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2025年のモバイル業界や格安SIMはSIMだけ乗り換えがさらに広がる? 値下げよりサービス内容や通信品質が問われる時代に

ASCII.jp / 2025年1月5日 12時0分

 2025年の格安SIMはどうなるのか。スマートフォン販売と各種値引き、さらに3大キャリアの動向はどうなるのかを予想した。

スマートフォンを安く買う方法が少なくなり、割引は複雑化

 2023年に続いて2024年も年末ぎりぎりに総務省がガイドラインを改正して、販売ルールが変更された。こうしてスマートフォンの買い方の自由が狭められていく。何を目指しているのかという議論はともかく、さらに複雑化し、ワケがわからなくなっている。

 今回の変更では、値引額の算定根拠となる中古買取価格の基準をRMJ(一般社団法人リユースモバイル・ジャパン)という中古端末を取り扱う企業が加盟する業界団体の平均値を利用することになった。

格安SIM
2年後の買取り予想価格は業界団体の平均買取額から算出するよう求められている。ソフトバンクはパブリックコメントでフリマアプリなどとの乖離を主張したが通らなかった

 従来は通信事業者が予測した金額だったので高めになることもあったが、RMJの数値を使うことで2年後の残価が低くなる傾向となり、最初の2年間の支払いを低くして、返却で残債免除とする分割払いがしにくくなる。

 続いては、ミリ波対応のスマートフォンの値引き上限額がアップする(最大1万5000円引き上げされ5万5000円に。割引額は以下すべて税抜)。iPhoneはもちろんAndroidのハイエンド機もミリ波非対応が主流になっており、こちらはあまり影響はないのかもしれない。

 大きな影響があるかもしれないのは、新規契約者に一定期間の割引を認める、通称「お試し割」の解禁だ。このお試し割では、端末購入をともなわない回線のみの契約者に対して、最長6ヵ月の期間に最大2万円まで割引ができる。2024年に話題になった月3000円で30GBのプランなら、加入半年間は無料にすることが可能という計算だ。

それでも、スマートフォンを安く買う方法は残るはず

 このように値引きの規制はされるものの、スマートフォンを安く買う方法は残ると思われる。なぜなら、スマートフォンの価格が高額化することにより、中古価格も上昇し、買取価格も高くなるからだ。

 実際、一括1円で大量にスマートフォンが売られていた時代に比べ、中古価格は高くなっている。たとえば、iPhone SE(第2世代)は2021年から2022年にかけて未使用中古機が2万9800円前後で大量に売られていた。

 ところが、それから3年たった今、状態が良いiPhone SE(第2世代)の中古機は2万円を下ることはなく、非常に状態が良ければ3万円近い。OSのアップデート期間が長く、古い機種でも使いやすいiPhoneだからこそ相場を下支えされているが、Andorid機でも低額で買い取られていたのに、2024年に買取相場が上がっている機種もある。

 また今後、スマートフォンを安く買う方法が少なくなることで、買い替えサイクルが長くなり中古機自体の流通が少なくなりそうだ。その場合も中古価格は上がりそうだ。

 このサイクルが動き始めると、前述のルールにあてはめて、2年後の中古買取価格が上昇すれば、最初の支払額を低く設定した分割払いがしやすくなるだろう。

 なお、参考までに新ルール初日の2024年12月27日の時点では、店頭でiPhone 16のMNPでの価格は、最初の2年間は毎月800円前後の24回払いというものだった。iPhone 15なら月200円前後×24回で大きく変わってはいなかった。

回線自体はSIMだけ乗り換えがさらに増える

 スマートフォン側の買い替えサイクルが伸び、一般の消費者も中古機の購入を視野に入れるようになってくると、端末と回線の関係も変わってくる。一般ではまだまだ端末と回線はセットと考えている人が多いが、その認識も崩れていく。

格安SIM
キャリア側も「SIMだけ乗り換え」のユーザーが増えていることを認識し、キャンペーンも展開するようになってきた。こうした層が一気に広がることはあるだろうか

 そうなると、端末だけ購入する、回線だけ新しくするという例が増えるだろう。現在でも「SIMだけの加入で2万ポイント進呈」といったキャンペーンや広告は多く出されており、さらに「お試し割」が登場してくれば、さらにSIMだけの乗り換えは増えるはずだ。

 回線と端末がセットという固定観念がどれだけ崩れるかはわからないが、現実的にSIMロックがなくなって期間も経過していること、iPhoneなら対応周波数などでのデメリットがないことから、気づけば広がっているという素地はある。SIMだけ乗り換えする人が急に増える可能性は十分考えられる。

MVNOは体力差や各種キャンペーンへの取り組みの差が顕著に

 本連載の主な話題でもあるMVNOの格安SIMはどうなるか。残念ながら体力勝負になってきており、脱落者が出てきても不思議ではない。

 たとえば、加入時にスマートフォン購入割引などのキャンペーンを手厚くやっている事業者もあればそうでない事業者がハッキリしてきた。一方で、そういった割引を排除し、純粋に毎月の利用料で勝負しているところもある。

 具体的には、キャンペーンに積極的なのがIIJmio、散発的であるが加入時の回線割引を展開するのがmineo。そして、割引を排除して毎月の料金を下げている日本通信SIMやHISモバイルなどだ。ところが値下げも加入キャンペーンの両方をあまりしないMVNOも見られる。

格安SIM
端末割引に引き続き積極的なのがIIJmio。SIMフリー機をお手頃価格で入手したいユーザーには強い味方だ

 いずれにせよ、これからはより体力勝負という度合いが高まっていくに違いない。3大キャリアとそのサブブランドが、月30GBで3000円というプランで攻勢をかけているうえに、加入時のポイントやさらに「お試し割」まで導入し始めると、特に対策を打たないMVNOでは勝ち目は限定的になる。

端末購入以外の質やサービスが求められる2025年

 端末の割引が少なくなり、SIMだけ乗り換えが広がると、回線品質やその品質に対した料金で勝負になる可能性がある。通信回線とは本来そういうものではあるのだが、今後はさらに重要視される傾向が進みそうだ。

 一方で、主要3大キャリアはユーザーの囲い込みに躍起だ。モバイル回線と固定回線だけでなく、電気/ガス/クレジットカードときて、コード決済という日常の買い物まで密接に関わった料金プランも登場し、トータルでのオトク感を出すようにしている。この流れは2025年も変わらないだろう。

 どのサービスを選べばオトクなのかは個々のユーザーの使い方次第だが、どちらにせよスマートフォン販売以外の項目が重視される、そんな時代へと変化が始まるという2025年と予想している。

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