新ルールの「青春18きっぷ」で5日間の旅に出てみました
ASCII.jp / 2025年1月22日 7時30分
大晦日は愛知県で「日本最短ジェット機路線」、元旦は長崎県で「初日の出フライト」と各地で取材をしていたため、当然ながら取材先への移動手段も必要になります。とはいえ年末年始といえば、飛行機のチケット代も高く、新幹線も大混雑するシーズンです。
なるべく取材費を極力抑えたいと考え、新ルールが適用された「青春18きっぷ」を使い、年末年始の5日間を移動してみました。
●新「青春18きっぷ」で5日間の旅をしよう
「青春18きっぷ」は全国のJR在来線・快速列車が乗り放題のきっぷですが、従来は任意の5日間(回)で利用できたのに対し、新ルールでは連続した5日間(1万2050円)、または連続した3日間(1万円)での利用が必須となっています。今回は5日間のプランを購入しました。お得なきっぷですが、この違いが、旅の計画や快適さにどのように影響するのか、実際に体験しておこうというわけです。
出発日は12月31日に設定。この日は地元神奈川県の戸塚駅から名古屋駅へと向かいます。以前と同じく「青春18きっぷ」は券売機で購入でき、支払いもクレジットカードが使えます。
購入が完了すると、きっぷとあわせて青春18きっぷの細かいルールなどが記載された紙が券売機から出てきます。きっぷのサイズは長辺が短くなっていますね。いままでは使用する回数ごとに改札のスタンプを押してもらうため、そのスペースが必要でしたが、新ルールでは自動改札が使えるようになったためです。
●戸塚駅(神奈川県)から名古屋駅(愛知県)へ
さっそく、自動改札に「青春18きっぷ」を通して利用開始です。12月31日に利用開始なので、1月4日まで、全国JRの在来線普通列車・快速列車などが乗り放題となります。ちなみに今回のリニューアルで、最終日は0時を過ぎても最終列車までは利用できるようになりました。
以前までは「0時を過ぎて最初に停車する駅」だったので、最初に停車する駅よりも先へ行く場合は、別途精算が必要でしたが不要となります。これはとにかく鉄道に乗り続けたいという人にはうれしいポイントかなと。
自動改札が使えるのは結構便利。今までは有人改札でチェックしてもらう必要があり、ほかの乗客が質問などをしていると、なかなか改札が通れなくてストレスでしたが、自動改札でサッと抜けられるのはラクチン。
初日の移動は、戸塚駅から名古屋駅まで。乗車時間 5時間41分で到着しました。乗車距離は325.1kmで、通常料金なら5720円ぶんの移動となります。青春18きっぷ5日間は1日あたり2410円ですので、半額以下の料金で移動できた計算になります。
そのまま九州へ向かう予定ですが、取材の都合で時間が足りないため、一度、中部国際空港から福岡空港へ飛行機で移動し、博多駅から特急と西九州新幹線を乗り継いで長崎県の大村駅まで移動して、1泊しました。
●2日目は大村駅(長崎県)から徳山駅(山口県)へ
翌日、2025年1月1日は午前中に長崎空港で取材や作業をし、空港からバスで大村駅まで戻り、再び「青春18きっぷ」旅を再開です。
以前までなら、2日目スタートの改札スタンプを押してもらう必要がありますが、新ルールでは不要。大村駅も有人改札にはカーテンが閉まっていたのですが、気にせず改札を通過できるのでラクチンです。
2日目の移動は大村駅から山口県の徳山駅まで乗車時間は7時間16分、乗車距離は336.5kmで通常なら6380円ぶんの移動です。
●3日目は徳山駅(山口県)から天満駅(大阪府)へ
3日目も午前中はカフェで作業をして、午後から移動を開始。徳山駅から大阪府の天満駅まで、乗車時間は7時間21分でした。乗車距離は427.9kmで通常なら7150円ぶんの移動です。3日目の天満駅では大阪の名物居酒屋にも立ち寄り、旅の合間にリフレッシュしました。
その後、途中駅で改札外の店舗で買い物をするなどしましたが、基本的には10分前後の乗り継ぎで移動。JR九州とJR西日本は転換クロスシートの車両が多く、お正月ということもあるのか、そこまで混雑はしておらず、快適です。
とはいえ、2日連続で7時間以上座りっぱなしはかなり辛く、だんだんお尻も痛くなってきました。
●天満駅(大阪府)から東静岡駅(静岡県)へ
