楽天モバイル、法人向け機能を拡充した生成AIサービス「Rakuten AI for Business」をスタート
ASCII.jp / 2025年1月29日 20時0分
楽天モバイルは今日29日、法人向けの生成AIサービス「Rakuten AI for Business」を提供開始した。
このサービスはユーザーの質問に対し、AIがチャット形式で最適な返答をしてくれるという一般的なAIだが、ビジネス向けに様々な機能を備えている。言葉の理解とタスク処理に優れており、文書や翻訳、アイデア出し、分析、リサーチといった楽天グループが培ったAI活用ノウハウを最大限に活かしたものとのこと。
楽天社内では社員8000人がAIを活用 メール作成の時間が54%短縮に
最初に同社の代表取締役会長である三木谷浩史氏が登壇。Rakuten AIについての社内事例について説明した。
昨年、AIの民主化を掲げた発表をした三木谷氏。社員に積極的にAI利用を促し、ほぼ全社員がAIを使い、8000人が毎日利用しているという。作業効率アップやサービスの改善だけでなく、広告もAIのおかげで売り上げが前年度比で4%上がったことを説明。また、このAIを使って基地局やデータセンターの消費電量を20%削減を目標とした。
そして最後に「あらゆる人々が自由にAIを活用する世界へ、暮らしや社会を変える。Rakuten AIが未来を変えていきます」と締めた。
次に同社代表取締役 共同CEO 鈴木和洋氏がRakuten AI for Businessの概要を説明した。
これまで企業がAI導入を見送っていた課題は、難しそうというイメージから多くのお金がかかる思われており、価格設定がわかりにくい。そして法人向けの機能が不足していたり、セキュリティーの設定や管理者の機能が足りなかったことだと語った。
Rakuten AI for Businessでは、それらの課題を解決したという。まず、料金は1ライセンスあたり月1100円(10万文字まで)、10万文字を超えると1000文字ごとに11円の従量制になる、初期費用は無料で環境構築が不要だ。
次に法人向け機能としてNGワード登録のほか、オススメ機能としてプロンプトテンプレートがあり、AIを使ううえでハードルになるプロンプトのテンプレートを用途に合わせて用意し、必要な部分を埋めていくだけで精度の高い質問文を作成してくれる。営業資料作成、広告文の作成、アイデア出しなど複数のテンプレートがあるので、自分の役職に合わせた質問文を使えるようになっている。そのほか、社内ドキュメントとの連携や、管理者が従業員の利用状況を可視化する「利用状況ダッシュボード」といった機能もある。
そして、楽天モバイルによる活用支援や楽天グループによる知見やノウハウを活用できることだと鈴木氏。どうやったら全社にAIを広げられるのか、あるいは広げる際のKPIの設計をどうしたらいいのかといったところまで、きめ細かくコンサルティングサービスを提供するという。
「No AI、No Businessということで、今はもうAIを使いこなせないと生き残れない時代になってきています。今のところ、一部の大企業だけがAIを導入していますけど、我々は裾野を広げて中小企業含め、すべての企業や人がAIを活用できる世の中を目指して頑張ります」と鈴木氏はコメントした。
2025年は昨年培ったノウハウを拡大する年になる
次は同社専務執行役員 CAIDOのティン・ツァイ氏がプレゼン。「顧客へのサービスについて。私たちは大規模なディープラーニングに関する戦略を3つの方向で展開しています。マーケティング、本日のビジネス向けAI、そして消費者向けAIです。2024年は実行の年でした。私はよくチームに「空を見上げながらも、足は地に着けよ」と言います。戦略は実行なくして意味がありません」と戦略の方向性を語った。
現在、楽天ではあらゆるビジネス運営にAIを活用しており、2024年は新しいサービスとイノベーションを立ち上げた年だったという。また、楽天では70以上の事業を多様な業界で展開しているため、日本の文化や慣習を理解しており、これらの知識をモデルに統合できる。そして、複数の業界の規制を理解しており、昨年発表した倫理規定では、法律を遵守しつつ、将来の規制にも影響を与えたいと、AIにおける法律についても対応するとした。
すべての企業が生産的で創造的、効率的に教育を受け、収益性が高くなるようにすることがRakuten AI for Businessを構築する理由だとティン氏。
「人間とAIが協力して重要なビジネス課題を解決し、スキルの成長とイノベーションの新たな高みを目指す新時代を実現できると信じています。AIの旅は一人で行くものではありません。友人、同僚、パートナーと共に歩む旅です。彼らが成功してこそ、私たちも成功できるのです。皆さんと一緒にこのAIの旅を続けていきたいと思います」と発表会を締めくくった。
企業が導入するハードルをなくし、すべての企業がAIを使えるようにするというRakuten AI for Business。多くの企業が導入し、誰でもAIが使えるようになることを期待したい。
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