスコアーに見える。しかし、これはCPUの電力制限(PL1/PL2)の設定が異なるためだ。
Core Ultra 7 265Kの本来の電力制限はPL1が125Wで、PL2が250Wになる。つまり、Lepton WSZ890 Stream BoxではPL1の値が高めの設定になっているということ。これはサイコムの自信の表れだろう。
しかし、前述のレビュー記事の検証環境はマザーボードの「Performance Profile」が適用されており、PL1は250Wになっている。PL1の値はCINEBENCH 2024のような長時間全コアに負荷をかけるソフトでは、がっつりと影響を受けるのでいたしかたなしだろう。
とはいえ、PL1=159W設定にも理由がある。PL1の値を上げればCPU温度は上がるし、それを冷やそうと動作音も大きくなる。では、CINEBENCH 2024のMulti Coreテスト終了直前のCPUの温度をHWiNFO64 Proで見てみよう。
CPUパッケージ温度は最大96度。CPUが熱くなりすぎると、動作クロックが強制的に下げられるThermal Throttling(サーマルスロットリング)が発動してしまうが、PL2動作時でもギリギリ回避できているようだ。
なお、PL1に切り替わった後は約78度で安定していることから、120mmラジエーターの簡易水冷クーラーでも十分冷却が間に合っていると思われる。高性能CPUの冷却にはラジエーターが小さいのではと不安があったが、問題なく利用できそうだ。
タイトルによっては4Kプレイもイケるゲーミング性能
ここからはゲーミングPCとしての実力に迫ろう。まずはゲームで重要な3Dグラフィックス性能を定番ベンチマークの「3DMark」でチェック。多数のテストが用意されているが、その中でもとびきり重たい「Speed Way」の結果から。
スコアーは6115と、さすがGeForce RTX 4070 Ti SUPERといったところ。WQHD(2560×1440ドット)なら高画質で遊べ、4K(3840×2160ドット)でもタイトルによっては快適にプレイできるだけの実力がある。ほかのテスト結果は以下にまとめておいたので、性能比較の参考にしてほしい。
続いて、実際のゲームに近いベンチマークとして、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)も試してみよう。軽量なため、画質設定はプリセットの「最高品質」、解像度は4Kとした。
スコアーは12312で、評価は「とても快適」。重たい設定にしてもまだ余裕があり、ゲームに影響がないレベルで快適に遊べるだろう。レポート出力機能で詳細を見てみると、平均フレームレートが約86.5fps、最低フレームレートは52fpsだった。
さらにフレームレートを上げるには解像度か画質を落としてもいいが、GeForceならDLSSも手段の1つ。これは低解像度で計算し、表示する前に超解像化などを行ってアップスケーリングすることで、高い画質を維持しながらフレームレートを引き上げるという機能だ。
DLSSを使用すると、スコアーは20160と大幅に上がり、評価も最高の「非常に快適」となった。また、平均フレームレートは約142.7fps、最低フレームレートも73fpsとかなり改善。多くのシーンで不安なくプレイできるだろう。
では、重量級のゲームではどうか? 美麗なグラフィックと適度な難易度で人気となった「黒神話:悟空」のベンチマークツールを試してみた。PCの性能に合わせて快適に動作する設定も選べるが、今回は解像度を4K、画質レベルを「最高」、フルレイトレーシングを「中」、DLSSを有効にしてサンプリング解像度を「50」で試した。
平均フレームレートは78fps、95パーセンタイルでも71fpsと60fps以上をキープ。これならほとんどのシーンを滑らかな表示のままプレイできるはず。DLSSを使用しているとはいえ、4K・高画質設定でこの結果は好印象だ。
ゲーム配信・録画をやってみた
Lepton WSZ890 Stream Boxは配信者向けだけに、ゲーム配信時にどのくらいの負荷がかかるのかは気になるところ。CINEBENCH 2024のように、CPUの全コアに高負荷がかかり続けるということはないと思うが、配信負荷の影響でゲーミング性能が下がる可能性はある。
そこで、「OBS Studio」を使い、ストリーミングサービス「Twitch」で配信した場合のCPU負荷を調べてみた。出力解像度は4K(60fps)、配信用の映像ビットレートは「6000Kbps」、映像エンコーダーを「ソフトウェア(x264)」、エンコーダープリセットを「fast(高いCPU使用率、高品質)」に設定。
なお、エンコーダーはハードウェア支援を使うほうがCPUの負荷は軽くなるが、今回は純粋にどこまでCPUの影響が出るのか知りたかったので、あえてソフトウェアを選んでいる。また、配信と同時に録画も実行。こちらの設定は、録画品質を「超高品質、ファイルサイズ大」、映像エンコーダーを「ソフトウェア(x264)」とした。
この設定のOBS Studioで配信・録画しながら、黒神話:悟空ベンチマークツールを先と同じ設定で動かし、CPU負荷とフレームレートの変化をチェックしてみよう。
なお、せっかくキャプチャーカードを装備しているので、こちらも使ってみた。具体的には画面右下に別PCの画面をワイプで表示し、YouTubeの動画をフルスクリーンで再生することにした。
CPU負荷はOBS Studioを動かしているだけで13%前後。配信と録画を始めると、28%前後まで上がることが確認できた。この状態で黒神話:悟空ベンチマークツールを動かしてみたところ、CPU負荷は65%前後まで上昇していた。
CPU全体の使用率を見るとまだ余裕があるように感じるが、各コア別にみると、Pコアはがっつり稼働していた。では、黒神話:悟空ベンチマークツールの結果も見てみよう。
平均フレームレートは65fpsで、95パーセンタイルは58fpsと、配信・録画をしていない時よりも13fpsほど減少していた。しかしながら、このフレームレートならほぼ問題なくゲームが遊べるレベルだ。
そして、もちろんこれはソフトウェアエンコーダーでCPUにがっつり負荷をかけた場合のお話。配信か録画のどちらか、あるいは両方でハードウェアエンコーダーを使えば、フレームレートへの影響はもっと軽微になるだろう。
まとめ:実況配信を本格的に始めたい人なら鉄板の1台
PCゲームの配信は1台のPCでも気軽に始められるが、別のPCやゲーム機といった複数の画面を組み合わせたければ、キャプチャーデバイスが必要になる。自分で購入して増設してもいいが、PCに不慣れな人なら難しく感じてしまうだろう。
Lepton WSZ890 Stream Boxなら、そうした人でも手軽に本格的なゲーム実況配信ができるようになる。配信でもゲーミングでも、こわだればこだわるほど専用デバイスが増えていくが、それらを余裕で受け止めてくれるインターフェースの多さも実に心強い。
なお、今回ご紹介した試用機材は高価な構成になってしまったが、標準構成でもフルHDゲーミング&配信・録画なら余裕でこなせる実力がある。本格実況配信デビューを狙うなら、筆頭候補に挙げたいPCだ。
ちなみに、サイコムは現在「サイコム 冬の特大キャンペーン2024」を開催中だ。Lepton WSZ890 Stream Boxなら標準構成でも今回の試用機構成でも、送料無料と対象ストレージの値引きで実質9920円引きとなる。キャンペーンは2025年1月20日までなので、ぜひこの機会をお見逃しなく。
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