4日目は5時台から移動開始。天満駅からひとまず静岡駅へと向かいます。途中滋賀県の米原駅で乗り継ぎ時間に余裕があったので、駅をウロウロしていると老舗駅弁屋「井筒屋」の売店を発見。元旦に井筒屋は、2025年2月28日納品ぶんで駅弁事業からの撤退すると発表し、ちょっとしたニュースになっていました。
もう井筒屋の駅弁を食べる機会もないかもと、売店で購入し、駅のベンチで食べました。こういった「鉄道旅で駅弁」という文化も厳しくなってくるのかなと思うと、ちょっと寂しい気もします。そういえば、自分もここまでの旅で駅弁を購入しておらず、コンビニでおにぎりや、ちょっとしたおつまみを買ってすませていました。「旅は世につれ世は旅につれ」といったところでしょうか。
その後、静岡駅に移動して仕事をしたあと、ひとつ隣の東静岡駅へ。ここまでの移動でさすがに体力的に疲れてきたので、温浴施設の「柚木の郷」へと向かいます。東静岡駅から徒歩数分にあるのでアクセスしやすいのが◎ですね。しかも深めの湯船が多く、長時間の座り移動で固くなったお尻も底につけずにつかれるので、非常に良いお風呂でした。タオルを持参していたため、入館料1320円(土日祝日料金/大人)だったのもリーズナブルでいいですね。自分的に長距離移動の際のオススメ立ち寄りスポットになりました。
●沼津や熱海に立ち寄って戸塚駅(神奈川県)へ
ひとっ風呂浴びたところで、この後の移動をどうするか悩みはじめました。
「青春18きっぷ」はまだ4日目なので、どこかで1泊しても問題はありません。ただ……鉄道での移動に飽きました! そのまま乗っていけば、地元の戸塚駅までたどり着けます。もう自宅の布団でゆっくり寝たいという願望も大きくなってきます。
途中、沼津駅や熱海駅で晩ご飯を食べようと、改札から出てウロウロしてはみたものの、鉄道移動の疲れもあり、イマイチ食べたいものが見つからず。海鮮の街だというのに、結局、コンビニのおにぎりで済ます始末です(お正月ということで、休業のお店も多かったんですけどね)。そのまま、神奈川県の戸塚駅まで到着してしまいました。
というわけで、4日目は天満駅から神奈川県の戸塚駅まで移動し、乗車時間は7時間52分。乗車距離は517.1kmとなりました。通常なら8580円ぶんの移動です。家に帰って休みます。
●連続5日目は東京湾1周の旅
最終日となる5日目。以前の運用ルールなら期間中の別日に残りの回数を使えたので、たとえば週末の1日旅に使ったり、仕事で東京や千葉などへ出かける際に使ったりもしましたが、新ルールでは連続して使わないとダメなので、この日にも乗らないと損になります。
仕事で出かける用事があったので、戸塚駅から横浜駅を経由して、関内駅へ。中華街周辺で撮影をしたあと、石川町駅から初詣に鎌倉へでも行こうかと、大船駅から横須賀線に乗り換えたのですが、計画を変えてそのまま久里浜駅まで移動します。そこから東京湾フェリーが出港している久里浜港へ行き、フェリーに乗船。これで千葉に渡ってそこからまた鉄道で戸塚駅まで戻ってくる、東京湾1周旅をしようというわけです。
この東京湾フェリーは、神奈川県の久里浜港と千葉県の金谷港を40分ほどで結び、「青春18きっぷ」では乗れませんが、料金は片道1000円とリーズナブル。気軽に東京湾の船旅ができ、夏期には船内で飲み放題イベントもなども行っていて、筆者のお気に入り航路でもあります。いずれ機会があれば、ちゃんと取材してレポートしたいなと思います。
金谷港へ到着したら、徒歩で浜金谷駅へと移動。そこからまた青春18きっぷで乗り込み、まずは君津駅へ。
君津駅から戸塚駅までは横須賀線直通のJR内房線快速で乗り換えなしの1本。しかも最後かつ2時間以上の乗車になるので、グリーン車を利用しました。
「青春18きっぷ」を使ってグリーン車も乗車可能(別途グリーン料金が必要)なので、以前はよく組み合わせて乗車していたのですが、今回の旅では利用していませんでした。なぜなら、2024年3月のダイヤ改正で、グリーン料金も改定され101km以上はモバイルSuicaもしくは事前購入でも1550円と値上がりしていたからです。
