従来比2倍の低音に驚く、Sonos最上位サウンドバー「Sonos Arc Ultra」は絶対体験すべき仕上がりだ
ASCII.jp / 2025年1月16日 16時0分
昨年10月、Sonosがグローバル向けに発表した最新のサウンドバーが「Sonos Arc Ultra」だ。その国内販売が、新型サブウーファー「Sonos Sub 4」とともに1月24日に始まる。予約はすでに1月10日から受け付けている状態で反応も上々だという。
また、1月15日には、国内のプレス関係者向けに技術解説と体験会も開催されている。その内容からSonos Arc Ultraの魅力を探っていこう。
Sonos Arc Ultraは重低音(50Hz)の再現力が2倍に
Sonos Arc Ultraは、Dolby Atmosに対応したSonos最上位のサウンドバーだ。2020年に国内発売した「Sonos Arc」をうわ回るパフォーマンスを持ち、内蔵するドライバー数も11基から14基に増えた。それぞれのドライバーは独立したアンプで駆動され、単体で9.1.4chの空間オーディオ再生が可能となっている。
その最大の特徴が「Sound Motion」という独自開発のドライバーだ。
高さが低いサウンドバーの筐体に収まる、薄型のボックス形状でありながら、大口径ユニットに匹敵する高い低域再現力を持つという触れ込みだ。メーカーの発表では、50Hzの重低音で比較した場合、Sonos Arcの倍の音圧が出せるという。
構造も面白い。ユニットは平たい形状で、上下に対向配置した四角い振動板が配置されている。その四隅にはモーター(アクチュエーター)があり、対角線上に並んだ2つがステイで繋がっていて同時に動作する。一般的なドライバーユニットは振動板の背面にボイスコイルなどの駆動部分があるが、高さを抑えるため駆動部分を側面に置いているわけだ。2つの振動板を向かい合わせに配置しているのは、空気を動かす面積を増やし、薄型でも効率よく低域を出せるようにすることに加えて、お互いが逆に動くことで大きく振幅されてもその力がキャンセルされ、無駄な振動が出ないようにするためだ。よく考えられたユニットなのだ。
Sonos Arc Ultraでは、このSound Motionによる充実した低音ユニットを追加したことで、高域・中域・低域(Sound Motion)再生用に個別のユニットを使用する3Wayスピーカーシステムになった。Sonos Arcは2Wayシステムだったため、低域と中域を1つのユニットでカバーしていたが、よりワイドレンジで分離感のいいサウンドが得られるようになっている。
サラウンド再生では、音場の広さを確保しながら、音の方向感を的確に再現することが求められる。そのためにSonos Arc Ultraが用いているのがビームフォーミング技術だ。正面にある3ch(L+R+C)に加えて、壁の方向に音を放射するために側面、天井方向を狙って音を出すために上方に向けたスピーカーも用意いている。
加えて、各ユニットの前にはディフューザーやウェーブガイドを配置し、音の指向性や放射方向を制御(拡散や指向性をコントロール)している。複雑な形状は厳密なシミュレーションを通じて決めたものだ。スペース効率を高めつつ、音のつながりを良くするため、高域と中域のユニットを一体化した部品になっている。また、ユニットをサウンドバーの前面だけでなく、側面や上面にも配置し、これらを連動して制御することで、水平方向の9ch、天井方向の4chを1台で再現できるのもポイントだ。
センタースピーカーはセリフやボーカルといった人の声を担うことが多く、重要な役割を持つ。その聞こえを良くするため、センタースピーカーの性能にもこだわっている。これは映画においても音楽の再生においても重要。ウェーブガイドの形状ももちろんだが、3段階のダイアログエンハンスメントなどの設定機能も備えている。
Sonos Arc Ultraは、Sonosのスピーカーの特徴である「Trueplay」のルームイコライゼーション機能も装備している。部屋の壁や材質などの反射を考慮し、設置状況に合った最適な音質で再生できる自動調節機能だ。さらに、Sonos Arc Ultraは、このTrueplayの進化形である「QuickTune」を初搭載した。従来のTrueplayは設定時にスマホのマイクを使った計測が必要で利用できるのはiOS版アプリが基本だったが、サウンドバー内蔵のマイクで計測ができる仕組みとなり、Android版のアプリからも音質の自動調整が可能となったことになる。
