インテルがCore Ultra 200HX/H/Uシリーズを発表、285HXの性能は前世代から最大41%向上
ASCII.jp / 2025年1月6日 23時0分
2025年1月6日23時(日本時間)、インテルはCES 2025において、新CPUを発表・拡充しました。デスクトップPC向けは別記事で触れるとして、本稿ではノートPC向けCPU「Core Ultra Mobile Processors(Series 2)」についてご紹介します。
Core Ultra Mobile Processors(Series 2) ・Core Ultra 200HXシリーズ(開発:コードネーム:Arrow Lake-HX) ・Core Ultra 200Hシリーズ(開発:コードネーム:Arrow Lake-H) ・Core Ultra 200Uシリーズ(開発:コードネーム:Arrow Lake-U)
なお、少々ややこしいのですが、Core Ultra Processors(Series 2)は、デスクトップPC向けとノートPC向けがあり、ノートPC向けのことをCore Ultra Mobile Processors(Series 2)、デスクトップPC向けはCore Ultra Desktop Processors(Series 2)と呼びます。
エンスージアスト向けのCore Ultra 200HXシリーズ
Core Ultra 200HXシリーズはエンスージアスト向け。つまり、強力なdGPUと組み合わせて超快適なゲーミング体験や、高速な動画編集ができるハイエンドノートPC向けになります。採用製品は第1四半期後半に登場する見込みです。
「Core Ultra 9 285HX」「Core Ultra 9 275HX」「Core Ultra 7 265HX」「Core Ultra 7 255HX」「Core Ultra 5 245HX」「Core Ultra 5 235HX」の6種類をラインアップ。 ベースはデスクトップPC向けで先行している「Arrow Lake」(すなわち、PコアがLion Coveで、EコアがSkymont、ハイパースレッディングはなし)。ゆえに、Core Ultra 9は24コア/24スレッド(Pコア8基、Eコア16基)、Core Ultra 7は20コア/20スレッド(Pコア8基、Eコア12基)、Core Ultra 5は14コア/14スレッド(Pコア6基、Eコア8基)になります。
最上位のCore Ultra 9 285HXはPコアの動作クロックが最大5.5GHzと、デスクトップPC版(Arrow Lake-S)の最上位である「Core Ultra 9 285K」と同等な点がおもしろいです。まあ、Processor Base Power(以下、PBP)は55W、Maximum Turbo Power(以下、MTP)は160Wなので、性能は同程度というわけにはいきませんけどね。 ちなみに、前世代のRaptor Lake-H Refleshと比べると、シングルスレッドで5%以上、マルチスレッドで20%以上の性能になるそうな。Cinebench 2024のMulti Coreテストの場合、Core Ultra 9 285HX対Core i9-14900HXで最大41%向上したそうだから驚きです。
また、デスクトップ版と同様、インテル800シリーズチップセットにDMI(PCIe 4.0×8)で接続して運用します。NPUの処理性能は13.1TOPSで、残念ながら「Copilot+ PC」の要件(40TOPS)を満たせません。しかしながら、dGPUありきのシステムで運用することが大半なことを考えれば、事実上AI処理の性能において特に困ることはなさそうです。
LP EコアやXe-LPG+を内蔵するCore Ultra 200Hシリーズ
Core Ultra 200HシリーズもArrow LakeベースのCPUですが、こちらはPBPを28W/45W、PBPを60W/115Wに抑えたCPUになります。ターゲットは薄型軽量ノートPCなので、幅広いモデルで採用されそうな予感。こちらは第1四半期初頭に採用モデルが発売するそうです。
種類は「Core Ultra 9 285H」「Core Ultra 7 265H」「Core Ultra 7 255H」「Core Ultra 5 235H」「Core Ultra 5 225H」の5つ。Core Ultra 9 285Hのみ、PBP=45W、MTP=115Wのスペシャルモデルになります。
2基のLP EコアやIntel Arc Graphics(Xe-LPG+、Xeコアは8基)を内蔵する変わり種で、Arrow Lakeというよりも前世代のノートPC向けのMeteor Lake-Hに近い構成となっております。 とはいえ、AI向けのエンジンであるIntel Xe Matrix extensions(XMX)を採用しており、新世代感はあります。グラフィック性能もシングル/マルチスレッド性能も、前世代のMeteo Lake-Hから15%以上向上しているとのこと。
こちらもNPUは11TOPSとLunar Lakeと比べると物足りない印象ですが、そこは先行している「Core Ultra 200Vシリーズ」との差別化なのでしょう。
廉価なノートPC向けのCore Ultra 200Uシリーズ
Core Ultra 200UシリーズもCore Ultra 200Hシリーズと同様、2基のLP Eコアを搭載。一方で、内蔵GPUはIntel Graphicsに格下げしているので、バリューゾーンを意識したモデルと言えましょう。PBPは15W、MTPは57Wなので、薄型軽量なモバイルPCにも採用されそうです。
「Core Ultra 7 265U」「Core Ultra 7 255U」「Core Ultra 7 235U」「Core Ultra 5 225U」の4種類ラインアップ。いずれもPコアは2基、Eコアは8基、LP Eコア2基の12コア/14スレッド構成です。「ん?Arrow LakeなのにPコアのハイパースレッディングが有効になってる?」と思った諸氏は、ご明察です。 おそらく、このCore Ultra 200Uシリーズのみ、設計的にかなりMeteo Lake-Uに近い(というかリフレッシュ版?)のではないかと思います。となると、アーキテクチャーはPコア=Redwood Cove+Eコア=Crestmont(あるいはその強化版?)になるので、「Arrow Lake」と言うにはちょっと無理がある気もしますが、資料にはそのへんが一切記載がないので現時点では謎です。
また、Core Ultra 200Uシリーズでは、「Discrete Thunderbolt 5」のサポートはなさそうです。なお、「PCIe Gen 5」と表記がありますが、前段の詳細仕様では省かれているので、どちらかが誤記かと思われます。
vProに対応したCore Ultra 200Vシリーズ
なお、Core Ultra Processors(Series 2)では先行して、Core Ultra 200Vシリーズが発表され、すでにそれらを搭載したノートPCが発売しております。今回はそのIntel vProプラットフォーム対応版が登場しました。
ラインアップは現行モデルと同様、「Core Ultra 9 288V」「Core Ultra 7 268V」「Core Ultra 7 266V」「Core Ultra 7 258V」「Core Ultra 7 256V」「Core Ultra 5 238V」「Core Ultra 5 236V」「Core Ultra 5 228V」「Core Ultra 5 226V」の9つ。
堅牢なセキュリティーが要になるビジネス向けノートPCで採用が進むはず。今年は10月にWindows 10のサポートが終了します。情シスのみなさまにおかれましては、この機会にNPUもGPUも強いLunar Lake世代のCPUを搭載したノートPCへのリプレイスを検討してみてはいかがでしょう?
昨年12月の電撃的なCEO退任劇から1ヵ月。CES 2025において、インテルは「2025年後半の量産に先立ち、先行するIntel 18A製品を現在顧客にサンプル出荷しており、2025年以降もAI PC製品ポートフォリオを強化し続けていきます」と表明。テーマの「A Great AI PC Starts with A Great PC」(意訳:優れたAI PCは優れたPCから)の通り、AIにも引き続き注力していくと思われます。今年もインテルから目が離せません。
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