ただ、JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」で貯めたポイントをグリーン券と交換すると、距離にかかわらず定額のポイントで交換可能だったことを思い出し、2時間越えの乗車をグリーン車で快適に移動して、戸塚駅に到着しました。これで5日間の移動は終了です。4日目の移動は戸塚駅から関内駅までと石川町駅から久里浜駅、そして浜金谷駅から戸塚駅で乗車時間は4時間4分、乗車距離は150.8kmで通常なら3694円ぶんの移動でした。
●5日間の旅、やっぱりお得です
トータル5日間の乗車時間は32時間14分、乗車距離は1824.7kmでした。料金は通常なら3万1524円かかるところ、半分以下の費用で移動できた計算です。やはり「青春18きっぷ」での移動は、コスパという点では魅力はあります。もし新幹線を利用したら、初日の名古屋までで9000円強から1万円強必要ですからね。
ただ、やはり連続5日間となったのは残念。今回の旅でも3日目で「1日か2日移動しない休みが欲しい」とつくづく思いました。4日目のように1日で8000円以上の移動ぶんの移動ができるので、5日ぶんをフルに乗り続けるのではなく、トータルで考えて、"賢く"、"ほどよく"移動すればいいのですが……、ついついもったいない気がしてきて、毎日乗っちゃうんですよね。
新ルールに変わった「青春18きっぷ」を使った感想は、かなり「上級者向け」になってしまったなという印象です。自動改札が使えたり、最終電車まで乗れるようになったなど、うれしいポイントはあるものの、やはり連続5日間ではなく、期間内で5日間に戻して欲しいと、切に願います。
訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2025年1月22日 12:00)
この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
- 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
- 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)
この記事に関連するニュース
-
2024年冬に「青春18きっぷ」のルールが改定された!? 「改悪」といううわさは本当? 「青春18きっぷ」以外のお得なきっぷも紹介
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月16日 23時0分
-
往復だけで元取れちゃう!? 東京「最強の1日乗車券」はどれだ!? JRメトロ都営&バス…“全部乗れる”もあります!
乗りものニュース / 2025年1月3日 10時42分
-
「改悪された」と話題の青春18きっぷで北海道を周遊してみた。“割高感”は否めないが「お得なのは変わらず」
日刊SPA! / 2025年1月1日 8時52分
-
JRのきっぷは途中駅で「改札の外」に出られる!? 旅行や帰省の幅を広げる“知っておきたいルール”とは
乗りものニュース / 2024年12月30日 15時42分
-
ルール知らず取締り?「青春18きっぷ・フリーきっぷ」での途中下車めぐる警察とのトラブルが話題
よろず~ニュース / 2024年12月27日 12時10分
ランキング
-
1“映り込み”を防いでスマホ撮影するには……? 100均アイテムを使った目からウロコのライフハックに「これはスゴい」
ねとらぼ / 2025年1月22日 7時50分
-
2ノートPCでモバイル通信し放題、契約手続き不要 KDDIが法人向け通信サービス「ConnectIN」
マイナビニュース / 2025年1月21日 17時20分
-
3フジテレビの会見は「背信行為」「使命や責任を放棄」──メディア労組の連合会が声明
ITmedia NEWS / 2025年1月22日 8時20分
-
4ひっきりなしに届く通知...しばらく黙らせるベストな方法は? - いまさら聞けないiPhoneのなぜ
マイナビニュース / 2025年1月22日 11時15分
-
5【リメイク】100均靴下を切って貼るだけの簡単リメイク! 目からウロコのアイデアが「天才過ぎます」「材料買いに行かないと」
ねとらぼ / 2025年1月22日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください