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1月15日、日本の最新AI研究の成果がここに集う!

ASCII.jp / 2024年12月28日 9時0分

次々に新しいものが出てくるAI分野 日本の最新の研究状況は?

 OpenAIが12月9日に一般向けに公開した「Sora」では、最長20秒の動画を生成できるようになった。Google、Appleほか各社も次々に新しい生成AIをリリースし、新たな機能を追加する一方、中国企業からも多種多様な生成AIが公開されている。

 では日本はどうか?

 我が国でも、すでに多くの企業がLLMを自社開発したり、サービスに実装したりしているが、実はそれらサービスレベルでの実装とは別に、研究開発の面でも、いま大きな進展が得られている。

 産業技術総合研究所(産総研)人工知能研究センターでは、「共進化AI」をキーワードとして、人とAIが協調して問題解決に取り組み、その過程を通じて両者が共に向上していく社会の実現を目指している。そして2020年より、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託による「実世界に埋め込まれる人間中心の人工知能技術の研究開発」プロジェクトを実施してきた。

 このプロジェクトでは、 ・人と共に進化するAIシステムの基盤技術 ・容易に構築・導入できるAI技術 の2つの主要なテーマにおいて、研究開発を行ってきた。いまの生成AIのベースにあるLLM(大規模言語モデル)のように容易に構築・導入ができ、そして人と入れ替わるのではなく、人と共に進化するAIという意図で、多様なAI群の大規模な研究・開発を行ってきたのだ。

説明可能なAIをさらに進めた 判断根拠図鑑

 人と共に進化するAIシステムの基盤技術の開発においては、AIと人間の相互理解を深めることと、AIやロボットが実世界で人間と協調する場の構築を図ってきた。

 そして相互理解を深める研究としては、例えば「判断根拠図鑑」の構築。説明可能なAI(Explainable AI:XAI)を一歩進めて、専門家の持つ知見を判断過程に反映する、かつAIの判断過程から専門家に新たな知識を得てもらうために、AIがどのように判断したのかを可視化した図鑑を作成する。病理画像診断の例でいえば、訓練済みAIが教師データから代表的な画像をクラスタリングして並べ、どのように観察したのかを表す図鑑を作成。病理医がこれを評価することで、双方の知識の向上を図れる。

判断根拠図鑑をもとにした診断補助AIの活用イメージ。AIの判定結果に対して、病理医が教示することで、精度をさらに上げられる

 人間と協調する場の構築を目指す研究では、環境全体を再現するデジタルツインや、人間の知識とAI・ロボットの目的や行動を融合するワールドモデル(世界モデル)の構築をベースとする。そのうえで、例えばロボットの視覚情報と環境中の物体の意味を、ニューラルネットワーク内で特徴表現として融合する技術を研究。他の部屋にあるノートPCを従来手法より効率的に探索できるロボット向け手法を開発した。

緑と紫の丸印が初期位置と対象物の発見位置で、四角の色(黄色から赤へ)は各位置での行動数を表している。右の提案手法のほうが、隣の部屋のノートPCをスムーズに発見している

数式で生成した画像での学習で 高精度な基盤モデルを構築

 容易に構築・導入できるAI技術の開発では、大量の学習データから基盤モデルを作り、それぞれの分野に実装する際には、各分野の実際のデータで追加学習することで、ゼロから大規模なデータで学習する必要はなく、容易に構築できるAIを目指す。これはLLMと、それをもとにした追加学習、といった構造と類似する。

 例えば画像認識。今回の成果では、実画像ではなくシミュレーションで生成した画像(例では数式で生成したフラクタル画像)をもとに学習することで、実画像のデータ数や倫理・権利関係の課題、またラベルを付けるコストを不要とする技術が開発され、実画像を用いた学習済モデルと、同等もしくはそれ以上の高い精度がすでに得られている。

実画像で学習した学習済モデルと、数式で生成したフラクタル画像、および輪郭形状で学習したモデルに、ImageNetの一般的な物体の画像の認識をさせた結果、今回のモデルの精度のほうが高くなった

 そして、開発した学習済モデルを、実装したい分野の少量データで追加学習することで、精度が高くかつ開発が容易なAIを提供できる。今回の例では、開発した画像基盤モデルに追加学習することで、専門医に匹敵する膀胱内視鏡診断支援AIを開発した。数式から生成したフラクタル画像と輪郭形状で学習した画像基盤モデルに、病変と正常な実際の膀胱内視鏡画像を学習させた結果、専門医に匹敵する精度が得られた。

2種類の自動生成画像で構築した基盤モデルをベースに、少量の膀胱内視鏡画像を追加学習して診断AIを開発

産総研の最新AI研究の 展示+ピッチトーク

 産総研が国内外の大学・研究機関、企業やその他公的機関とも連携・協働しながら大規模な研究開発を行ってきた、これらの「実世界に埋め込まれる人間中心の人工知能技術の研究開発」のプロジェクトが今回最終年度を迎えたことから、その成果を発表する最終成果報告会が開催される。

 報告会では、上記の研究を含めた24種類の研究テーマの展示、およびピッチトークが開催され、多様な最新のAI研究事情を一気に把握することができる。

 我が国のAI研究の最前線を見ることで、自身の研究に資する情報を得たい研究者や、新規事業・ビジネスのヒントを得たい企業担当者は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。  

開催概要

開催日時: 2025年1月15日(水)12:30~17:35 開催場所: 東京国際交流館 プラザ平成(東京都江東区青海2−2−1) 主催: 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 共催: 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 概要: 講演・ピッチトーク、24件の研究テーマの展示 参加費: 無料 備考: 対面での開催のみで、オンライン配信等はなし 参加申し込み: こちらのフォームから申し込み 講演等スケジュール:  12:30~ 受付開始  13:00~13:05 開会挨拶   産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 領域長 田中 良夫氏  13:05~13:10 共催者挨拶   NEDO AI・ロボット部 部長 高田 和幸氏  13:10~13:40 プロジェクトリーダによる講演   産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 フェロー 辻井 潤一氏  13:40~15:10 ピッチトーク(3分×24展示ブース)  15:10~17:25 ブース展示  17:25~17:35 閉会挨拶   産業技術総合研究所 人工知能研究センター センター長 片桐 恭弘氏

  

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