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1599ドルのRTX 4090と549ドルのRTX 5070の性能が同じ? 熱狂と興奮のNVIDIA基調講演レポート

ASCII.jp / 2025年1月7日 21時15分

GeForce RTX 5090 Founders Editionと、その基板を携えた基調講演壇上のジェンスン・ファンCEO。ワニ革風の革ジャンはステージの照明に映えるのだが、彼には正直似合わない……(個人の感想です)

 2025年1月7日(日本時間)、NVIDIAは北米ラスベガスで開催中のCES 2025で基調講演を開催。そこで、「RTX Blackwell」こと、「GeForce RTX 50シリーズ」(以下、RTX 50シリーズ)を正式に発表した。ラインアップや北米価格についてはの既報の通りだが、国内価格が公開されたのであらためてまとめておきたい。

GeForce RTX 5090……税込39万3800円~ GeForce RTX 5080……税込19万8800円~ GeForce RTX 5070 Ti……税込14万8800円~ GeForce RTX 5070……税込10万8800円~

 海外ショップのリークからGeForce RTX 5090は60万円オーバーを危惧していた向きも少なくなかったが、いざフタをあけてみれば意外なほど安かった(この時点でもうNVIDIAの術中だが)。ただし、初期入荷ぶんがはけたらガッツリ値上げというパターンもあるので安心はできない。

基調講演の会場となったMichelob Ultra Arenaの入口。入場者の列に加わり、ここまで来るのにたっぷり1時間半は並んでいた
基調講演を見ようとつめかけたプレスや業界関係者。通勤ラッシュ時の新宿駅のような混雑であった

なにもかもが新しくなったBlackwell

 まずはRTX 50シリーズのスペックをご覧いただこう。Ada Lovelace世代のGeForce RTX 40シリーズ(以下、RTX 40シリーズ)と比較するとアーキテクチャーはもちろんだが、RTコアやTensorコア、果てはNVEnc・NVDecといった機能にいたるまですべてが1世代進んでいる。  さらに、接続インターフェースもPCI Express 5.0(Gen 5)に正式対応。大手メーカー製コンシューマー向けGPUとしては世界初(真の世界初はMoore Threadsの「MTT S80」だが……)となる。RTX 5090のスペックは異次元レベルで高く、SM数はRTX 4090の約1.3倍増、GDDR7で構成した32GBのVRAMのメモリーバス幅は512bit、NVEncは3基、TGPは575Wという突き抜けたスペックだ。

NVIDIAが公開したRTX 50シリーズの情報をベースに、筆者の推測を含めたスペック表。動作クロックはNVIDIAがGHz単位でしか公開していないため、MHzの下二桁は丸めの関係で微妙に違っている可能性がある

 しかし、RTX 5080以下は割と常識的なスペックに据え置かれていた。特に、近年重要視されるVRAM搭載量とメモリーバス幅に関しては、RTX 5080で16GB/ 256bit、RTX 5070で12GB/ 192bitという既視感のあるものに留まった。例外はRTX 5070 Tiで、VRAM搭載量とバス幅はRTX 5080と同じだが、RTX 5080のほうがデータレートの高いGDDR7を採用しているのでメモリー帯域的には優越する。  ライバルメーカーが「より多くのVRAM、より太いメモリーバス幅」という方向に走る中、NVIDIAはかたくなに足まわりを絞っているかのように見える。そのためのGDDR7と言えなくもないが、ユーザーがVRAMヘビーなゲームを楽しむ上での安心感で考えると、今回のRTX 5080以下のメモリーまわりは非常に残念だと言わざるを得ない。

 また、CUDAコアの構成にも手が入っている。テクニカル面の詳細は後日開催されるブリーフィングで明らかになる予定だが、基調講演上での発表によれば、CUDAコアでもニューラルネットワークを動かせるようになったことで、今までシェーダーアプリを利用して描画コードを書いていたところに、AIを利用して処理を実行できるようになる。  「命令を組み立ててプログラムを組む」という方法がこれまでのコンピューティングにおける基礎だが、NVIDIAはニューラルネットワークがこれにかわるものと強く主張している。つまり、「ゲームグラフィックもAIを取り入れてラクができるところはもっと使っていこうぜ!」というメッセージなのだ。

RTX 4090とRTX 5070が同じ性能?どんな条件で?

1599ドルもするRTX 4090と549ドルのRTX 5070の性能が同じという表現をしたが、どう考えても普通にゲームを動かしての性能だとは思えない。何か条件があるはずだが、その根拠はまだわかっていない

 もう1つ驚いたのは、GeForce RTX 40シリーズとの性能差だ。すでに速報記事にあるように、RTX 5090はRTX 4090の2倍、RTX 5080はRTX 4080の2倍、RTX 5070 TiはRTX 4070 Tiの2倍、RTX 5070はRTX 4070の2倍とうたっている。  すなわち全セグメント「倍プッシュ」がウリなわけだが、基調講演では「RTX 4090の性能がRTX 5070で」のように表現していた。こういう言い方をする際は絶対に「AI性能で」とか「新しい○○技術を使った場合」といった注釈がつくものだが、この文言の意味については今後の検証で明らかになることだろう。