Sonos Arc Ultraのサイズは幅1178×奥行き110.6×高さ75mmで、重量は5.9kg。ブラックとソフトホワイトの2色が選べる。テレビとはHDMI ARC/HDMI eARCで接続。本体にはWi-Fi、Bluetooth機能を備える。AirPlay 2のほか、音声コントロール機能のSonos Voice Control(英語)、Amazon Alexaも利用可能だ。価格は14万9800円。
サブウーファーのSonos Sub 4の追加など拡張性も魅力
同時発売されるサブウーファーのSonos Sub 4は、従来のSonos Subと同じトランスデューサーを利用しているが、内蔵するプロセッサーの性能やメモリー容量が向上し、Wi-Fi 6にも対応するなど性能が底上げされている。前世代のSonos Sub 3とも互換性があり、すでにSonos Sub 3が導入されているシステムに簡単に追加できる。Sonos Sub 4のサイズは幅402×奥行き158×高さ389mmで、重量は11.79kg。ブラックとソフトホワイトの2色が選べる。価格は10万9800円。
Sonos Arc Ultraは、Sonos Sub 4に加え、既発売の「Era 300」をリアに配置してより没入感の高いサラウンド体験を得ることもできる。昨年発売したヘッドホン「Sonos Ace」との連携機能も引き続き利用可能。サウンドバーとヘッドホンを1対1で接続しておけば、ヘッドホンのボタン操作で、簡単に音の出力先をのヘッドホン/サウンドバーのどちらかに切り替えられる。この際、Dolby Atmosなどの処理は高性能なCPUを内蔵したサウンドバー側が担当する。Sonos Aceに最適化するのはもちろん、部屋に合わせた高精度な処理も加えられるので、自分の部屋でサウンドバーの音を聞くのに近い、自然なサラウンド体験ができるようになるのが特徴だ。
密度感があって、メリハリが効いている、はっきりとした音の再現
筆者はSonosがプレス関係者やリセラー向けに期間限定で提供している試聴室で、Sonos Arc Ultraの音を聞いた。ハイエンドのサウンドバーであるSonos Arcと比べてもサウンドが飛躍的に向上していることを確認できた。
音楽や映画でSonos Arcと比較視聴した。Sonos ArcからSons Arc Ultraに切り替えると、一聴してすぐに、音色が明るく華やかになった印象を持つ。これは高域がよく伸びていることの証だろう。同様に低域の量感も向上し、かつ非常に明瞭なのが印象的だった。
単に低音が強いというわけではなく、ベースやドラムスといったリズム楽器の切り込み感、あるいはチェロやコントラバスなどの低弦の音程感と質感(アタックや摩擦音など)がよく伝わってくる。結果、音楽が生き生きとし、雄弁にニュアンスを伝えてくれるようになる。
全体に密度感があって、メリハリの効いた、はっきりとした音の再現になるため、すでにSonos Arcを使っていた人も、わかりやすく音質の向上を感じられるのではないだろうか。
Sonos Sub 4やEra 300と組み合わせたシステムのサウンドも体験できた。
Sound Motionの低域再現力はかなり高いため、低域の再現は一般的な家庭であればSonos Sub 4なしでも全く不満が出そうにない。ただし、Sonos Sub 4を追加すると、映画の効果音に芯が加わってより重量感や実体感が加わるし、深い低域が入った音楽ソースでは地を這うような低音の感覚を味わえたりもする。広い部屋で、理想的な映画の視聴環境を作りたいという人に適しているだろう。
一方、後方にEra 300を追加する効果はわかりやすい。リアから音が出ることで、音の方向感が鮮明になるし、包み込まれるようなサラウンド効果も大きく改善する。また、音の発生源が増えることで、天井方向の音などもより明確に感じられるようになる。これは映画はもちろんだが、Dolby Atmosなどの音楽コンテンツを楽しんだり、2chの音楽ソースをアップミックスして再生する場合などでも効果的だ。
Sonos Arc Ultraは1台で9.1.2chの再生に対応しており、真横や上方のユニットが効果的に機能して、単体でもかなり広い音場と明確な音の移動感を提供できるが、必要に応じてリアスピーカーやサブウーファーなどのアップグレードを図ると、システムが進化していく。AVアンプにたくさんのスピーカーを接続するよりも手軽に、それに匹敵あるいは凌駕するサウンドを得られるのが大きな魅力だ。
単体で非常に高いパフォーマンスを提供しつつ、必要に応じてアップグレードを図れるSonos Arc Ultraは、Sonosらしさが光る注目サウンドバーだ。テレビの大画面化が進む中、音の体験も重視したいという人は要注目の製品だろう。
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