NVIDIAのサイトより引用。RTX 4090(グレー)とRTX 5090(グリーン)の4Kゲーミング性能を相対的に示したもの。レイトレーシング処理の重い「Cyberpunk 2077」や「Alan Wake 2」といったゲームで2倍以上伸びている。ただし、DLSS FGの恩恵を受けられない「Far Cry 6」ではそれほど伸びていないという点にも注目しておきたい
こちらはRTX 4080とRTX 5080の4Kゲーミング性能比較。一部のゲームで伸びが鈍化しているが、これはひとえにRTX 5090のスペックの高さによるもの。逆に考えると、メモリーバス幅をあえて据え置いたRTX 5080においても、しっかり伸びる余地はあるということだ。Far Cry 6についてもRTX 5090と同様に伸びていない
RTX 4070 TiとRTX 5070 Tiの比較はWQHDゲーミング。傾向は変わらない
こちらはRTX 4070とRTX 5070のWQHDゲーミング比較

Founders Editionはダブルフロースルーデザインで小型化

 RTX 50シリーズでは純正モデルである「Founders Edition」(以下、FE)のカード設計も大きく変化した。今までファンが表と裏に互い違いに配置されていたものが、2基とも表面に設置される「ダブルフロースルーデザイン」となった。  そして、驚くことにRTX 5090 FEのカードサイズが304×137mmかつ、2スロット厚というサイズに収まっていることだ。つまり、RTX 5090 FEは最強のSFF-Ready(NVIDIAの小型PCにおけるビデオカードやPCケースのガイドライン)なGeForceカードなわけである。TGP 575Wの怪物GPUが、こんなクーラーで冷やせるのだろうか……興味はつきない。

RTX 5090 FEのカード裏面。この角度からだとバックパネルのサイズ感から全体の大きさがだいたい把握できるだろう。次のGeForceは4スロットが当たり前かなと思っていたところに、意外なほどコンパクトなデザイン。どんな設計的工夫があるのだろうか?

RTX 50シリーズの力を解き放つ「DLSS 4」

 RTX 50シリーズならではの新機能については、基調講演上ではサラッと流された程度だったが、重要な要素なのでここで簡単に紹介しておきたい。まず、DLSS 3に含まれるDLSS FG(Grane Generation)は、1つ前のフレームと今レンダリングしたフレームを比較し、その中間を生成して挿入するという技術だ。DLSS4ではこの内挿するフレームを最大3フレームまで拡張できるようになった。  サードパーティー製のフレーム生成(も可能な)ツール「Lossless Scaling」がマルチフレーム生成の先駆けではあるが、今回DLSS 4でその機能がサポートした。この機能はRTX 50シリーズのみで利用できる。無論、DLSS 4はゲーム側の対応が必要とあるが、NVIDIAによればRTX 50シリーズの発売日時点で75本のゲームがDLSS 4に対応するという。

NVIDIAのサイトより引用。実に75本のゲームやアプリがDLSS 4に対応しているので、RTX 50シリーズ(何が最初に出るのかまでは言及がなかったが……)を手に入れた時からすでにマルチフレーム生成が体験できるという。考えてみれば、RTX 50シリーズは発表がいつもより遅かった(これまでは夏が通例)が、こういう根回しをやっていたと考えれば合点がいく
マルチフレーム生成の仕組み。ポイントは左端(最初)のフレームのあとに来る「Blackwell Flip Metering」で、RTX 50シリーズ専用機能となっている。このあたりのテクニカルな詳細は後日まとめることにしよう

 DLSS 4はRTX 50シリーズ最大の武器になるが、従来のDLSSにも強化が入っている。それぞれ頭に「Enhanced」がつき、DLSS Frame Generationなら「Enhanced DLSS Frame Generation」、DLSS Super Resolutionなら「Enhanced DLSS Super Resolution」となる。EnhancedなDLSSは基本的に画像の安定性(チラつきなどが出にくい)が向上し、ディテールアップが期待できる。  まだ多くの機能はベータではあるが、GeForce RTX 20シリーズ以降で利用できる(Frame GenerationだけはRTX 40シリーズ以降)点がうれしいところ。筆者としてはAMDのAFMF 2のようなゲーム側の対応を考えずに利用できるフレーム生成機能がなかった点が気になったが、画質はフレームレートや応答性(システムレイテンシー)と同様に大事な要素というNVIDIAのポリシーを考えれば、AFMF 2のような技術は不要と判断したと思われる。

DLSS技術のまとめ。RTX 50シリーズなら全部使えるが、GeForce RTX 20/30シリーズであっても、Enhanced Ray Reconstruction以下3つの新DLSSに対応する

技術的詳細は後日

 以上でNVIDIAにおける基調講演のレポートは終了だ。GeForce以外にもAI関連やロボティクス、自動運転系の話が山盛りだったが、今回はここまでとしたい。次回は今回カバーできなかったRTX 50シリーズのテクニカルな情報について、取材を交えてさらに深く潜っていく。

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